こんにちは、ライターの新田浩之です。
今回はチェコ共和国の首都プラハを元気に走るレトロトラムに乗ってきたので、そのレポートをお伝えします。
「レトロトラム」とは、20世紀前半に活躍した車両を使った観光用のトラムです。つまり、100年(!)もの年月を超えていることになります。
乗車するとまるで、100年前にタイムスリップしたような感覚になれます。
値段もそれほど高くなく、気軽に乗れるのでオススメですよ。
そもそも、プラハのトラムはどんな感じ?
まずは予習がてら、プラハの路面電車の概要から説明しましょう。
プラハの路面電車は総延長140キロ以上、車両数は900両にもなります。確かに、プラハ市内、どこを歩いてもトラムばかり目につきます。
地下鉄も走っていますが、あくまでも市内交通の主役はトラム。乗っていても、車内から観光スポットやプラハの様子がよくわかるので楽しいです。
そんなプラハのトラムのために「プラハ市交通博物館」という専用の博物館まであります。そして、この博物館からレトロトラムが発車しているのです。
プラハ市交通博物館を現地視察
プラハ市内のホステル近くの電停から「プラハ市交通博物館」へと向かいました。やってきたのは旧型車のタトラカー。この日は日曜日ということもあり、車内は多くの観光客でごった返していました。プラハ城近くの電停で一気に観光客が降り、車内は通常モードに。
「わざわざ交通博物館に行く人は、なかなかいないよな」と自分で半ば呆れながら、交通博物館近くの電停で降りました。
行ってみると、なんと交通博物館は「閉館」していました。少しがっくりしましたが、車庫の外には珍しそうなトラムも含めて、ズラリと並んでいます。「こりゃ、すごい」とアイドルを追うように(私はアイドルを追ったことはありませんが)、バシバシ写真を撮っていきました。
例を挙げると、見たことのないような水色のトラムや現役最古参と思われる6000番台のトラムまであります!
奥を見ると、車庫の中で写真を撮っているドイツ人の姿が。車庫を覗くと、相当昔のトラムが綺麗な状態で並んでいます。
興奮しながら撮っていると、どうも立ち入り禁止エリアだったらしく、スタッフの方に思いっきり怒られてしまいました。
いよいよレトロトラムに乗る
昼食を済ませ、いよいよ、レトロトラムが発車する13時が近づいてきました。
ちなみに、レトロトラムはなんと20世紀前半に走っていた車両をそのまま使っているのです。観光用として特別に「91系統」を与えられ、週末を中心に走っています。ちなみに、「91」は1991年に”観光用として”運行を始めたことに由来するそうです。
目の前にレトロトラムが現れました。100年前とは思えないほど、車体はピカピカ。車内に入ると、木の床に木のベンチです。「今だからいいけど、毎日は利用したくないなあ」というのが正直な感想。
妙に腰のあたりがゴツゴツして痛いのです。
13時定刻に発車! 当時の制服を着た運転士が、力いっぱいハンドルを「ガラガラ」と音を立てて回していました。床からは直接振動が「ガンガン」と伝わってきます。何だか、軽度の電気ショックを継続して受けているような感じです。
それでも、当時のトラムに乗れて興奮したのはいうまでもありません。
やがて、中心地へと差し掛かってきました。カレル橋や有名な観光スポットが次々と現れます。多くの観光客が物珍しそうにこちらを見つめています。
何だかスターになったような、変な優越感を感じました。本当のスターはレトロトラムの方なのですが。そして、次々と後輩のトラムとすれ違っていきます。
レトロトラムはひとつひとつの車両に「おい、頑張ってるか」と叱咤激励しているような感じでした。
30分ほど走って、終点のVystaviste電停に停車。本当に「あっ」という間でした。レトロトラムを通じてタイムスリップできたという満足度はもちろん、今のトラムの快適性も改めて認識しました。
レトロトラムへのアクセス
最後にレトロトラムの乗り方を解説しましょう。レトロトラムは土曜、日曜、祝日に運行しますが冬期は運休します。
ダイヤはプラハ市交通博物館を毎時0分(12時~17時)に発車します。なお、プラハ市交通博物館へはVozovna Stresovice(1系統、18系統、25系統)すぐ横、もしくはBrusnice(22系統)から徒歩5分です。なお、Brusniceはプラハ城電停のとなりになります。
交通博物館を出発した後、Vystaviste電停まで行き、そこで再び折り返します。
レトロトラムの運賃は35コルナ。一日券は使えませんのでご注意ください。