井の頭線にある、池ノ上駅。小さな改札を抜けて住宅街を歩き出すと、古いものと新しいものが混ざり合った独特の空気が流れていて、不思議な心地よさがあります。
建物のスケール感や個人商店のたたずまいがちょうどよく、穏やかな街です。
アメリカンな温もりを感じられるカフェ『RoJean(以下、ロジーン)』は、そんな街の中にあります。
温かい木とレンガの質感と、やさしく灯る照明。ガラス越しに中の様子が少し見えて、初めてでも不思議と安心感がありました。
入口の手前には広めの半屋外スペースがあり、いきなり“お店の中”という感じではなく、ゆったりと迎え入れられている印象があります。
カンザスにいる、おばあちゃんの家のような空間

店内に入ると、照明の色や木のぬくもりがそのまま空間全体を包んでいました。
棚やカウンターには古い食器やアンティークの道具がさりげなく置かれており、全体的にアメリカンな雰囲気を随所に感じます。 こだわりを感じつつも、気取らない居心地の良さです。
インテリアを手がけたのは、オーナーの姉・麗子クリスタルさん。弟のトーマス龍さんと二人で、祖母・ロジーンさんの家の空気感をロジーンに再現したそうです。

店内は広すぎず、狭すぎず、お店の人とお客さんの距離が自然に近くなるちょうどいいサイズ感。
キッチンの方からは、パンが焼ける“カリカリッ”という音や、包丁でパンを切る“ザクッ”という音が聞こえてきて、それだけで少しワクワクしました。
アメリカンなBGMと、お客さんのやわらかい会話の声がふわりと重なって、家族が集まる朝のリビングのような雰囲気です。
心も身体も温まる、看板メニュー

この日選んだのは、一番人気の『グリルドチーズとトマトスープ』。
まずスープをひとくち口に運ぶと、トマトのやさしい酸味とバジルの香りがふわっと広がり、チーズのコクが後からじんわり追いかけてきました。
とろみがあるけれど、野菜の食感もほんのり残っていて、“ととのいすぎていない”ところに手作りのあたたかさを感じます。肌寒い日だったこともあって、一口で身体の芯から温まりました。
続いてグリルドチーズ。
パンは外側がカリッと香ばしく、中はもっちり。バターの香りも豊かで、チェダーチーズのとろとろ感と塩気が最高のバランスです。
スープとの相性も抜群で、かなりの満足感がありました。
見た目にも楽しいドリンク

『グリルドチーズとトマトスープ』と一緒に、『ライムエイド』もオーダー。
鮮やかな青のシロップが印象的で、グラスを持つだけでちょっと気分が上がります。
飲んでみると、ほんのり甘いシロップとライムの爽やかさがちょうどよく、あとから“追いライム”を加えると、さらに酸味とほんのりした苦味がプラスされて、ぐっと引き締まる味になります。
食事のあとにリフレッシュするのにもぴったりでした。
会話が自然と生まれる、あたたかな場所
カウンターには常連さんらしき方がふらっと座り、店員さんとフランクにおしゃべりしていました。
「最近どう?」みたいなやり取りが交わされていて、それを聞いているだけでもあたたかい気持ちになりました。 その一方で、常連さんだけの空間でもなく、そこにいる誰もが自然体で過ごしている感じがして、居心地がとてもよかったです。
店内のそれぞれの席で、お客さんが思い思いの時間を過ごしているのが見えるのも印象的でした。
ひとりで静かに過ごしている人もいれば、友人同士で楽しそうに話している人も。
お店の規模感がちょうどいいからこそ、それぞれの存在を感じながら、邪魔し合わない距離感が保たれているのかもしれません。

東京都世田谷区北沢1-9-2
アクセス:京王井の頭線「池ノ上駅」北口より徒歩約3分
営業時間:8:00〜15:00
定休日:月曜日