秘湯「白骨温泉」はなぜ乳白色になる?成分を実感しに行ってきた
日本

山深い大自然を眺めながら、乳白色のお湯に浸かることができる温泉地、それが白骨温泉です。そんな白骨(しらほね)温泉の魅力をレポートします。

白骨温泉とは

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長野県松本市に位置する、標高約3,000mの剣ヶ峰を主峰とした乗鞍岳。その東側の山中に、白骨温泉はあります。

白骨温泉
白骨温泉の特徴は、乳白色のお湯です。湧き出した時には「透明」ですが、時間が経つと「乳白色」に変化します。
白骨温泉効能
その原因は、温泉に含まれているふたつの成分にあるそうです。
ひとつめは「硫化水素(硫黄分)」。この硫化水素が空気に触れて硫黄の微粒子が結晶化することで、お湯が白く濁ります。
もうひとつは「カルシウム成分」。地中では「重炭酸カルシウム」として溶けているものが、湧き出した時に炭酸ガスが水中から逃げ、重炭酸カルシウムが分解して炭酸カルシウムとなり、白く濁るのだそうです。
白骨温泉の浴槽の端は白く固まっているのですが、それはこの固まったカルシウム成分なのだそうです。

気になる効能は?

白骨温泉湯船
白骨温泉は「3日入れば3年風邪を引かない」と言われる、効能高い温泉なのだそうです。お湯は弱酸性。胃腸病のほか、婦人病・肝臓病・神経症・呼吸疾患・慢性疲労・美肌に効果があると言われています。また、飲むことで消化器系の臓器の血流が良くなり、臓器の働きを良くし、便秘に効く成分を摂取することも。日頃蓄積した疲労に効果がありそうですよね。

「内湯旅館まえだ」で実際に入浴してみた

温泉旅館まえだ外観
今回利用した宿は「内湯旅館まえだ」。白骨温泉の中では決して大きな宿ではありませんが、その分静かで利用客も多くはなく、ゆったりと過ごすことができました。温泉も24時間入ることができ、日頃の喧騒から離れゆっくり過ごしたい方には本当におすすめです。宿の方もとても親切な方でした。

温泉に入った感想

温泉旅館まえだの湯船からの風景
お湯はさらりとしていて、とてもきれいな乳白色です。時折、立ち上る湯気とともに硫黄の香りがふわっと香ります。乳白色の温泉に多い、ぴりぴりとした感じは全くありません。浴槽の周りには固まったカルシウム成分が付着していて、乳白色のお湯とともに眺めているだけでも健康によさそう。湯船の底にもカルシウム成分が沈殿していて、少しざらっとしていました。
また、露天風呂からは色付きはじめた山々がすぐ近くに見えます。紅葉を眺めながら、また青空に流れる雲をのんびり眺めながら浸かる乳白色の温泉は、至福の時間でした。

併せて楽しみたい、周辺の絶景スポット

歩いて行けるお散歩スポット!

白骨温泉は中部山岳国立公園に位置しているため、宿の周囲を散歩するだけでも、美しい自然を満喫することができます。
竜神の滝
こちらは白骨温泉観光案内所より徒歩約2分のところにある「竜神の滝」。岩を打つ水の音が心地よい場所です。
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徒歩約3分のところにある、三十三観音。江戸時代に建てられたとのことで、当時の人々もこの観音さまを見て白骨温泉に入ったと思うと、歴史を感じることができます。
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徒歩約3分の散策道と、冠水渓と隧通し(ついとおし)。白骨温泉にある湯川の流れが石灰岩を侵食してできた、自然のトンネルです。この上にバス停があります。
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冠水渓にかかる吊り橋からは雄大な山々や渓谷が見え、自然を肌で感じることができます。

バスを使えば他の絶景も楽しめます!

白骨温泉は中部山岳国立公園にある他の絶景スポットへもアクセスできます。
直通バスを使うと、上高地へは約35分、乗鞍高原へは約25分で行くことができます。
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私が上高地へ行った時には、野生の猿の集団に遭遇することができました。親子猿もいて、背中にしがみつく子猿が可愛かったです。
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松本駅へは約2時間。松本駅から徒歩約15分の松本城で歴史を感じるのもおすすめです。

大自然を身近に感じながら、静かに過ごすことのできる温泉地

周りが山々で囲まれているため、とても静かで自然を間近に感じることができました。特別に何かがあるわけではない場所だからこそ、雄大な自然が心に残っています。また違う季節に、大自然と乳白色の温泉に癒されに訪れたいと思わされました。

この記事を書いた人

さわら

さわらフリーライター、イラストレーター

栃木県生まれ。北海道、神戸で暮らし現在は東京在住。カナダに約1年間留学、アフリカ・マラウイでインターンシップを経験。イラストレーターとしても活動しており、主に風景や植物を描いている。自然が好きで、美しい風景を求めて旅をしている。カナダ人の夫と2人暮らし。

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