どこの国に行っても、市場を覗いてみるのは楽しいですね。観光化している市場もありますが、本当に地元の人が行く市場に行くと、人々の生活、食事や服装がどんなところで買われているかもわかります。イタリアでは、昔から住宅街の大きな広場に市場が出ています。毎日出ているところもあるし、週のなかで日が決まっている場所もあります。
今回は、フィレンツェで週1回だけ出る約1kmのながーい市場、カッシーネの市場をご案内します。
生鮮食品から下着まで!火曜朝は青空市場へ
フィレンツェの中心街が観光客で賑わうのは火曜日。イタリアの国立美術館は月曜日が休館日のため、火曜日は比較的混み合います。その中心街から約2.5km西側にカッシーネ公園があります。古くは、ルネッサンスの大パトロン、メディチ家の私有地でしたが、1700年代ロレーヌ家支配の時代に一般公開されるようになりました。
緑の多い公園は、代々のフィレンツェの支配者の狩猟場でした。現在でも160ヘクタールの領地は森に囲まれていて、競馬場もあります。ジョキングやサイクリング、散歩を楽しむ人々の憩いの場所です。
この公園の川沿いのリンカーン通りに、毎週火曜日の午前中のみ市場が開かれます。旧市街が観光客で賑わうように、火曜日の朝の市場は、地元民で賑わっています。
フィレンツェ中央駅から路面電車に乗ろう!
2010年からトラムヴィアと呼ばれる路面電車がカッシーネ公園内を通っています。フィレンツェ中央駅から2つ目のCASCINE停留所で降ります。
トラムがアルノ川沿いのリンカーン通りを横切ったあたりから、市場が約1km続いています。着いたらアルノ川の流れる左方向へ進んでみましょう。
青空市の仕組み
イタリアでは、市場の立つ日が決められている場所もありますが、毎日同じ場所に市場が立つこともあります。共通することは、基本は朝市なので、早朝から午前中のみ、大体14時頃には屋台はたたまれていきます。13時過ぎるともう片付け始める屋台も少なくありません。
毎日同じ場所に立つ市場は、生鮮食品が多いです。靴や服などを扱う屋台は、曜日ごとに色々な市場を転々としています。また、市場の中でそれぞれの屋台を開く場所も決められています。地元の人々は同じ広場の市場に行きながら、毎日商品が違うものが見られるというわけです。
もし、服などが気に入らなかったり、サイズが合わないなどの変更は、次の週まで待つか、その屋台がいる市場まで行きます。雨の日は客足も少なくなるので、屋台を出すかどうかは持ち主の判断のようです。
どんなものが売られているの?
カッシーネの市場の最初のあたりは生鮮食料品、その後、服や靴下着などの生活用品の市場が続きます。一つひとつの屋台はワゴン車と一体になっており、屋根が伸びる仕組みです。屋台を出す場所が決まっていて、アスファルトの上に青い線が引かれ、一つひとつ番号があります。
チーズや、ハムの屋台。屋台は遠方から来ることが多いので、スーパーマーケットでは見られないような珍しいチーズやハムなどが売られていることも。
イタリアは農業国でもあります。屋台では野菜や果物が新鮮で豊富。値段も日本に比べるとかなり安価です。八百屋の値段の表示の多くは、キロ単位になっています。
家族の働きぶりを見つめるおばあさんもいます。普通のお店よりもゆったりした雰囲気が市場の特徴です。こちらはトラックがそのままお店ですね。
▲はちみつ専門の屋台
イタリアのはちみつは、花によって、アカシア、クリ、柑橘系、ユーカリ、ひまわり他、種類が豊富にあります。こうした、はちみつのみを扱う屋台では色んな種類があり、産地直産のものも少なくありません。
金魚や小鳥を扱う「ペットショップ」屋台。後ろではお店の人が日光浴しています。
子供たちが沢山覗いていたので、見てみるとハムスターやモルモット、ウサギもいました。
寒かったのでみっちり並んでいます。
金物屋台。どこに何があるのかは店主のみぞ知る。上の方には変わったお菓子の焼型も売っていました。
下の中央に写っている先端が金色の黒い棒は、薪が暖炉の中でよく燃えるように置くための台です。色んな形があり、薪のせ台は、アンティークとして取引されているものもあります。田舎に行くと暖炉を使っている家は珍しくありません。このように、日本だとなかなかお目にかかれない謎の道具が並んでいることも。
下着屋台でどうするの?
寝間着や下着、ソックスなどの屋台も沢山あります。ブラジャーもサイズがありますが、日本のように細かくサイズが分かれているわけではなく(世界的大手メーカーのものはサイズがもう少し厳密)かなり大まかなサイズです。
試着室へ、なんてことはなく、青空の下、ブラジャーを服の上からつけてみる女性も! しかも、店主はたいがい男性! 日本人女性ならちょっとビックリするかもしれません。
特に恥ずかしがることも意識している人もいません。店主の方も売り物の一つという感じ。服も下着も中国製品が沢山入ってきているため、値段は安いです。
可愛いお店番がいることも
主人が一緒に連れてきているため、看板犬というより商品の中にまぎれていることも珍しくありません。
日本で商品の中に犬がいたら嫌悪感がある人もいるかもしれませんが、そこはおおらかというか……適当です……。
この犬は商品の中に完全に潜って寝ていました。発掘したらでてきました。
質の良いものもあるかも!
観光客でもおみやげになりそうなベルトの屋台もあります。その場でサイズ調整してくれます。
丹念に探せば、掘り出し物もあります。カルバンクライン、マックスマーラ、アルマーニなどのブランド品がみつかることも。サンプルやアウトレット商品などですがジーンズ、パンツなどで15ユーロ前後。
好みとサイズが合えばお得です。イタリア人にとってサイズが小さめのものが売られていることが多いです。イタリア人に多いサイズは女性なら42や44。サイズ38、40などの小さなサイズは日本人女性なら丁度よい場合があります。
こうしたブランド品は、タグが切ってあるものが多いので、なかなか最初はわからないかもしれません。服のボタンにブランド名が入っていたり、品質表示タグで大体のメーカーがわかります。
インフォメーション
場所は、フィレンツェ中央駅から約1.8km、徒歩で25分。ベッキオ橋から数えて西に8本目の橋の近くです。
駅横から路面電車トラムも走っています。市内バスと同じ切符で乗れます。乗り方は基本バスと同じなのでこちらを参考にして下さい。トラムは1路線しかありませんので、2つ目の駅、CASCINEで降ります。