山形ではようやく桜の季節が終わり、ピンクと白のさくらんぼの花が咲き始め眠っていた自然が動き出しました。山々に積もった雪が溶け始め、新緑が芽吹き自然の美しさが感じられる初夏。冬の間、雪に覆われていた出羽三山も人々を受け入れ始めています。今回ご紹介するのは出羽三山の神々を合祀する羽黒山。修復を終えた国宝・五重塔も見応え抜群です!
出羽三山とは??
出羽三山とは山形県にある月山、羽黒山、湯殿山の総称で一番標高の低い羽黒山は一年を通じて訪れる事ができます。古くから信仰の対象として崇拝され厳しい修行をする霊場としても知られており、西のお伊勢様に詣でる事を「伊勢参宮」、東の出羽三山に詣でることを「東の奥参り」と称して今でもたくさんの参拝者の方が訪れています。

今回ご紹介するのは三山の神々を合祀する羽黒山。山頂に至る約2kmの参道には樹齢300年~600年にもなる杉の大木が生い茂り、思わず深呼吸をしたくなるくらいマイナスイオンがたっぷり。ミシュラングリーンガイドジャポンの3ツ星にも認定されており目に優しい木々の緑を眺めつつ神聖な空気が漂う参道を歩いてみましょう。
神聖な気持ちになる杉並木の参道

杉並木の参道の入り口にあたる隋神門。月山、湯殿山まで続く広大な神域との境界でもあり入口となります。隋神門をくぐると不思議と空気が冷たく感じられ身が清められる感じがします。

隋神門から山頂まで全長約2kmある参道は2446段の石段で、両側には樹齢300年~500年の杉並木が続きます。その数585本! 国の特別天然記念物に指定されています。
陽射しが柔らかく差し込み、木々の緑の中を澄んだ空気をたっぷり吸いながらゆっくり参道を歩いていきます。

石段を下りて行くと祓川にかかる赤い橋、神橋が見えてきます。
神の山々の裾を流れていることから祓川と呼ばれ昔はこの川の水で身を清め羽黒山へ向かったそうです。

神橋の右側に見えてくる須賀の滝。江戸時代に遠く月山から水を引いて造られました。

羽黒山の杉並木の中で最大最古の巨木。その名も「爺杉」樹齢の推定はなんと1000年!
堂々としたその姿に思わず手を合わせてしまいます。
この近くに婆杉があったそうですが残念ながら暴風で倒れてしまったとか。

爺杉の偉大さに感動し、ふと右側に視線をやるとなんと木立の奥に五重塔を発見!!
修復を終えた国宝 五重塔は必見!

杉並木の間から現れる堂々と聳え立つ五重塔。

素木造り、屋根は柿葺き、三間五層の均整のとれた優美な姿で東北では最古の塔です。高さが約30m。修復工事が終わりその優美な姿はさらに輝きを増しています。

ゆっくりと一周しじっくりと建築の美しさを堪能しましょう。
この五重塔を過ぎると一の坂が始まり標高414mの羽黒山の頂上にある三神合祭殿まで石段が続きます。体力に自信のない方はここで引き返し有料道路を使えば車で山頂まで行くことができます。無理せずにご自身の体力に合わせて参拝しましょう。
羽黒山 三神合神殿でお参り

羽黒山の山頂にある三神合祭殿。
茅葺木造建築物として日本で最大の大きさを誇り月山、羽黒山、湯殿山の神々が祀られています。三山の神を祀る山であると同時に現在の世を生きる人々を救う仏を祀り羽黒山は「現在の世を表す山」とも言われています。
●出羽三山神社・三神合祭殿
山形県鶴岡市羽黒町手向字手向7

冬の間は積雪のため参拝ができなくなる月山、湯殿山神社の里宮としての役割も果たしています。
月山は死後の安楽と往生を祈る過去の山、湯殿山は生まれ変わりを祈る未来の山とも言われ、出羽三山への参拝は現在、過去、未来を巡る生まれ変わりの旅として今でもその伝統を受け継ぎたくさんの参拝者が訪れます。これから夏を迎え月山、湯殿神社も開山されますのでこの機会に全てを巡るのもおすすめです!