メルセデスベンツというと、日本では高級車のイメージが強いですよね。
ドイツ南西部のシュトゥットガルトという工業都市には、そのイメージを裏切らない立派な建物のメルセデスベンツミュージアムがあります。
車やエンジン、パーツなど幅広く展示されています。ドイツ屈指の観光スポットにもなっているこのミュージアムを、半日で見てまわってきました。
メルセデスのタクシーでミュージアムへ
シュトゥットガルト市内は、走っているタクシーはメルセデスのものがとても多く、私がシュトゥットガルト駅から乗ったタクシーもメルセデスのものでした。
タクシーなんて贅沢な手段、普段は使わないけど、車の国だもん! 車を使えばいいよね!と開き直り。シュトゥットガルト駅から15分しないぐらいで到着です。
私が行ったときは、着いたときも出るときも、常にタクシーが2、3台はミュージアム前に停まっていました。
ところでメルセデスって、女性の名前なんですね。それを知ってあらためて見ると、車もミュージアムの建物も、どことなくやわらかく見えてくるから不思議です。
曲線使いの丸みのある建物。館内に入っても、その形を実感することができます。
ミュージアム前には、これでもか!というぐらい、ロゴの旗が立っていました。遠くにも、メルセデスのロゴがついた建物が見えました。
館内に入ると、とても未来的! エレベーターで上階まで行って、そこから階を下がりながら展示を見て進む作りでした。建物が3つあって、連絡通路でつながってはいますが、全体としてはかなり広かったです。
入り口で日本語のオーディオガイド(無料)の貸し出しもあったので、もちろん借りました。館内パンフレットも、日本語のものがありましたよ。
大きい荷物を持って入ろうとすると、ロッカー(有料ですが返却式)に入れて来て、と言われました。
歴史を感じる、展示品の数々
進んでいくとまず、世界初のエンジン車がお出迎え!
展示されていたのは2台。ゆっくり回転しながら、みんなの注目を集めていました。
今から130年以上も前に開発されたこの車。当時の長距離移動は馬車が主流で、自動車なんて……という時代。車による移動があまり浸透しなかったため、ベンツさんの奥さんがこれに乗って、車による世界初の長距離旅行に出たそうです。しかも本人に内緒で。
すごい行動力ですよね。きっと当時はかなりの奇行と思われていたはず。ですが見事にやり遂げて、世間の車に対する見方も変えたそうですよ。
実際に彼女が乗ったのは3号なので、展示されていたのとは違うかもしれませんが、これと同じような車で200キロ弱を走行したなんて本当にすごいです。
当時の道路状況は今と違うだろうし、この椅子に長距離……、お尻、痛くならなかったかなと いらない心配をしてしまいます。
そんな心配をしながら(?)先に進んでいくと、最初のほうは自転車や馬車など、自動車が普段使いされる前の交通手段の展示があり、だんだんと自動車の歴史に移っていきます。
車の歴史はもちろん、ドイツの歴史も合わせて、時代背景も知ることができる展示になっていました。初期のほうの展示車は、大きくて写真に納まりきらないものが……。
さらに進んでいくと……
断トツの存在感を放つ車が! ガルウィングドア! 目立つ~!
ガルウィングとはカモメの翼という意味らしいです。まさに!ですよね。実際に目の前にあると、かなり興奮します! 昔の車なのに、未来の車にさえ見えてきちゃうから不思議です!
これは、開閉時はどうするんだろう。レースのときにすばやく乗り降りできるように設計されたらしいですが……。誰かが外から閉めてくれる前提ですか?
気になりましたが、さすがに触ることはできず……。どなたかお詳しい方、ぜひ教えてください。
大衆車としてのメルセデス
私個人としては、バスや消防車などが展示されている特殊車両のゾーンが1番おもしろいと思いました。
実際に、シュトゥットガルト市内はタクシーやバスなど、メルセデスのものが多く走っていました。メルセデスは高級車のイメージがありますが、本国ドイツでは大衆車としても出回っているんですね。
デコ車?と思えるほどカラフルでかわいらしいものも発見。
これは、どうやって走るんだろう?
消防車。がっちりしているのに、全体的にスリムに見えます。
トラクター。タイヤが特徴的で気になりました。
パトカー
タクシー
特殊車両の建物には、パーツや小物の展示もありました。
エンジン、メカ系の展示も充実していました。
ほとんどが大人の腰の位置ぐらいに展示されていたので、下から覗き込むこともできます。
最後のほうに、レーシングカーの展示もありました。
さすが! 躍動感溢れるように車が動いてる~!……ように見えますが、躍動感溢れていたのは私の手だったようです。ごめんなさい。興奮した結果、手ブレしちゃいました。
ミュージアム部分から出ると……壁に展示車が!? 最後まで未来的でした。
ミュージアムショップも広く、ボールペンやキーホルダーなどのロゴがついた商品で比較的手が出しやすいお土産価格のものもあれば、香水や皮製品などの高価なものもあり、幅広いグッズを買うことができます。
これからの自動車産業について
館内の年代が近年になるにつれて、電気自動車などのこれからを思わせる車の展示もたくさんされていました。
モーターショーなどを見に行っても思いますが、メルセデスはデザインも含めて全体的に近代的で、これからの未来を強く意識しているのが感じられます。
今年の夏、フランスは2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を中止する、と発表しました。フランス、特にパリではフランスナンバーのドイツ車が多く走っていて、ヨーロッパ内におけるドイツ車の需要の高さを感じられます。
またヨーロッパは陸続き。この政策が進んでいけば、隣国ドイツも何かしらのアクションを起こしていかなければならないですね。
メルセデスベンツはすでに、EV(電気自動車)に特化したブランド設立を発表しています。世界初のガソリン車を出したメルセデスベンツが、電気自動車へ移行していくだろう世の中に対して、今後どのような動きをしていくのか気になるところ。
ワクワクしますね!