都心から近い秩父には、34カ所に点在する札所があります。隠れた紅葉狩りスポットを知るキッカケになったのはご朱印集めでした……。
最初から真っ赤に染まるモミジはなく、黄色から少しずつ色づいていきます
山深くにある「札所31番観音院」で自然を楽しむ
秩父市街地から国道299号線で向かうこと約40分。秩父最西端の山深い場所にある観音院は、もっとも険しい難所に建つお寺です。山門には、高さ4mの石造りで日本最大の仁王像が出迎えてくれます。「厄除け階段」とも呼ばれている、296段という数字には意味があります。
紅葉狩りのメインはここ! 梵鐘の周りが真っ赤に
梵鐘(ぼんしょう)を包み込むように、真っ赤に染まるこちらでの紅葉狩りは期待を裏切りません。わずかに色づき始めていますが、住職のお話では「天候不順とはいえ11月中旬が見ごろになる」とのことです。
ところで、参拝で訪れた際にはぜひ鐘を突いてみてください。何度も札所巡りで鐘突きしていると、心地よいクセになってしまうんですよ。
そのほか、山奥ならではの自然が見どころ!
大岩壁がくり抜かれたような、ダイナミックな自然を感じる場所に建つ観音院。
こちらには、「開運・安産・出世・仕事・商売繁盛・健康・病気治癒・安全祈願・厄除け」のご利益があるとされています。長い階段を登ってきた甲斐があります。
水量は少ないですが、観音堂の左側岩壁から落差約60mの一条の滝が落ちています。滝の音は、弓型をしている岩壁に反響して心地よく聞こえます。
他にも、「1700万年前の地層」「東奥の院」「岩廂(いわひさし)にある石仏群」など、急斜面の山道はあるものの、約15分で1周できる見どころもあります。西奥の院は、現在がけ崩れのため立入禁止になっています。
裏山から秩父市街を一望できる「札所23番音楽寺」
紅葉狩りのメインはここ! やはり梵鐘の周りが真っ赤に
「音楽寺」でも、やはり梵鐘の周りが真っ赤になって美しいです。観音堂に参拝する前に、梵鐘を突きましょう。音楽寺という名前からして、鐘の音が「美しく高く響く」ように感じます。
観音堂や梵鐘に迫るようなモミジが色づきはじめていて、紅葉狩りの時期だけは主役になろうとしているように見えます。これまでの青モミジの背景が真っ赤なカーテンに変わることを想像するだけで、ウキウキしてしまいます。
音楽を志す人たちが訪れる音楽寺
音楽寺の由来は、開拓した13人の権者がこの地で松風の音を聴いて、「菩薩の音楽だ」と感じたことから付けられました。音楽寺は、「技芸上達・学業・合格祈願」のご利益があるとされていて、歌手のポスターが所狭しと貼られています。
武甲山と秩父市街を一望できる裏山からも紅葉狩り
本堂の裏山に登ると眺めの良い景色が広がっています。本堂や梵鐘そばのモミジのてっぺんが、黄色からピンク色に変わり始めているのが観えます。
モミジのシャワーに圧倒される「札所20番岩之上堂」
観音堂を覆い隠すようなモミジは、オレンジ色から真っ赤に染まる……そんな移り変わりを観るのも紅葉狩りの楽しみのひとつです。
モミジをかき分けながらお堂に進むような感じです。木のテッペン付近から、オレンジ色に色づきはじめています。まるでシャワーを浴びているように感じる小さな庭園です。
子育てのご利益がある観音堂
岩之上堂は、「子育て」のご利益があるとされています。不思議な伝説もある、女性を助ける観音堂なのです。
こちらは、女性に人気のある「猿子の瓔珞(ようらく)」。
岩之上堂の由来は、我が子に飲ませる母乳が出ないことを悲観して、荒川で入水自殺をしようとしたところ、どこからともなく「岩の上堂にしたたる清水を飲みなさい」という声が聴こえたそうです。その通りにすると、母乳がほとばしったという言い伝えがあります。
瓔珞は母親たちが安産や子供の健やかな成長を願って奉納したものです。
紅葉がカラフル! 断崖絶壁に建つ「札所28番橋立堂」
秩父市街から国道140号線を山梨方面に約15分進んだ場所にある橋立堂。「交通安全」のご利益があるとされ、札所巡礼の交通安全のパワースポットにもなっています。
観音堂前のモミジの色が微妙に違う!
観音堂に向かって右側のモミジ。すでに黄色く色づいていますね。観ごろになると真っ赤に染まります。
観音堂に向かって左側は、階段の始まる付近はオレンジ色のモミジで、中段から上は黄色に染まります。
ほかにも見どころが盛りだくさん
橋立堂にはカフェテラスや食事処もあり、また行動派の方は鍾乳洞の探検もできます。ぜひそちらもあわせてたっぷり楽しんでみてください。
色づきが早い「札所1番四萬部寺(しまぶじ)」の裏山のモミジ
四萬部寺にはピンク色やオレンジ色のモミジが多く、秩父の中でも紅葉が進んでいるポイントです。「開運・家内安全・健康・病気治癒・安全祈願・厄除け・長寿祝い」のご利益があるとされています。
本堂に参拝する前に、武甲山に向かって突く「平和の鐘」の音色を楽しみながら突きましょう。
四萬部寺のモミジはもうすでに真っ赤!
枝ごとに色づく程度も違いますが、本堂裏の真っ赤なモミジが出番を待ち望んでいるように見えます。
四萬部寺の小高い丘のモミジも、日に日に真っ赤に染まっていく様子が観られます。モミジが主役になる日が間近になっていることを感じます。
いかがでしたか? 秩父札所巡りには、紅葉の移り変わりを観る楽しさがあります。ぜひ、モミジのさまざまな顔を堪能してくださいね。