東京・三宅島が廃墟ファンにオススメなのは、噴火で埋まった学校や鳥居が現存するから
日本

日本には数多くの廃墟がある。長崎の軍艦島や奈良県の奈良ドリームランドなどが有名だが、ここ伊豆諸島・三宅島にも廃墟ファンが心を踊らせる場所がある。

多くの廃墟のように過疎化や来場者が減ったことなどで致し方がなくクローズしたものではなく、そこは自然の偉大な力、そう、噴火で溶岩が流れ込んだことにより廃墟となったスポットなのだ。

自らを犠牲とし、溶岩を食い止め廃校となったー阿古中学校

三宅島, 廃墟, 阿古中学校
約20年ごとに噴火を繰り返す三宅島。1983年に起こった噴火では三宅島の阿古という地域に溶岩が流れ、多くの民家を焼いた。その溶岩を体張って食い止めたのがここ、阿古中学校である。

錆ヶ浜港から車で5分、三宅島空港から車で20分の場所にある阿古中学校跡。海側にあるこの中学で当時は、綺麗な風景を見ながら子どもたちが勉強していたのだろう。
三宅島, 廃墟, 阿古中学校
三宅島, 廃墟, 阿古中学校
3階建てだった学校もほぼ溶岩で埋め尽くされ、3階だけが溶岩から顔を出している。
三宅島, 廃墟, 阿古中学校, 火山体験遊歩道
広々としたグラウンドは全て溶岩に埋め尽くされた。今そのグラウンドは火山体験遊歩道として溶岩の上を歩けるようになっており、溶岩の海を見渡すことができる。

当時の生徒は61名に教師が18名。噴火で溶岩が流れた日はちょうど休日で、ほとんど学校には人がおらず、死者は1人も出なかったことが不幸中の幸いであった。
三宅島, 廃墟, 阿古中学校
体育館の屋根は崩壊し、見るも無残な状態とはなってしまったが、この学校があったおかげで、阿古中学校の後ろに溶岩は流れず、海へ流れずにも済んだ。

阿古中学校は溶岩を堰き止め自ら廃校になり、人々や三宅島を助けた英雄の廃墟である。

阿古中学校

鳥居と本堂が土に埋もれた神社ー椎取神社

小さいものを含めれたば100以上の神社がある三宅島。その中でも1つ、奇妙な神社がある。それが椎取神社だ。
三宅島, 廃墟, 椎取神社
三宅島空港より車で約7分、錆ヶ浜港より車で約25分。道路沿いにすぐ入り口があり鳥居の前に車を止めた。

朱色の美しい鳥居と小さな本殿、そしてその周りには2000年の噴火の際に出たガスの影響で枯れたシイの木が椎取神社を囲い、他では見たことのない不思議な光景となっている。

この光景も十分見応えはあるが、廃墟ファンの心を踊らせるスポットは、鳥居を目の前にし左手に進むと現れる。
三宅島, 椎取神社, 廃墟
この写真が何か、お気づきだろうか。そう、鳥居と本殿が地面にすっぽりと埋まってしまい、先端のみが地面から出ている姿である。
三宅島, 廃墟, 椎取神社
その証拠に先端にはしっかりと「椎取神(社)」と書かれた表記。地面はもっと低かったのかということに気付かされる。

2000年の噴火で泥流が流れ込み、椎取神社の鳥居と本殿を埋めてしまったそうだ。本殿も見えるのは屋根の部分のみ。自然の力が一瞬にして飲み込んだ。

噴火で椎取神社のように溶岩や泥流が流れそれらの下に埋まってしまったものも多いが、椎取神社が壊れず、そのままの形で埋まったのは、やはり神社が三宅島を守ろうとしたからではないかと勝手に想像を膨らませる。

椎取神社

三宅島についてとアクセス方法

この島に行く方法は主に2つ。飛行機か船だ。

飛行機

飛行機だと調布飛行場から約50分。片道17,200円かかる。繁忙期以外は往復割引があり、31,500円になるのでこちらを利用するとお得だ。(*2017年9月現在)

船だと大型船で約6時間30分かかる。JR浜松町から徒歩5分ほど歩いたところにある港、竹芝桟橋から夜に出発し、三宅島には朝方到着する。季節により値段が変わるが、だいたい一番安い席で片道6,000円〜8,000円ほど。

インターネットで予約すれば15~20%割引(時期に準ずる)になるほか団体割引などさまざまな割引があるので、事前にチェックするのをお勧めする。

火山と共に生きる三宅島

三宅島, メガネ岩
2000年に起こった大噴火では全島民避難になり5年間島に戻れなかったが、今では2,000名以上の人がここで生活をしている。この島は火山を恐れず共に生きているのだ。
三宅島, cafe691
火山の影響で死んだ自然もある一方で、生まれ育つ自然がある。今では2000年に消えた緑が戻りつつある。

このように人も森も戻りつつあると同時に、火山で受けた被害が残る三宅島。廃墟となってしまった建物や神社は、三宅島の歴史を語る大事な場所となっていることには間違えない。

海も美しく、ドルフィンスイムやダイビング、釣りができるなどアクティビティが豊富な三宅島。ぜひ一味変わった廃墟巡りの旅をして見てはいかがだろうか。

自然の始まりと完成形が共存する島・三宅島

多くの火山を持つ日本は、きっとどこも今の三宅島のように、溶岩が地面いっぱいに広がっている姿から始まり、木が生え森となり、滝が生まれ、そして何事もなかったかのようにそこにいるのではないかと思う。三宅島では、そんな山や森の生まれた姿を見ることができる一方で、もうこれ以上成長しない完成形と言われる森も存在する。自然の1から10が一気に見ることができるのだ。

木が枯れて葉がなくなり幹が真っ白になっている姿や、阿古中学校跡などの姿を見ると、「終わり」を一瞬想像する。しかしその枯れた木は実は、新しい目を生やしていたり、阿古中学校跡も遊歩道ができ、人々がまた違う形で集まれるようになっている。

生まれ、壊され、再生し、それの繰り返し。地球とはなんぞや。人間とはなんぞや。を考えさせてくれる、奥深い島だった。
自然の始まりと完成形が共存する島・三宅島

この記事を書いた人

Fujico

Fujicoフリーライター/地域観光プロモーター

2015年に独立。主にフリーライターとして活動している。専門としては、トラベルや観光地域プロモーション。そして英日の翻訳・通訳も行っている。独立前は畑違いの販売業で、店舗マネージャーを務め、大阪で日々汗を流していた。 広く色々な場所にいくよりも、一つの場所を開拓するのが好きな性分で、今は月1以上のペースで東京の離島・伊豆諸島に通っている。趣味は「観光客がいない素晴らしい場所を見つけ出し、それを紹介して喜んでもらうこと。そしてその後どや顔する」ことである。音楽と英語をこよなく愛す、目指せボーダーレス女子。

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