東照宮と言えば日光。そしてパワースポット通なら、上野公園の東照宮もご存知かもしれません。しかし、川越の「仙波東照宮」を知る人は少ないのでは。いにしえの面影を残す森に鎮座する東照宮。そこは荘厳で神秘的な空気に包まれたパワースポットでした。
東照宮の向かい側に鎮座する日枝神社は、大人気の赤坂の神社ゆかりの由緒正しい神社。こぢんまりとした境内ですが、実はエピソード満載。古墳が隠れていたり、七不思議伝説があったり・・・今回はそんな「観光客が訪れない」川越のパワースポットへあなたを誘います!
徳川家康ゆかりの東照宮―有名どころは?

川越の東照宮のご紹介の前に、ちょっとだけ歴史の勉強をしておきましょう。江戸時代の開祖徳川家康を祀った東照宮は全国各地に見られますが、中でも三大東照宮が一般的によく知られています。
・久能山東照宮(静岡県):家康が没した場所に近く、埋葬された地
・上野東照宮(東京都):家康のブレーン天海が寛永寺境内に建立。豪華な装飾が有名に
・日光東照宮(栃木県):言わずと知れた東照宮の総本山。家康の遺言により久能山に埋葬されて1年後に移葬された地

川越の仙波東照宮は知名度と規模の点では三大東照宮にはかないませんが、実は日光東照宮とも密接な関わりがある、由緒正しい東照宮なのです。久能山で埋葬された家康の遺体を、日光へ改葬する旅の途中に立ち寄ったのがこの川越。その際に家康のブレーンを務めた天海僧正が大法要を行い、その場所(喜多院)に東照宮を創建した経緯があります。
天海は風水による江戸の町設計にも一役買った人物なので、まさに江戸時代を作った2人の重要人物ゆかりの東照宮と言っても過言ではありませんね。
川越の仙波東照宮は静かで荘厳なパワースポット!

それではいよいよ川越の東照宮へ足を踏み入れてみましょう! 西武線本川越駅にほど近い東照宮中院通りをそのまま東へ進むこと約15分。観光客が食べ歩きを楽しむ蔵造りの街並みから外れた、閑静な住宅街に突如森が現れます。その正体こそが今回の目的地、仙波東照宮です。

この界隈は観光客もまばら。静寂に包まれた境内を進んだ先にある急勾配の階段が、あなたを社殿へと導きます。

残念ながら鉄格子の門の先へは進めないので、格子越しにお参りします。

仙波東照宮でのイチオシは、社殿の丘周りの小径。丘の麓を一周できるように整備されているので、ちょっとした森林浴気分で東照宮の神秘的な森を散策できます。規模は小さいものの、日光の東照宮の厳かなエネルギーをここ、川越の仙波東照宮でも感じ取れるはず。

波瀾万丈の人生を送りながらも最高権力者となった徳川家康。そして、その後の江戸時代の繁栄にあやかり、この東照宮では出世開運のご利益を授かれることでしょう。

境内にはカフェも併設されているので、森の中で静かなひとときを過ごすのも良いですね。
埼玉県川越市小仙波町1-21-1
11:00-17:00 ( L.O 16:30 )
火曜定休
葵庭園―ホタルが宿る弁財天

仙波東照宮は川越の天台宗の寺院・喜多院に隣接しており、東照宮境内からそのまま喜多院へ移動できます。その道中に鎮座する「葵庭園」の古い祠は、巳年の2025年にぜひお参りいただきたいパワースポット。

小さな浮島なのでお察しの方もいらっしゃるかもしれません。この古い祠の正体は、巳年ゆかりの神様・弁財天です。筆者が訪れた際には近くの保育園の子供達で賑わっていましたが、普段はひっそりとこの森を守っているのでしょう。

周囲の池は川越葵ライオンズクラブの整備管理のおかげで、ホタルが生息しています。毎年6月末にはホタル鑑賞会「ホタル祭」が開催され、幻想的な夜景を楽しめるそうなので、気になる方はタイミングを合わせて仙波東照宮へ足を運んでみてください。
仙波日枝神社―都内有数のパワースポットの原点

仙波東照宮と喜多院の道路向かい側に鎮座する仙波日枝神社。社名でお気づきかと思いますが、巨大な鳥居とエスカレーターで知られる、都内の赤坂日枝神社ゆかりの神社です。
厳密に言うと、元々あった仙波日枝神社が分祀されたのが赤坂日枝神社。今では赤坂の方が規模も大きく、日々多くの参拝客が訪れる都内有数のパワースポットですが、それに反して本家の川越の方は参拝客も少なくひっそりしています。
祭神・ご利益・浄化エネルギー

そして、この川越の日枝神社も、元は比叡山の麓にある日吉神社の守り神・大山咋神(おおやまくいのかみ)を勧請して創建されました。大山咋神はもとより「土地に杭を打つ」=「土地を守る」神様なので、土地や家内安全のご利益を授けてくださいます。

筆者が個人的にエネルギーを感じたのが手水舎。この仙波日枝神社の手水舎のお水はひときわ澄み切った浄化のエネルギーを放っています。
古墳の神社

注目すべきはこの神社がなんと、古墳跡地に鎮座していることです。境内を横から見ると小高い丘になっているため、その名残が感じられます。

日枝神社古墳(別名:多宝塔古墳)と呼ばれ、勾玉や埴輪などが出土したそうです。大正時代に県道工事で古墳は潰されてしまいましたが、小高い丘の存在がその名残を感じさせますね。
川越七不思議

日枝神社の魅力として、向かって右側にある「底なしの穴」も忘れてはいけません。こちらは「川越七不思議」の1つとして今なお語り継がれる穴の跡。現在はすっかり埋められていますが、昔は底知れぬ深さで物を投げ入れると500メートル先の双子池に浮かんでいたとか。おそらく深い地底で2つの地点がつながっているのでしょう。

仙波日枝神社は歴史的にも、パワースポットとしても大変興味深い神社ですが、素通りされてしまうことが多く残念に思います・・・パワースポットは必ずしもサイズが重要というわけではなく、人が少ないからこその魅力もあります。川越で本気のパワースポット巡りをご希望の際には、清らかなエネルギーに満ちた川越の日枝神社も、行き先に加えていただけたら嬉しいです!
●仙波日枝神社
埼玉県川越市小仙波町1-20-1
筆者イチオシのパワースポット―川越仙波エリア

川越は平日週末問わず、常に国内外の観光客で賑わっています。特に熊野神社や氷川神社は大人気のパワースポット。さらに商人の町として栄えた町なので、商売繁盛の神様・お稲荷さんも点在しており、開運散歩と称してお稲荷さん巡りも一興です。
川越のオススメお稲荷さんについてはこちらの記事をご覧ください。『川越の観光客がいないマニアのための開運スポット「お稲荷さん」4社巡り』
とはいえ、中には人ごみが苦手な方や、静かなパワースポットがお好きという方も多いのでは。そんな方々にオススメなのが、由緒正しい喜多院、今回ご紹介の仙波東照・日枝神社が鎮座する「小仙波町」エリアです。

この界隈は飲食店よりも神社仏閣が多く、古くから信仰の土地だったことから、パワースポットとしてのエネルギーに満ちているように感じます。周辺地域にはまだまだ興味深い神社などもあるので、今後もご紹介していきたいと思います。