時代劇などでバッサバッサと敵を切り倒す殺陣のカッコよさに魅せられて、新宿のスタジオで行われている「殺陣教室 寺子屋」へ取材に行ってみました。ここでは、現役で活躍する俳優さんが、撮影でも使用される本物の竹光(削った竹を刀身に見せかけて作った、形ばかりの刀)を使って指導してくれます。
「殺陣教室 寺子屋」の稽古は、新宿駅からほど近い「ノアスタジオ新宿」で開催されます。申し込みは当日でも可能なので、ちょっと気が向いたときに気軽に参加することが可能です。(開催日時はホームページで確認してください)
時間になると、体験に訪れた初参加の初心者だけでなく、毎週通っている常連の生徒さんたちも続々と集まってきました。今回の体験教室の参加者は、学生さんから外国人の方までさまざまで、日本のみならず世界的にも人気があるのが伺えます。
日本への観光客も増える中、これまでの有名な観光地巡りだけでなく、このような伝統芸の体験もこれからどんどん需要が伸びてくるに違いありません。
まずは、動きやすい服装(Tシャツやジャージ)に着替え、歩き方から礼の仕方など、殺陣の技に入る前の動作を覚えていきます。それが終わると、いよいよ刀を装着。
腰に帯を締め、そこに鞘に入った竹光をさすのですが、もうこれだけで見た目のサムライ度は一気にアップ。私は写真の撮影があったため、その様子を傍らで見ているだけでしたが、刀を装着した参加者たちのワクワク感が伝わってきました。
準備が整ったら、ここから刀を使った殺陣の稽古に入ります。教わるのは、殺陣の基本動作となる「基本十手」。決まった型を決まった順番に行っていくのですが、こういうものが存在していることを初めて知りました。
これらが組み合わさって、時代劇などで見られる立ち回りが成り立っているのだと思うと、この先見方が変わってきそうな気がします。
それにしても、この「基本十手」というのは、上手な人がやると本当にカッコいい! 飛んだり跳ねたりの派手さはありませんが、その分、余計な動きでごまかしがきかない、いわば「素材の味」がよくわかるもの。
これをカッコよくできるようになるにはそれ相応の稽古が必要ですが、いつの日かマスターした暁には、かなり周りに自慢できそうです。
「基本十手」を何度か繰り返し少し動きに慣れてきたら、今度は実際に、刀を持った相手に斬りかかる練習。殺陣を得意とする俳優さんの指導なので、より実践的な演技指導も加わり、馴染みのある「チャンバラ」のイメージに近づいていきます。
テレビの時代劇を見ていると、斬る方も斬られる方も簡単そうに見えますが、この稽古を体験すると、実は刀の位置や間合い、倒れる場所など緻密に考えられているのがわかり、それを視聴者に感じさせないプロの演技というものに本気で感心してしまいました。
まったくの初心者が行う稽古は、もちろん、すぐにはテレビのようにはいきませんが、それでもみんな真剣かつ楽しそうに刀を振り回しています。
最初は恥ずかしげだった参加者も、慣れていくうちにだんだんと盛り上がってくるのがこちらにもわかり、そういう変化を見ていると、こんな短い時間でも人って成長するんだな……。と妙に感動してしまったり、殺陣とは関係ないところでもいいものを見させてもらいました。
全員で一通り役をこなしたら、最後にサムライ式の礼をして体験教室はあっという間におしまいです。