国分寺には地名からもわかるとおり、1200年前に起源を持つ由緒正しいお寺「武蔵国分寺」が鎮座しています。
今から遡ること奈良時代―仏教の力で国を守る方針のもと、聖武天皇の命令で各地に国分寺が建立されて以来、武蔵国分寺は戦による消失などを経てもなお、現代にその姿を残す歴史あるパワースポットなのです!
実際に訪れてみると古刹らしい貫禄を湛えつつも、人も少なく静かにお参りできる穴場でした。というわけで今回は、悠久の歴史を刻んできたパワースポット「武蔵国分寺」へとあなたを誘います。
武蔵国分寺はなぜパワースポットなのか?

国分寺と聞くと歴史的名所のイメージが強く、パワースポットとしての真偽について疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。そもそも歴史的な寺院仏閣は、土地が持つエネルギー、つまり「気」の巡りが良い場所に建立されてきました。今回ご紹介の武蔵国分寺も例に洩れず、風水的で言うところの吉相「四神相応」の地形から、国分寺の用地として選ばれたと言われています
「四神相応(しじんそうおう)」とは古代の四神(青龍、白虎、朱雀、玄武)を象徴する地形「北の山、東の川、南の池または海、西の道」を吉相とみなす考え方。江戸(東京)もまさにこの四神相応の土地として、17世紀初頭に都として選ばれた経緯があります。

そして、この武蔵国分寺が鎮座する土地も、古の時代には緑に囲まれ、湧き水が流れる丘陵地ということから、吉相の土地に該当しました。現在は住宅が立ち並び、電車も通っているのでピンと来ないかもしれないのですが、実際に町を歩くとかすかに当時の面影が感じられます。
現在の武蔵国分寺
現在の武蔵国分寺は広大なエリアに及び、主に2つのエリアに分けられます。

①旧国分寺跡
現在は遺跡として公園になっています。

柱の跡が残されています。
奈良時代に始まるその歴史を、東京の西で感じられるのは歴史好きにはたまりません。

②現在の武蔵国分寺
移築された楼門・本堂・仁王門・薬師堂からなる境内です。

それではいよいよ境内に入っていきましょう。

本堂の迫力ある龍の彫刻に目を奪われました。1985年に再建されているので、新しいお寺ではありますが、やはりそこは奈良時代から続く歴史。風格があります。

境内脇の野趣溢れる森は万葉庭園になっており、先代のご住職が万葉集に出てくる約160種類の植物を植樹。それ以来お寺の方が丹精込めて育てていらっしゃいます。丁寧に植物名が表示されているので、植物観察も楽しめますよ。

現在の武蔵国分寺は、真言宗豊山派の寺院となっており、阿弥陀如来が本堂のご本尊ですが、奈良時代創建当時は薬師如来をご本尊としていました。そして何と平安時代に造られた薬師如来像が、今もなお薬師堂に安置されているのです!
薬師堂―国分寺の最大のパワースポットはここ!

薬師如来の話が出てきたところで、薬師堂へと足を運びましょう。18世紀に建立された仁王門に入ったとたん、雰囲気ががらりと変わった気がしました。

柵越しに垣間見える仁王像がにらみを利かせています。まさに聖域の門番といったところでしょうか。

森の中の階段を上ると、簡素でありながらも堂々たる薬師堂が目前に迫ります。1335年に新田義貞の寄進により建立され、18世紀半ばに再建されたお堂です。

境内は静まり返り、それが一層のことこのお寺が経てきた悠久の歴史を物語っているように感じました。神社とはまた違った趣ですが、荘重なエネルギーに包まれ心が洗われるよう・・・
残念ながら扉は閉ざされていますが、お堂の中にはいにしえの時代に彫られた薬師如来像(国重要文化財)、日光菩薩像、月光菩薩像、十二神将像が安置されています。毎年10月10日に御開帳されているので、仏像好きの方はぜひこの日に訪れると良いでしょう。

次にお堂の裏へ回ります。長年パワースポットを訪れていると、直感のようなものがはたらくので裏、または奥の方にも足を運ぶようにしているのです。
はたして薬師堂裏には、予想だにしない世界が待っていました。横一列に並んだお遍路石仏が異世界感を漂わせています。

さらにその奥にひっそり佇む弘法大師と思しき小さな石仏を発見。まるでお遍路石仏に守られているようでした。解説が全くないため詳細は不明ですが、真言宗の開祖ということで、弘法大師の石仏が鎮座しているのかと思います。
丘のパワースポット

奈良時代に始まる武蔵国分寺ですが、その歴史的な意義とは裏腹に、観光地のざわめきとは無縁の静寂が広がっています。同時代に建立され日々たくさんの観光客や参拝客で賑わう奈良のお寺とは違って、この沈黙世界が、訪れる者を優しく包み込んでくれます。

また薬師堂に隣接するように鎮座する本村八幡神社も、この土地を守り続けてきた主の風格があり、併せてお参りいただきたいパワースポットです。

さらに歴史や考古学マニアにお勧めしたいスポットがもう一カ所。
薬師堂・本村八幡宮の裏手にある国分寺公園。ここでも何と遺跡が発掘されており、「土師(はじ)竪穴住居跡」として公開されています。

この周辺地域は「国分寺崖線」と呼ばれるように、高低差がある地形。崖線地帯は樹林や湧き水など自然の恵みが豊富なため、古来人々が生活を営み、また神のすまう場所としてあがめてきたのです。そんな土地に鎮座する武蔵国分寺は、まさに「丘のパワースポット」と言えるでしょう!
東京都国分寺市西元町1-13-16