周辺を山々に囲まれた小さな盆地に位置する津和野町。島根県の南西部に位置し山口県との県境に近く伝統的建造物が保存された街並みは「山陰の小京都」とも言われています。自然豊かな山間部を抜けていくと緑の木々の中に何やら赤い建築物を発見。今回ご紹介するのは山中に鎮座する写真スポットとしても人気がある絢爛豪華な「太皷谷稲成神社」です。
別名は「津和野のおいなりさん」太皷谷稲成神社とは?

「いなり」と名前がつくことから神の使いのキツネと京都の伏見稲荷のように赤い鳥居が特徴的です。五穀豊穣や商売繁盛のご利益があると言われ「五大稲荷神社」のひとつでもあるため島根県内ではあの出雲大社についで2番目に多くの参拝者が訪れます。しかしお気づきでしょうか? 「いなり」の漢字が違いますね。「稲荷」ではなく「稲成」。

もともとは津和野藩主が津和野城の鬼門に当たる場所に神社を創建しその当時は藩主のみ参拝を許される場所でした。ある日、城内の蔵の鍵を管理する者がその鍵を失くしてしまい、切腹を命じられたのですが、7日間毎日必死に願掛けをしたところ願い叶って鍵が見つかり助命されたというお話から願いが成就するという意味合いで特別に「成」の文字が使われています。そのため「願望成就」の神様としても知られています。

ふもとからは約1000本の赤い鳥居が山肌を縫うように建てられ263段の階段を上った場所に神社があります。今は土台のみ残る津和野城の城山の一角に鎮座し江戸時代には時刻を知らせる太鼓が鳴り響いたことから太鼓谷と言われています。
山に点々と見える赤色の正体はこの赤い鳥居でした!
お供えものは「油揚げ」

お参りをする前にまずお供えものの「油揚げ」を手に入れましょう。なんと本物の油揚げです! ろうそくとマッチがセットになっています。マッチは良い旅の記念になりますね。

油揚げをお供えする場所がきちんと用意されており、隣にろうそくを灯す場所があります。

主祭神は穀物の神でありお稲荷さんとして広く信仰されている宇迦之御魂神(うかのみたま)。廃藩後は一般庶民も参拝できるようになり参拝者が激増したことから昭和44年に新社殿が創建されました。立派なしめ縄と赤い社殿は背後の山の緑に映えます。

古い社殿は「元宮」として残され御分霊が祀られています。
町を見下ろす絶景も見どころの一つ
お参りをした後はぜひ絶景をご堪能ください!

眼下には盆地の中を津和野川が流れ歴史的建造物が保存されている津和野の町が広がります。しばし時間が経つのを忘れるくらい見とれてしまう風景です。

最後にキツネの形をした入れ物に入ったおみくじで運試し!
入れ物は旅の記念にもなりますね。

「山陰の小京都」とも称される風情豊かな津和野の町巡りとともにぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
島根県鹿足郡津和野町後田409