マレーシアにはちょっと変わった交通ルールがあります。その名も「power of the hand」。
直訳すると「手の力」という意味があります。
ちょっと笑えるこの独特の交通ルールは慣れると便利です。
一体どんなルールなのでしょうか? どんな時に使うのでしょうか?
今回はマレーシアの独特の交通ルール、「power of the hand」についてご紹介します。
「手の力?」
「power of the hand」とは直訳すると「手の力」という意味になります。
マレーシアで道路を横断する時、車の運転手に向かって手を掲げて合図すると、まるで手に力が宿ったように車を止める効果があります。
そのことを少し茶化して「power of the hand」という言葉が使われるようになりました。
マレーシアの交通事情とは?
もともとマレーシアの交通事情は日本と大きく異なります。
まず、日本に比べ、圧倒的に信号や横断歩道が少ないのです。もちろん歩道橋もちゃんとありますが、充分というほどの数はありません。
マレーシアも日本も車社会です。同じように思えますが、実はまったく違います。
日本は車と歩行者の両方を考慮した道路事情となっています。
しかし、マレーシアは「本物の車社会」、つまり歩行者のことは全くと言っていいほど考慮せず、車にとって都合が良い状態になるように作られています。歩
行者用信号などはあまり見かけないのが現状です。
道路を渡る時の手っ取り早い方法とは?
ではそんな道路事情で、歩いて反対側に行きたい時にローカルはどうするのでしょうか?
答えは簡単! 道路を横断して渡るのです。
比較的小さな道路なら、横断してくる人がいるのは当たり前です。びっくりするのは4車線以上ある大きな道路でも普通に渡って行く人が多いということです。
マレーシアの運転手も突然に横断者が登場することを見越して運転しているので、慣れたものです。
道路横断に有効な「power of the hand」
この道路横断の時に、便利なのが「power of the hand」です。
道路を渡る前に、運転手とアイコンタクトを取り、手をあげます。この時、手のひらが相手に見えるように手を挙げるのがコツです。
手を挙げることで「ちょっと渡りますよ、ごめんなさいね」というようなニュアンスを運転手に伝えます。
そうすると運転手は車を止めて横断させてくれるのです。手を挙げただけで車を止めてもらえると思っている横断者も凄いですが、車を止めてくれる運転手もなかなかです。
このようなルールの中、マレーシアの道路横断は平和裏に行われ、めちゃくちゃな横断をする人が多い割には事故が少ないように感じます。
マレーシア人は手を挙げるタイミングを熟知している!
先ほど私はめちゃくちゃな横断と言いましたが、これは日本人の私が勝手に思っているだけのこと。
マレーシア人は、車が止まりやすいタイミングなどをちゃんと知っています。そのタイミングを見計らって手を挙げるので、運転手もちゃんと止めてくれるのです。
以前夫は、マレーシア人のおばあちゃんと一緒に交通量の多い道路を横断しようとしていました。この時、夫はおばあちゃんに配慮して、できるだけゆっくりと渡れるタイミングを見計らっていたそうです。
そんな夫の気持ちを知ってか知らずか、おばあちゃんはちょっとしたタイミングを見逃さず「power of the hand」の効力を利用し、あっという間に道路を渡ってしまいました。
後には残された夫が一人呆然と立っていたそうです。
このような出来事から、マレーシア人はちょっとしたタイミングを見逃さないコツを熟知していることを思い知りました。
意外と便利な「power of the hand」
「power of the hand」は道路を渡る時だけ有効なわけではないんです。
例えば運転をしていて、対向車に対して「自分が先に行きますよ」ということを伝えるために使ったり、駐車場の出入りなどで係りの人にゲートを開けてもらうために手を挙げたりします。
手を挙げるだけでいろいろなことを伝えることができるのですから意外と便利です。
これができればマレーシア人?
この「power of the hand」。マレーシアではちょっとした笑いにもなっていて、youtubeの動画で見ることもできます。
マレーシアに住んでいる者として、時々この画像を見ると「これ分かる!」と共感することもありますし、「いつの間にか自分もやっていた」という事実に気づくこともあります。
そんなマレーシア独特の文化「power of the hand」。
マレーシアに来て道路を渡る機会があったらこの記事のことを思い出し、手を挙げるタイミングが大切であることを忘れないでくださいね。
※道路を渡る際は十分に注意してください