都内から西へ電車で1時間ほど、奥多摩地方の武蔵五日市駅は、登山客はもちろんのこと、キャンプやサウナを求める若者達で賑わっています。さらに日本通の外国人観光客も大自然の癒やしを求めてやってくるのだとか。今回はそんな奥多摩エリアの癒やし系パワースポットということで、秋川渓谷と檜原村に鎮座の貴布祢伊龍(きふねいりゅう)神社をご紹介します。
秋川渓谷

都心から中央線と、五日市線に揺られ、終点武蔵五日市駅に近づく頃には、車窓がすっかり自然豊かな景色に変わっています。駅を出てロータリーの1番乗り場から「十里木・瀬音の湯・養沢方面 」行きバスに乗り、秋川渓谷を目指します。秋川渓谷周辺は見どころも多いので、それぞれの最寄りのバス停名をあらかじめ調べておくのがオススメです。
ちなみに定番の「石舟橋」と温泉施設「瀬音の湯 」に行くなら「十里木(じゅうりぎ)」で下車しましょう。

バスを降りたら5分ほどで、秋川渓谷のシンボル石舟橋が視界に入ります。橋から望む瑞々しく雄大な景色に心が震えます。ちなみにこの清流沿い約20キロメートルが秋川渓谷と呼ばれており、季節ごとに変わる表情を楽しむリピーターもいるのだとか。

多摩川の支流の中で最大の秋川。源流に近く山のエネルギーにあふれた川の流れを眺めるだけで、五感が解放されすがすがしい気持ちになれるはず。

橋を渡って森林浴したら温泉施設「瀬音の湯」で一休みはいかがでしょう。温泉に浸かったり、おいしいものを食べたり…山の緑に囲まれた最高のご褒美になりますよ。
・秋川渓谷
東京都あきる野市戸倉1420
東京の唯一の村にして秘境・桧原村

秋川渓谷を後にしてバスに揺られること数十分。気づけばそこは都内唯一の村、桧原村です。村の9割以上が森林のため「東京の秘境」とも呼ばれる場所。つい1時間前には高層ビルで埋め尽くされた都会にいたことが信じられないくらい、そこには180度異なる大自然が広がっています。

檜原村周辺にはパワースポットが点在しており、例えば日本滝百選の「払沢(ほっさわ)の滝」、2億5千年前の地層が露出した「神戸岩(かのといわ)」がよく知られています。どちらも近くまでバスでアクセス可能です。(ただしどちらもバス停から徒歩15~40分ほどかかります)
ただし今回はあえて、有名どころではなく、人もまばらな穴場をご紹介させてください!
秘境の古社ー貴布祢伊龍神社

武蔵五日市駅の同じく1番のりばから発車の西東京バス「檜原村(ひのはらむら)方面」行きのバスで20分ほど。「和田向」で下車すると、山小屋のような道の駅「山の店」に迎えられます。

お目当ての神社はここからさらに20分ほど坂道を登るので、お手洗いまたは水分補給などお忘れなく。木のぬくもりを生かしたお手洗いが併設されているので、利用しない手はありません。また車でお越しの場合も、駐車場があるので便利です。

道中は舗装された道なので歩きやすいものの、ひたすら上り坂なのでいい運動になります。さらに脇にある清流のおかげなのか、都心では見かけない植物や虫が歓迎してくれるのも嬉しいところ。

一汗かいてたどり着いた神社の大鳥居。神域を示す迫力に、思わずうなり声をあげてしまいました。鳥居をくぐると、杉やケヤキなどの巨木に守られた厳かな神域に引き込まれます。
貴布祢伊龍(きふねいりゅう)神社とは

創建年代こそ不明ですが、17世紀の記録には格式の高いお社として記載されており、その歴史の古さがうかがえます。さらに社伝によると、明治後期に周辺の神社が合祀されて現在の神社の形になったとか。
【ご祭神】
・国常立尊(くにのとこたちのみこと):天地創造・大地のエネルギーを司る男神様
・猿田彦尊(さるたひこのみこと ):「道開き」の神様
・天手力男尊(あめのたぢからおのみこと):怪力の神様で「自ら運命を切り開く」ご利益で有名

古の時代、この奥多摩地域は山岳信仰の聖地であり修行場でした。当時の神仏習合の影響で仏教と神道の神様が一緒に祀られていることが多いのですが、この貴布祢伊龍神社も例にもれません。ご神体は山岳信仰で大変大事にされている仏様、不動明王像と十一面観音像です。
巨大な岩が放つパワー

貴布祢伊龍神社で注目すべきは大自然の原始的なパワーを放つ、巨大な岩の数々です。まずは本殿裏に鎮座する磐座(いわくら)に手を合せましょう。磐座とは古代日本人の信仰の在り方を表すもの。神が宿る依り代として大きな岩が当時崇め奉られており、それがのちに神社という形態に発展して現在に至ります。
また近年では大ヒット漫画『鬼滅の刃』の主人公が修行した大きな岩ともリンクするものがありますね。実際に鬼滅の刃の主な舞台が奥多摩エリアなので、今後鬼滅ファンにもオススメです。

次に神社脇には大きな岩とその隙間を流れる名もなき滝。これは滝行の場だったのではと想像を掻き立てられます。自然による絶妙なバランスで積み重なった岩と無色透明な清流。神社の浄化装置とも呼ぶべき、まさに境内随一のパワースポットです。

あくまで筆者の主観ですが、画像の左、木の根の下にある岩が龍頭に似ており、龍が水を吐き出しているように見えます。ぜひ足を運んでご自身の目で確認いただけたら嬉しいです。決して観光客が大挙して訪れる神社ではありませんが、そのおかげで純度の高い自然エネルギーに身を委ねながら、静かにお参りができて満足です。
●貴布祢伊龍神社
東京都西多摩郡檜原村下元郷266
御朱印は坂の下のお店で

参拝を終えて元来た坂道を戻り、先ほどの山の店に戻ります。ここでは村の生産者さんによる新鮮な野菜や、桧原村プロダクトなど魅力的な品々が勢ぞろいで、バスを待つ間にお土産選びを楽しめるはず。
また道路を渡った斜め前の「森の風゜」と書いて「もりのぷう」と読む、ちょっと不思議な店名のパン屋さんもオススメです。天然酵母の焼き立てパンが、都心よりはるかにリーズナブルなお値段で手に入るのでファンも多く、ひっきりなしにお客さんが来店していました。
貴布祢伊龍神社の御朱印は、山の店、森の風゜、そして同じ檜原街道沿いのタカトリ美容室でいただくことができます。(初穂料500円)
・山の店
東京都西多摩郡檜原村下元郷22
日帰りも良いけれど1泊もオススメ!

都内から日帰りで行ける秋川渓谷~檜原村地区ですが、他にも見どころ満載なのであえて1泊2日でゆっくり自然の恵みに触れる、癒やしトリップもオススメです。
周辺には宿泊施設やキャンプ場も多いので、ご自身のスタイルに合わせた旅のプランが可能です。ちなみに筆者は秋川渓谷よりさらに山を登った先のキャンプ場に1泊してアウトドアを楽しみました。
自然豊かなこの地に長く滞在すればするほど、帰る頃にはエネルギーも回復し、気分もリフレッシュしているはずですよ!




