多民族国家で知られるマレーシアの首都クアラルンプール。
この町では、どんなローカルグルメが楽しめるのでしょう? 人種やバックグラウンドの異なる人たちが、それぞれに愛する料理をまとめてご紹介!
在住者に人気のお店を厳選しました。
(RM1=約27円 *2016年5月現在)
マレー系の定番朝ごはん「ナシレマッ」
まずは、マレーシアのソウルフードとも言える「ナシレマッ(Nasi Lemak)」。
お持ち帰り用のナシレマッ
2016年3月、ニューヨークの『TIME』誌が【世界の最もヘルシーな朝ごはんトップ10】のひとつにナシレマッを選んだため、マレーシアの人たちはたいそう喜びに湧いておりました。
ナシレマッとは、米にココナッツミルクと塩を加え、香りのよいパンダンリーフで風味を付けて炊いたご飯のこと。基本の付け合せとして、塩味の効いた小魚、ピーナッツ、キュウリ、ゆで卵、辛味調味料のサンバルなどが添えられています。
写真のように、バナナの葉でくるりと包んだものは、お持ち帰り用として売られています。
鶏肉や魚を揚げたもの、スパイスで煮込んだものなどをトッピングすれば、栄養バランスに優れた立派なひと皿の完成!
Village Park Restaurant
さて、そんな国民食ナシレマッの人気店といえばこちら「Village Park Restaurant」。
このお店はクアラルンプールの中心地からはちょっと離れていますが、ご覧のとおりの盛況ぶり。朝からお客さんであふれかえっています。
並んででも食べたいのが、「Nasi Lemak Ayam Goreng(RM9)」。
外は香ばしく、中はジューシーに揚がったチキン(アヤムゴレン)と、うっとり深呼吸してしまうほど優しい香りのココナッツライスが最高の組み合わせ。
それほどスパイシーではないので、辛い料理が苦手な方にもおすすめです。
No.5, Jalan SS21/37, Damansara Utama, 47400 Petalng Jaya
Tel: +60 3−7710−7860
営業時間: 7:00〜19:30(日曜は18:00まで)
中華系のスタミナ食「肉骨茶(バクテー)」
マレーシアやシンガポールで有名な豚肉料理「バクテー(Bak Kut Teh)」。
イギリスの植民地だった時代、出稼ぎにやって来た中国人が故郷の料理にならって作り出しました。過酷な重労働のわりに、低い賃金しかもらえなかった彼らは、肉屋で解体後の余りもの、”そぎ落としきれなかった肉片がついた骨” を利用して、安くて栄養補給源になる「肉骨茶」を生み出したのです。
もちろん今では、たっぷりと肉のついた骨を使っています。
ぶつ切りの骨付き豚あばら肉を、漢方薬に使うスパイスと中国醤油で煮込んだ料理で、スパイスにはスターアニス、シナモン、クローブ、胡椒、ニンニクなどがよく使われます。
「新峰肉骨茶」のオリジナルバクテー1人前(RM17)と油条、レタスのオイスターソース炒め
シンガポールのバクテーは、透明スープにすっきり胡椒味で、日本の塩豚骨ラーメンに似た味わい。ニンニクが効いているものの、あまりクセがないので、日本人に馴染みやすい味といえます。
一方のマレーシアでは、深い褐色のスープが主流。漢方スパイスの主張がより強く、五臓六腑にじんわりと染み渡るような、滋味に富む複雑な味です。肉だけでなく、きのこ、野菜類を土鍋で一緒に煮込む場合も。
豚肉を食べないイスラム教徒のマレー人は口にすることがなく、マレーシアでは人口の約25%を占める華人が好む料理です。
新峰肉骨茶(Sun Fong Bak Kut Teh)
クアラルンプール中心部にある「新峰肉骨茶(Sun Fong Bak Kut Teh)」は、1971年創業の老舗。
味に定評があり、ガイドブックにも紹介される人気店なので、国内外の著名人も訪れています。
お肉は豪快に手でいただき、スープに油条という揚げパンを浸したり、お茶漬けのようにご飯にスープをかけて食べるのもGOOD!
ドライバクテー2人前
スープなしのドライバクテーも濃い目の味付けでご飯がどんどん進みます。
No.35, Jalan Medan Imbi, 55100 Kuala Lumpur
Tel: +60 3−2141−4064
次ページ:インド、中国の文化を取り入れた独特のクアラルンプールグルメ
インドといえば見た目も楽しい「バナナリーフカレー」
マレーシアには南インドから渡ってきたタミール人も多く暮らしています。そのため、バナナの葉をお皿がわりにして、安くておいしいカレーが楽しめる店も多いのです。
テーブルに着くと、まずは大きなバナナの葉が1枚配られ、ベジタリアンのおかず3種類ほど、てんこ盛りのライス、豆粉のパリパリせんべい”パパダム” が運ばれてきます。これがまたおいしくて、ビールが飲みたくなってしまう!
カレーはいろいろな種類があり、ベジタリアン、チキン、などとシンプルに注文するだけでもOK。
ショーウィンドウやメニューを見て、好きなカレーを選ぶこともできます。
南インドのカレーはバターや小麦粉を使わないので、サラッとスープ状で爽やかな味わい。
ご飯もパラパラと軽い食感で、全体的にあっさりとした印象です。
野菜や豆を使ったものが多いため、ヘルシーで胃もたれもせず、暑い気候にぴったり。
日本でインドカレーといえば、ナンと一緒に食べるクリーミーな北インドのものが多いようです。
なかなか食べる機会のない南インドの庶民の味を、訪れやすいマレーシアで体験できるとはお得な気分!
Lotus Jalan Gasing
インド系ローカルの友人がおすすめしてくれたお店は「Lotus Jalan Gasing」。
車がないと不便な場所にありますが、お昼時にはかなりにぎわっていました。
周囲は住宅地で、レストランの隣にはインド系のミニマートがあります。
15 Jalan Gasing, 46000 Petaling Jaya,
営業時間: 7:00〜23:00
Restoran Sri Kortumalai
通称「インド人街」として知られる、都心部のブリックフィールズ(Brickfields)に出かけてみると、インド系のローカルレストランや服飾・雑貨店が立ち並んでいます。
メイン通りの入り口付近にある2階建ての食堂では、地元の人たちと一緒に気軽なバナナリーフカレーが楽しめますよ。
下の写真はベジタリアンカレー。
ドリンク込みでRM10でお釣りがきました。
No.215A, Jalan Tun Sambanthan, Brickfields, 50470 Kuala Lumpur
Tel: +60 3-2276-3728
プラナカンの伝統「ニョニャラクサ」
最後に、ババ・ニョニャ料理を代表する麺料理「ラクサ(Laksa)」です。
ババ、ニョニャ、プラナカンなど聞き覚えがない言葉ばかりですよね?
マレー半島には15世紀頃より大勢の中国人が渡り、マラッカ、ペナン、シンガポールなどの貿易港として栄えた町でビジネスを成功させ、土地の女性と結婚して家庭を築くようになった人々がいました。そうした中国移民と地元のマレー人などとの間に生まれた子孫の総称が「プラナカン」。またその中で、男性を「ババ」、女性を「ニョニャ」と呼びます。
財力を持っていた彼らは、自分たちのルーツである中国、マレー半島だけでなく、当時の宗主国だったオランダ、ポルトガル、イギリスなどの文化的要素も積極的に取り入れ、華やかで複雑な独自の伝統を築いていきました。
プラナカンの家庭料理は一見するとマレー風にも見えますが、豚肉を使ったり、中華料理の影響を受けていたりと、また独特です。
ラクサはプラナカン系でありながら、豚肉を使用しないので、ムスリムでも食べられるマレーシアの人気メニューのひとつです。土地や店によって味に特色があるのはラーメンと似ているかも。
見た目ほど辛すぎず、南国らしいココナッツミルクのまろやかさと海老やスパイスのダシが混ざり合い、得も言われぬおいしさとはこのことです。
Limapulo – Baba Can Cook
こちらのレストラン「Limapulo – Baba Can Cook」は、2015年にオープンしたばかりなのですが、生粋のババであるマラッカ出身のおじいちゃんシェフが、家庭に伝わる秘伝のレシピを惜しみなく若い世代に受け継いでいます。
週3日しか食べられない絶品ラクサを求めて、月水金のランチタイムには開店と同時に大勢のお客さんが! 繁華街に近いため、ローカルのビジネスマンやOL、学生、噂を聞きつけたグルメファンなどであっという間に満席となります。
地元マレーシア産の新鮮なハーブとスパイスで作ったペーストに、ココナッツミルクや海老殻を加えてじっくりと煮込んだスープが濃厚かつマイルドな辛さ。
米粉の麺に、鶏肉、フィッシュボール、野菜、揚げ豆腐などの具材を載せて、小粒のライムをキュッと絞っていただきます。
夜には売り切れてしまうので、ぜひランチタイムを目指して行きましょう。
50,Jalan Doraisamy, 53000 Kuala Lumpur
(シェラトンインペリアルホテル横、The Row内)
Tel: +60 3−2698−3268
営業時間:12:00〜15:00/18:00〜22:00 日曜定休
ラクサは月水金曜のみ
上記にご紹介した料理は、いずれも日本ではなかなか本場と同じ味を体験できません。
元在住者が、帰国してからもムショーに食べたくなる! と言うのが頷けます。
クアラルンプールには、まだまだご紹介しきれないローカルグルメがたくさん。
思う存分食べ歩きを楽しんでくださいね!