「ひとり美術館」のすゝめ。―アートとわたし、ふたり旅。
日本

瀬戸内 地中美術館

maria

美術館、だれと一緒に行きますか?
最近のわたしは、もっぱらおひとりさまです。

わたしはもともとは、アートに対してそんなにアクティブな人じゃありませんでした。
ネガティブではないけれど、それこそ今みたいに「ひとり美術館」なんてことはあり得ないタイプの人。
美術館よりも、お芝居を観に劇場へ行くことの方が多かったです。

じゃあそんなわたしが、なぜ今こんな風にアートコラムを書くまでに至っているかと言うと。
それは、わたしにアートを教えてくれた友人がいたから。

彼女自身、絵を描く人でした。高校でアートヒストリーを勉強してたり、親子でアートに敏感な人でした。
そんな彼女に連れまわされて、都内や地方のいろんな美術館とかアートイベントに行くうちに、いつしか「あ、アートってめちゃくちゃ面白いじゃないか!」ということに気付いたのです。

メトロポリタン美術館
▲メトロポリタン美術館(NY)

例えば、一概に“絵を見る”と言っても、どう見るかは人それぞれで。
見ているうちに作品の中に入り込んだ気分になって絵を体感する人もいれば、色づかい筆づかいをじっくり見て楽しむ人もいると思います。
わたしは後者で、海なのに茶色を入れるんだ!とか、この人はこういうタッチで描くんだなあという風にキャンバスを見つめます。

そういう、絵の楽しみ方のようなものは、もちろん直接彼女に教わったことじゃありません。だけど、連れられて何度も美術館に行って、いろんな作品を見ていく中で体得できたこと。
そうなってくると、「ひとり美術館」が楽しくなってくるわけです。

自分が好きな作品の傾向がわかってくると、企画展やイベントにも行きやすくなりました。
こういうテーマなら行ってみたいなとか、この人の作品を見に行きたいなとか。ざっくりと、モダンアートおもしろい!みたいな出会いもありました。

瀬戸内国際芸術祭
▲瀬戸内国際芸術祭2013の空き瓶アート

吉岡徳仁クリスタライズ展
▲吉岡徳仁クリスタライズ展(2013・東京都現代美術館)



それから、今わたしが行きたいのが、金沢21世紀美術館と青森の十和田市現代美術館
段々アートに敏感になって、行ってみたい地方の美術館を見つけたりすると『美術館に行く旅』というかつてのわたしからしたらびっくりの概念が生まれる。これはすごいことだなと、自分でもちょっと感動。


だから例えば、“あの人を誘いたいけど美術館とか興味なかったらどうしよう…”という不安を抱いている方。気にせず誘えばいいと思う。何度か、いろんなジャンルのものに誘ってみたほうが、興味に引っかかる率高しです。
“美術館誘われたけどアートとかあんま興味ないんだよなあ…”という悩みを抱えている方。とりあえず行ってみたらいい。なんども言うけれど、本当に、どんな出会いがあるかわかりませんから。

逆にアート好きな人は、この企画展面白そうだなとか、この美術館いいなと思ったら、どんどん周りの人を誘って連れまわしてみたらいいのではないかと思うのです。だってわたしみたいに、そこまでアクティブじゃなかった人間も「ひとり美術館」するようになったりすることもありますからね。


なんとなく家の中にはいたくなくて、どこかに出かけたいけどどこに行こう?
そんな時に、美術館は、とても優しい。ゆっくり静かに作品を見ていると、とても落ち着く。
私の場合は、もやもやしてた思いがちょっと晴れたり考え事がまとまったり、帰る時には気持ちの整理ができていたり。

瀬戸内 地中美術館
▲地中美術館(香川県 直島)

美術館がただアートに触れる場なだけじゃないということも、彼女に教わった気がしています。

この記事を書いた人

まりあ

まりあ

94年3月東京生まれ、日本語日本文学専攻。3大欲求は書きたい食べたい撮りたい。美術館へ行くカカオジャンキー。

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