まるで絵本の世界! フランス・アルザス好きが語る8つの魅力
フランス

アルザスの魅力

ドイツとの国境に近いフランス東部に位置するアルザス地方には、カラフルな木組みの家々が並ぶ絵本のような風景が広がっています。

歴史上、フランスとドイツが激しい領有権争いを繰り広げてきたこの地方は、フランスとドイツの文化が混じりあった独特の町並みや文化が魅力。

フランスとの国境まで車で20分、ドイツ南西部に住む「アルザス好き」を自認する筆者がその魅力を語ります。

世界遺産「ストラスブールのグランディル」

アルザスの魅力

アルザス地方の中心都市が、欧州議会の本拠が置かれているストラスブール。木組みの建物が多数残る旧市街は「ストラスブールのグランディル」として世界遺産に登録されています。

ストラスブールのシンボル的存在が、1,000年以上の歴史をもつノートルダム大聖堂。かのゲーテをして「荘厳な神の木」と言わしめたファサードは、まるでレースのように繊細な彫刻でびっしりと覆われています。

 

壮麗な外観のみならず、13~14世紀のステンドグラスが美しい内部装飾や、からくり人形が付いた天文時計も見ごたえ十分。

アルザスの魅力

ストラスブールで最もフォトジェニックなエリアが、「プティット・フランス」と呼ばれる運河に囲まれた地区です。

かつて革なめし職人たちが住んでいたエリアで、水面に可愛らしい木組みの家々が映る様子は、ストラスブールを代表する風景のひとつ。

天気の良い日は、ただ歩いているだけで幸せな気持ちになれる場所です。

「ハウルの動く城」の舞台!? コルマール

アルザスの魅力

ジブリ映画「ハウルの動く城」のモデルになったといわれているのが、コルマール。

フランスとドイツの戦争の火種だったアルザス地方にありながら、ほとんど戦災に遭っていないため、中世からルネッサンス時代にかけての町並みがそのままに残り、タイムスリップしたかのような気分が味わえます。

 

町を走る運河に沿って、カラフルな木組みの建物が並ぶ光景は、おとぎの世界さながら。現在はその多くがレストランやカフェ、ショップとして使われている木組みの家々は、それぞれ個性豊かに飾られていて見ているだけでうきうきします。

アルザスの魅力

コルマールを代表する歴史的建造物のひとつが、1537年に建てられた「プフィスタの家」。

尖塔や出窓が印象的なこの建物は、「ハウルの動く城」の冒頭シーンに登場する建物にそっくりと話題になりました。映画を観たことがある人なら、きっとピンとくるはずですよ。

フランスの最も美しい村

アルザスの魅力

フランスには、フランスの最も美しい村協会が認定する「フランスの最も美しい村」が150あまり存在します。

アルザス地方では、ウンスパック、エギスハイム、ミッテルベルグハイム、ユナヴィル、リクヴィルが最も美しい村として認定されています。

いずれもアルザスの古い町並みと伝統が残る村ばかりですが、どれかひとつだけ訪れるとしたら、コルマールからバスでおよそ30分のところにあるリクヴィルがおすすめ。

 

アルザスワインのブドウ畑に囲まれて、赤茶色の屋根が連なるリクヴィルの風景は、その美しさから「ブドウ畑の真珠」と称えられています。

リクヴィルの魅力は、アルザスの村のなかでもひときわカラフルな町並み。絵本から飛び出してきたかのような木組みの家々はあまりにも可愛らしく、どこから写真を撮ればいいのか迷ってしまうほど。

アルザスの魅力

レストランやカフェ、土産物屋も多く、グルメやショッピングにも事欠かない一方で、メインストリートを外れると、観光地らしからぬ静寂の世界が……。

「村」の概念が変わるほど華やかな風景と、昔ながらのアルザスの田舎の風景の両方に出会えます。

花いっぱいの風景

アルザスの魅力

伝統的に家の装飾に力を入れるアルザス地方は、フランスのなかでも特に花いっぱいの風景が楽しめる場所。ほかの地方からアルザス地方に入った途端一気に色彩が増し、「アルザスにやってきた!」と実感します。

 

フランスには「花いっぱいの町」の認定制度が存在し、アルザス地方ではエギスハイムやコルマール、リボーヴィレなどが最高ランクの「4つ花」を獲得しています。

なかでもエギスハイムは、2006年に「ヨーロッパ花の町コンクール」で金賞を受賞した村。

「フランスの最も美しい村」にも認定されていて、同心円を描く村には、木組みの家々が並ぶアルザスの伝統的な風景の数々が詰まっています。

アルザスの魅力

エギスハイムを象徴するスポットのひとつが、路地が二股に分かれるポイント。この先にどんな風景が待っているのか、ワクワクしますね。

ドイツの影響を受けた名物料理

アルザスの魅力

ドイツ文化の影響を受けてきたアルザスでは、フランスのほかの地方とは違った独特の食文化が育まれてきました。

代表的なアルザス料理のひとつが、シュクルート。塩漬け発酵させたキャベツを豚肉とともに白ワインで煮込み、ソーセージやジャガイモなどと盛り合わせた豪快な一品です。

アルザスの魅力

「アルザス風極薄ピザ」と呼ばれるタルト・フランベも典型的なアルザス名物。ごくごく薄いパン生地にフロマージュブランまたはサワークリームを塗り、薄くスライスした玉ねぎとベーコンを散らして焼いたものが伝統的なアルザススタイルです。

 

薄いのにミルフィーユのように層になったタルトフランベ生地は、軽くサクサク。なめらかなフロマージュブランと塩気のあるベーコンのハーモニーは病みつきになるおいしさです。

おいしい焼き菓子

アルザスの魅力

お菓子がおいしいことで知られるアルザス地方は、パリで活躍するピエール・エルメ氏をはじめ、数々のパティシエを輩出してきました。特にクッキーやビスケット、クグロフをはじめとする素朴な焼き菓子が有名です。

クグロフにパン・デピス、タルト・オー・フロマージュブラン、アルザス・マカロンなど、アルザス名物のお菓子は枚挙にいとまがありません。

アルザスの魅力

アルザスのパティスリーでは、しばしば昔ながらの素朴な郷土菓子と、パリで見かけるような見た目も美しい洗練されたお菓子の両方が並んでいるのが特徴。

伝統的なスイーツとモダンなスイーツ、どちらも楽しめるのがアルザスのお菓子の魅力なのです。

高品質なアルザスワイン

アルザスの魅力

アルザスはフランス有数のワインの産地。北はマーレンハイムから南はターンまで、ライン川の平野やヴォージュの山々、一面緑のブドウ畑をぬって走るアルザス・ワイン街道は、約170キロにも及びます。

世界シェアナンバーワンのガイドブック「ロンリー・プラネット」2010年度版で、アルザス地方は「訪れたい世界のワイン産地ベスト10」にもランクインしました。

 

アルザスワインは、フランスのなかでもちょっと独特な存在。フランスワインは通常、産地の細かな地区名がボトルに記載されているのに対し、アルザスワインは品種名が記載されているからです。そのため、アルザスワインを知るカギは、ブドウ品種にあります。

アルザスの魅力

アルザスワインに使われるおもなブドウ品種は、リースリング、ピノ・ブラン、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカ・ダルザス、シルヴァネール、ピノ・ノワールの7種類。

アルザスで生産されるワインのおよそ90パーセントが白ワインで、フランスのほかの地域では使われない細長いフルートボトルに入れられるのが特徴です。

 

なかでも、繊細な芳香と上品な果実味が持ち味のリースリングは、白ワイン用のブドウ品種としては世界最高峰といわれるアルザスワインの代表格。

すっきりとした風味が楽しめるリースリングはワイン初心者にもおすすめです。典型的なアルザス料理といっしょにいただくと、双方が引き立て合い、料理もワインもいっそうおいしく感じられますよ。

素朴であたたかい雰囲気

アルザスの魅力

日本では、フランスといえば真っ先にパリを思い浮かべる人が多いと思いますが、「パリは人が冷たい」とあまり良い印象を抱かない人もいます。

実は筆者もそんなひとり。パリには素晴らしい観光名所がたくさんありますし、あくまでも筆者個人の感想にすぎませんが、パリの人々の冷たさや高慢さには少々辟易しました。

 

対照的に、素朴であたたかい雰囲気が漂うアルザスでは、人々にもどこかおおらかな優しさがあります。

レストランやパティスリーなどのお店に入るとたいてい笑顔で迎えてくれますし、小さな買い物でも親切に対応してくれます。

 

よく「フランスで英語を話すと嫌がられる」といわれますが、筆者がアルザスでそれを感じたことは一度もありません。英語が話せる人なら、抵抗なく英語であれこれ教えてくれますし、歴史的背景や地理的要因からドイツ語を話す人も多いです。

アルザスの魅力

フランス領になったりドイツ領になったりを繰り返してきたアルザスの人々は、外国文化を受け入れ、異質なものと共存する柔軟性を身に付けているのかもしれません。

人口27万人の国際都市から人口数百人の村まで、さまざまな表情を見せてくれるアルザス地方ですが、どこに行っても共通しているのは、どこかほっとするような雰囲気。

 

アルザス地方ならではの素朴であたたかい空気感と、フランスらしい洗練された美意識が生み出す風景は、ここにしかないものなのです。

アルザスの魅力

この記事を書いた人

はるぼぼ

はるぼぼ旅するライター・ブロガー

和歌山出身。東京での会社員時代、旅先の長野でドイツ人夫に出会う。5ヵ月間のアジア横断旅行と2年半のドイツ生活を経て、2018年7月日本に帰国。これまでの海外旅行歴は60ヵ国240都市。特に目がないのが、「旧市街」「歴史地区」と名のつく古い街並みを歩くこと。旅のリアルな「ワクワク」をお伝えします。

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