全ての電子機器が停止する、北極圏。ロシア、ムルマンスク-30度の世界とは
ロシア

こんにちはライターの新田です。
2013年の修了旅行に私は北極圏の街、ロシアのムルマンスクに行きました。季節は2月、気温は-20度~-30度!
日本ではなかなか体験できない気温の中、旅をしました。
今回は少しだけ、北極圏の世界をご紹介したいと思います。

街のど真ん中にスケートリンク

ムルマンスク市内
ムルマンスクは北極圏の中で最大の都市です。人口は約30万人、首都モスクワから飛行機や列車でアクセスすることができます。
私はサンクトペテルブルクから夜行列車で27時間かけてムルマンスクに12時30分に到着。昼間で晴れていたにも関わらず、どこか薄暗いのです。しかし、上を見上げると空がとても澄んで見えるのです。これには驚きました。

駅を出て、中心部に向かうと驚きの光景が目の前で繰り広げられていました。それは広場近くに作られていたスケートリンク。そこでは、子供たちが楽しそうにスケートしています。私は神戸市で生活しているので、街のど真ん中にスケート場があるというこのような光景に、心底驚きました。
私はこの時ガタガタ震えていましたが、現地の人々は全く平気な様子でした。

アリョーシャ像の到達まで一苦労

アリョーシャ像1
翌日、街を一望できる「緑の岬(アリョーシャ像)」に行くことにしました。像の最寄りの停留所でトロリーバスを降り、見上げると「スコーン」と澄み切った青空が目の前に広がります。ここから、アリョーシャ像が見える展望台まで歩くわけですが、大苦戦でした。まずひとつめに、「寒い」のではなく「痛い」のです。手袋を外すと、あまりにも痛いので写真を撮影するのも一苦労です。
そしてふたつ目に、積雪が30センチくらいあり、道が整備されていないので歩きにくいのです。雪が重たく、靴で雪を持ち上げるだけで体力を消耗します。何度も「引き返そうか」と思いましたが、「ここで諦めるわけにはいかない」と思い、歩き続けました。
アリョーシャ像2
歩くこと1時間、ようやくアリョーシャ像に到着。バス停にいる時よりも、さらに5度~10度気温が低いように感じました。

寒さで全ての電子機器が止まる

アリョーシャ像3
寒さによる「痛さ」に堪えて、iPhoneとデジタルカメラで写真撮影しました。すると、あまりの寒さのために、iPhoneもデジタルカメラも使えなくなってしまいました。目に風景を焼き付けるために、しばらくアリョーシャ像の傍で立ち尽くしていました。

「シーン」とした静寂な雰囲気と幻想的な風景。今まで味わったことがない感覚でした。「ここが最北か……」と何回も呟いていました。

ところで、冒頭で書いたとおり、私は修士論文を書き上げて修了旅行としてムルマンスクに行ったのです。しかし、修了2か月前にも関わらず、内定はゼロ! 最終面接に3回残りましたが、いずれも選考漏れになっていました。気持ちがモヤモヤしたままムルマンスクに行ったわけですが、この風景を見て気持ちが吹っ切れたのです。
「人数が多いところで安定しているよりも、孤独でアドベンチャーな方が向いているのかなあ」とかいろいろと考えましたね。

冬にムルマンスクに訪れる際の注意点

最後に、冬にムルマンスクに訪れる際の注意点を挙げておきましょう。
まず「無理をしないでください」。「何としてでもオーロラを見たい!」という気持ちは分かりますが、天候や体調を無視することは大変危険です。体調や天候が悪ければ、絶対に無理をしないでください。私は少々無理をした結果、ホテルに戻ると軽い凍傷になっていました。
そして、防寒具は大げさなほど用意しておきましょう。とにかく-30度の世界は「痛い」です。盲点は下半身。下からジンジンと冷えるので、ご注意ください。


それらにさえ気をつければ、日本では見られないような幻想的な光景を目にすることができます。ぜひ安全に楽しんでくださいね!

ムルマンスク

この記事を書いた人

新田浩之

新田浩之鉄道&中東欧旅行研究家

1987年生まれ。神戸市在住。専門は鉄道と中東欧です。国内では鉄道系イベントの取材、国外では中欧、東欧、ロシアの歴史スポットを訪ね歩いています。チェコアンバサダー2018

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