福岡こそ日本一のコーヒータウンではないか?
日本

福岡への旅行で楽しみなのは、なんと言っても「食」。博多ラーメン、もつ鍋や水炊き、海鮮の名店は枚挙にいとまがなく、リーズナブルなのも当たり前。肉だって九州中から超ハイレベルな牛豚鶏が集まる日本一のグルメシティと自負しています。

でも、それだけではありません。福岡グルメの間にぜひ、はしごしてほしいお店があります。

それは「コーヒーショップ」です。

ひと味もふた味も違う福岡のコーヒーショップ

なーんだ、コーヒーショップなんて、どの街にもあるよ。って今思いました?

まずは最近公開された動画「HAKATAg CLAPS(ハカタグクラップス)」をご覧下さい。

福岡在住のアメリカ人YoutuberのBenjamin Tarquinさんが制作したこの動画は、ディープで最新な福岡の熱いスポットや人を一挙に紹介して、地元でも話題を呼んでいますが、その冒頭には3つのカフェが登場します。

この3つのセレクトがツボを押さえているのでびっくり! この3店を起点に、福岡に来た人にはぜったい行ってほしい、ひと味もふた味も違う福岡のコーヒーショップをご紹介します。

今回は、オーナーの方にもお話を伺って、お店の魅力に迫ってみました。

manu coffee マヌコーヒー “ゆるやかに、真剣に”


2003年スタート、市内に4店舗、自社のロースト工場を持つマヌコーヒーは、カジュアルな間口でスペシャルティコーヒーを楽しめるのが特徴。

お店の立ち上げ時に従業員で壁塗りをしたり、暖かみを感じる店内には、「あれ? 全国的にも知名度の高いアーチストの作品?」「これって原画?」「ひょっとして、壁に直接描いてる?」など、よーーく見るといろんな発見が。

店内の音楽にも定評があって、ポップアートや音楽が好きな人には、かなりツボのお店。お客さんと従業員がカウンターで笑い話を交わしたり、気取らずにコーヒーを飲むことができます。午前中は、全店200円でコーヒーが飲めるサービスも!

社長の西岡さんに、manu coffee の魅力を聞いてみましたよ。

「適度に力を抜いてやってる、それがうちのいいところかな」「豆の品質や焙煎はもちろん真剣にやってます」

7月末には、白金にロースタリーを新設(※写真は屋上)。「他の店より空間をゆったり、時間や余裕を大事に過ごせる場所にしたいと思ってます」

これまでの店舗でも定評があった、アーチストのPOP UP SHOPや、ライブなどのイベントも積極的に行っていくそうで楽しみですね。

manu coffee(大名店)
福岡市中央区大名1-1-3石井ビル1F 
営業時間 8:00~24:00
INSTAGRAM  @manucoffee
公式HPはこちら

②REC COFFEE レックコーヒー“世界レベルを福岡で”


2008年、REC COFFEE TRUCKでの移動販売店舗から始まり、現在は市内に4店舗。

代表の岩瀬由和さんと北添修さんは、それぞれ愛知県、大阪府出身。大学時代のカフェ巡りで訪れた福岡の街で起業を決心したそう。

2人は、移動販売時から「いつもそこにあって最高のコーヒーを出す」ことに拘ってきたコーヒーマン。国内外のバリスタ競技に、選手やジャッジとして参加してきた経緯もあり、とりわけ自社のバリスタの育成のレベルには定評があるんです。

そんなバリスタたちが作り出すスペシャルティコーヒーに加え、もうひとつ人気なのが、スウィーツたち。明らかにコーヒー店のサイドメニューのレベルを超えてます。それもそのはず、専属のパティシェが自社工房で作っているのだそう。はー。恐れ入りました。

2015年シアトル大会、2017年ダブリン大会とバリスタの世界大会であるワールドバリスタチャンピオンシップに出場し、世界2位のタイトルを持つ岩瀬さんに聞いてみました。

――世界を見て、福岡にいて、感じることは何ですか?
「福岡の人はとってもハイセンス、そんな人たちが『私たちの飲んでいるコーヒーって最高なのよ』と誇りに思ってもらえる、最高の一杯を提供したいんです。」

自分たちのコーヒーやサービスは、この街の人たちに磨かれてきた、とも。日本を抜けて、海外からも注目される存在となったREC COFFEE。福岡のコーヒーの、洗練の一端を確かめにいくのも良いかもしれませんね。

REC COFFEE(薬院駅前店)
福岡市中央区白金1-1-26-1F
月~木 8:00~25:00
金   8:00~26:00
土   10:00~26:00
日祝  10:00~25:00 (不定休)
INSTAGRAM @rec_coffee
公式HPはこちら

③TAGSTÅ タグスタ “アートとの偶発的な出会い”


2012年にオープンしたESPRESSO STAND & GALLERY。タグスタとはデンマーク語の造語で、TAG=屋根 STA=スタンド、ステーションという意味。

その名の通り、人が集まる場所。しかも、ちょっとユニークな集まり方ができる場所として、福岡の感度が高い人たちから一目置かれている場所なんです。

ここでやっているのは、アート展示に限らない、様々なイベント。開催数は年間20、通算100を超えているとか! しかも、とにかくハズレがない、どころか、毎回面白いのがすごい!


オーナーの橋口さんに伺いました。

――アートキュレーションの勉強はどこで?
「してませんよ」
――は!?

外資系のコンピューターメーカーで営業マンとして勤務、旅が好きで18カ国を回ったり、北海道をツーリングしたり。「アートとの接点は?」と聞いても「特にないかなぁ」と笑う。

「でもヨーロッパを旅すると気軽にアートに触れられるよね。しかも、全部原画」これまで橋口さんが出会った場所や人、枝葉のように伸びた経験というストックを結びつけた融合体が GALLERYに集まる。

――なんでこんなに朝早くから開けてるんですか?
「朝から空いてると街に安心感あるでしょ。人間の生活時間に合わせたいなぁと思って。」

ふらっとコーヒーを飲みに立ち寄った人が、奥のギャラリーに気づいて絵を見る。アートを見る、と構えなくていい。コーヒー飲む、と構えなくていい。

美術館やギャラリーの営業時間に合わせるのは、なかなか。ね。というアート好きな旅人にも嬉しい店なのです。

TAGSTÅ
福岡県福岡市中央区春吉1-7-11 スペースキューブ1F
Tel. 092-724-7721
営業時間 7:00~20:00
INSTAGRAM : @tagsta01
公式HPはこちら

さいごに

福岡はクリエイティブな街と言われて、移住者も増えています。新しい文化もこれから確実に生まれてくるでしょう。

コーヒー文化も日々進化しているけれど、今回ご紹介した3つのお店の共通点は、ごくごくシンプルな「人の生活圏と、人の生活時間に確実に根ざして、美味しいコーヒーを提供する」ということ。

そこにコーヒーがあって、音楽があって、アートがあって、人が集まって、心地よい会話が生まれる。それは、福岡の街の人たちが、食に対して、物に対して貪欲で、クリエイティビティを常に求めているから。

なんだか、他と違うな、と感じるお店は、感度の高い福岡の人たちが一緒に育ててきたのかもしれないですね。

福岡グルメの合間に、福岡のクリエイティブな空気に触れられるコーヒー店のはしごも、福岡のおすすめの楽しみ方です!

この記事を書いた人

SPK

SPK

大手コーヒー会社に13年勤務。2014年よりワークショップやイベントの企画運営を行う。2015年より、『Click Coffee Works』を開始。 「福岡を美味しいコーヒーと、それを楽しむ人で溢れる魅力的な街にする」ための、情報発信、イベントなどの企画運営を展開中。

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