朝、部屋に届けられたフォカッチャサンドを片手にページをめくる。窓いっぱいに広がる景色を眺めたり、テラスで風を感じたり。埼玉県所沢市にある「IN THE LIBRARY hotel and books TOKOROZAWA」は、本とともにゆったりと朝を過ごせるライブラリーホテルです。
日本最大級のポップカルチャー発信拠点・ところざわサクラタウンに2025年にオープンした同ホテル。館内には約5000冊の本が並び、滞在中は思い思いの読書時間を楽しめます。
本とカルチャーが集まる、ところざわサクラタウンへ

はじまりは、JR武蔵野線「東所沢」駅から。都心から在来線で1時間ほどの場所にあります。2020年には、ところざわサクラタウンのオープンに合わせて駅舎をリニューアル。文化発信拠点への玄関口として、「本+本棚」をイメージした外観デザインが採用されたのだそう。

「東所沢」駅から北西へ歩くこと約10分。東所沢公園を抜けると、ところざわサクラタウンが見えてきます。ここは、図書館・美術館・博物館が融合した「角川武蔵野ミュージアム」をランドマークに、ショップやレストラン、神社などが集まる複合施設です。

専用のエレベーターで、早速ホテルへ。フロントやロビー、客室は、すべて最上階である6階に設けられています。
3つの“本の空間”が広がるロビー「THE LIBRARY」
「IN THE LIBRARY hotel and books TOKOROZAWA」のコンセプトは、「知識と想像が交差する、心地よい場所」。ロビーフロア「THE LIBRARY」には、テーマの異なる3つの“本の空間”が広がっています。

エレベーターを降りてホテルに足を踏み入れると、まず目の前に現れるのが「the gate」。スチールパイプを組み上げた巨大本棚は美しく照らし出され、思わず見入ってしまうほど。これから始まる本との時間への期待が高まります。


本棚には、さまざまなテーマの本や雑誌、遊び心のあるオブジェクトが並びます。

「the gate」のすぐ隣は、ゲスト同士の交流の場でもある交差点「the crossroads」。色とりどりのラグとゆったりとしたソファが配された温かみのある空間で、本棚に並ぶ本を自由に手に取りながら、読書や会話を楽しめます。

壁面に設けられた本棚には、小説やマンガ、料理本、写真集など、多彩なジャンルの書籍が並びます。私が訪れたとき(2026年5月)は、「本屋大賞」の歴代受賞作を集めたコーナーもありました。

コーヒーやお茶、ジュースなどのフリードリンクも充実。ロビーだけでなく、客室でも24時間利用できるのがうれしいポイントです。

3つ目は、学校の図書館を思わせる「the big table」。静かで落ち着いた空間には、文庫本や自己啓発書などが揃っています。読書や仕事、勉強に集中したいときにぴったりですね。
静けさの先、自分だけの空間へ
フロントでチェックインを終え、客室に向かいます。

ロビーから扉をひとつ隔てた場所に、客室フロアが広がります。照明を抑えた通路には静かな空気が漂い、まるで大人のための秘密基地へ足を踏み入れたような気分に。

客室の扉は、グレーを基調とした重厚感のあるデザイン。共用スペースとプライベートな空間を、スタイリッシュに隔てています。

扉の前にある電球には模様があしらわれており、灯りがともると、空間にはやわらかな影が浮かび上がります。どこかかわいらしい印象で、自然と気持ちも弾みます。

今回宿泊したのは「デラックスツイン」のお部屋。グレーを基調としたシンプルなデザインで、落ち着いた時間を過ごせそう。

壁には、漫画のコマ割りや吹き出しをモチーフにしたグラフィックと、3冊の本がディスプレイされています。TVのすぐ上には、「BOOKs & TV, Whichever you prefer.(本とテレビ、どちらでもお好きな方を)」というメッセージも。さりげない遊び心が感じられます。

バスルームも、洗練された清潔感のある空間です。広めの浴槽で湯船に浸かりながら、ゆっくりと疲れを癒せそうですね。

そして、全客室にテラスが付いているのもうれしいポイント。外の空気を吸ってリフレッシュしたり、遠くの景色を眺めながら、静かに気持ちを整えることができます。
光と緑に包まれる、憩いの屋上庭園
ロビーにある本やドリンクを客室に持ち込み、ベッドに寝転がって本を読んだり、テレビを見たり。テラスに出て、新鮮な空気を吸ったり。そして、息抜きがてら歩きたくなったときに訪れたいのが、屋上庭園です。

ロビーフロアからすぐに訪れることのできるこの場所では、緑に囲まれながら、所沢の街並みを一望できます。読書の合間に気分転換できる、ひらけた空間です。

訪れた日は、夕方から数時間にわたり雷雨が続いていました。雨音に包まれながら客室でひとり本を読む時間は、まさに本の世界に没入するひととき。
雨が止んだあとに屋上庭園へ向かうと、澄んだ空気がとても気持ちよく、通路下のライトアップと美しい夜景にうっとりしながら、静かな余韻に浸ることができました。
自家製フォカッチャサンドと迎える朝
「IN THE LIBRARY hotel and books TOKOROZAWA」の魅力のひとつが、自家製フォカッチャサンドの朝食。朝7時頃になると、朝食ボックスが客室のドア前に届けられます。

左から、ナッツドレッシングのサラダ、野菜のフォカッチャサンド、アイスコーヒー、マッシュルームスープ。サラダ、フォカッチャサンド、ドリンクは、事前に好きな種類を選べます。
フォカッチャサンドは、ズッキーニやかぼちゃ、トマト、レッドレタスなどの野菜がたっぷり。アボカドペーストのまろやかな風味がアクセントになっていて、色鮮やかな見た目に気持ちが明るくなります。窓の外の景色を眺めながら、心地よい朝時間を過ごせました。

前日とは打って変わって、翌朝は気持ちのよい晴天に。屋上庭園からは、遠くに東京スカイツリーも見えました。
読書の旅は、もう少しだけ続く
ホテルをチェックアウトした後、ところざわさくらタウンのランドマークである「角川武蔵野ミュージアム」を訪れました。

こちらは、「9つの文脈」にそって約2万5000冊の本が並ぶ「エディットタウン-ブックストリート」。本好きにはたまらない、一日中過ごしたくなるような場所です。ホテル滞在とあわせてところざわサクラタウンの施設を巡れば、より充実した時間を過ごせそうですね。

「IN THE LIBRARY hotel and books TOKOROZAWA」は、本が好きな人にとってはもちろん、日常から離れてゆっくり過ごしたい人にもぴったりのホテルです。
ロビーで気になる一冊を手に取り、客室で読書に没頭する。テラスや屋上庭園で気分転換しながら、思いのままに時間を過ごす。そんなひとときが、日々の慌ただしさを忘れさせてくれます。
都心からほど近い場所にあるライブラリーホテル。忙しい毎日のなかで立ち止まりたくなったときは、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。本とともに過ごす穏やかな時間が、心の中に余白を与えてくれるかもしれません。

●IN THE LIBRARY hotel and books TOKOROZAWA
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3丁目31-3 ところざわサクラタウン
アクセス:JR武蔵野線「東所沢」駅より徒歩10分(ところざわサクラタウン6階)




