逃げ若好きも、刀好きも! 鎌倉に行ったら「鎌倉文化交流館」と「侍気分」へ~最新情報をここでゲット
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「逃げ上手の若君」も刀好きも!鎌倉に行ったら「鎌倉文化交流館」と「侍気分」へ

2022年の大河ドラマに続き、「逃げ上手の若君」アニメ放送化が始まり、いつになく注目を浴びている鎌倉北条氏。もう一歩深く知りたい人はぜひ押さえてほしいのはここ!

興味深い特別展がめじろ押し「鎌倉文化交流館」

鎌倉に行ったらぜひ訪れていただきたいのが「鎌倉文化交流館」。鎌倉市が運営するこちらの資料館は三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の別荘跡に建っています。ノーマン・フォスター率いるフォスター+パートナーズが2004年に建てた個人用住宅「Kamakura House」の建物を改修して使用しています。この立地、すごいのはこれだけではありません。

さかのぼること800年。鎌倉時代には幕府の重鎮・安達一族の本邸があったところだといわれています。安達氏というのは鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝が伊豆に流されている間からずっと頼朝に仕え、幕府が成立すると、頼朝の舅の一族である北条家と二人三脚で鎌倉時代を築いていった一族です。「元寇」で有名な北条時宗の正妻・堀内殿(覚山尼)も、その息子貞時の正妻も、さらにその息子で最後の得宗・北条高時の正妻も皆、この安達一族の娘でした。霜月騒動で一時期失脚しますが、返り咲き、北条滅亡まで鎌倉幕府を支えました。その安達一族の鎌倉での本拠地は長い間、もっと海岸よりの甘縄といわれていましたが、近年の研究によりどうやらこの資料館が建つ谷戸だということが分かったそうです。

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頼朝の死後、源氏の宝刀・髭切を預かり保管していたという安達一族。当時の鎌倉有力御家人は谷戸と呼ばれる谷間に邸宅を構えていました。こちらの谷戸、北側の小高い丘を越えると、北条政子&源実朝のお墓がある寿福寺があります。当時の北条・安達ラインの緊密さを感じずにはいられません。

鎌倉幕府滅亡後、この地に刀工たちが住みます。相州伝の代表的な刀工「正宗」の工房がここにあったといわれています。文化交流館の裏庭に相槌稲荷があったのもこのためでしょう。

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そんな立地からして歴史の濃縮エッセンスのような「鎌倉文化交流館」ですが、中もなかなか見ごたえあります。

入ってすぐに見えるのが正宗の短刀です。

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そして、すぐ右にあるのが、初期の鎌倉時代を代表する武士・畠山重忠の甲冑

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また、別館(入館料に含まれる)で開かれている特別展は、鎌倉の最新の発掘状況や、鎌倉ならではのニッチなテーマが盛りだくさん。2024年9月から11月にかけては2022年から始まった鎌倉北条氏3部作の最後「鎌倉滅亡」がテーマです。

鎌倉通の情報の交差点「侍気分」へ

幕末・戦国グッズショップ「侍気分」は、八幡宮のすぐ南。若宮大路沿いにあります。

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入口が奥まっていて、ちょっと見つけにくいのですが…。ここの店長さん、大の鎌倉時代好きなんです。お店の商品の中で一番のおすすめは? と聞いたつもりだったのですが、応えてくださったのはこちらの遺跡。

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店の入口の真ん前にはなんと発掘した史跡が足元に見えるではありませんか? そう、ここは北条泰時屋敷跡。代々の執権が(将軍とともに)ここで生活し、政を行った場所なのです。そんなとんでもない場所につくられているショップは、看板こそ「幕末・戦国グッズ」となっていますが、中身はがちがちの鎌倉時代オタクの天国。

「なぜ鎌倉なのに幕末・戦国?」と聞いたところ「鎌倉時代グッズじゃ、誰も見向きもしてもらえないから」と鎌倉時代オタク共通の悩みを話してくださった店長さん、筋金入りの鎌倉時代オタクです。

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オリジナルグッズを販売していますが、左下、見えるでしょうか? 新書が一冊飾られていますよね? そう、ここは、鎌倉研究者やディープなオタクの方々が立ち寄る情報交差点なのです。最新の研究成果、ディープでマイナーな関連イベント情報、鎌倉市をはじめ地方自治体が開く関連行事の情報など、鎌倉&鎌倉時代関連の情報ならここに集まらないものはないというくらい。

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最近は、「逃げ若」関連なのか、中先代関連と北条滅亡関連グッズが売れているのだとか。鎌倉幕府滅亡グッズが買えるのは全国でもここだけかもしれませんね。リピートで購入している北条滅亡Tシャツもすでに4枚目。今回はそれに霜月騒動テーマの太刀・鶴丸国永トートバッグを購入していしまいました。そして、最新研究事情などの情報をたくさん入手。

ディープに鎌倉を散策するならぜひ訪れていただきたい2カ所をご紹介しました。ここで入手した情報を片手に、いざ・フィールドワークへ!


●鎌倉文化交流館

神奈川県鎌倉市扇ガ谷1丁目5-1

開館時間:10:00~16:00

休館日:日曜、祝日


●侍気分

神奈川県鎌倉市雪ノ下1-12-5 M’s Ark Kamakura 1F

営業時間:10:30~16:30

定休日:不定休

この記事を書いた人

エナ

エナライター / エナツアー主催

横浜出身のソウルっ子。2000年から2002年、ワーホリ滞在。その後横浜での10年間を経て2011年、再度渡韓。本業は日本語教師。ソウルの博物館、市場、路地が主な生息地。普通の町を普通じゃなく感じさせるエナツアーなるものを企画していました。最近は日本家屋の残る町にはまり気味。現在は本業の都合でソウルと山の中にある地方都市との二重生活中です。ソウルの穴場のお店や、地方とソウルで生活しながら見えてきたものなどをブログやSNSなどで紹介するのが趣味。

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