厳しすぎる!イスラエルの入出国、実体験を詳細レポート
イスラエル

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イスラエルは空港での入出国手続きに「時間がかかる」「チェックが厳しい」とよく聞きますが、それは本当なのでしょうか?

私は機会を得て2017年6月にイスラエルを訪れましたが……本当に厳しかった!!!

何がどう厳しいの? どうしてそんなに時間がかかるの? そのリアルをレポートします!!

そもそも、なんで厳しいの?

イスラエルの入出国手続きが厳しく時間がかかるのは何故なのか。その理由である、イスラエルを取りまく事情について、ざっくりおさらいしましょう。
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イスラエルは第二次世界大戦後、1948年に建国された比較的新しい国です。

首都のエルサレム(国際的には認められていない)は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と3つの宗教の聖地とされています。この地域は古代から「パレスチナ」と呼ばれ、紀元前のはるか昔は、もともとユダヤ人が住んでいました。

その後、同じ地域にキリスト教が起こります。パレスチナの地はローマ帝国により支配されてエルサレムは陥落、ユダヤ人は世界各地に離散しました。

さらに時代が下ってからは、この地域にはイスラム教を信じるアラブ人が多く住むようになっていました。

19世紀末、世界各地に散らばり差別的な扱いを受けていたユダヤ人たちの中で、パレスチナに帰って自分たちの国を作ろうとする動きが起こりました。

戦争やさまざまな交渉を経て、ユダヤ人の国家「イスラエル」が建国されたものの、直近まで住んでいたアラブ人の立場からは「自分たちの地域に、異なる民族と宗教が急に入ってきた」ということになります。

そのため建国後には、イスラエル側とアラブ側の戦争が何度も起こりました(中東戦争)。今は落ち着いているものの、民族・宗教間の大きな衝突が起きないように常に緊張状態を保っているイスラエル。

警備や安全に対するチェックは、世界でいちばんと言っていいほど厳しいのです。そのため、旅行客に対する入出国審査も、他国より厳しくなっています。

入国審査編

私が今回イスラエルに入ったのは、日本からではなく、ジョージア(グルジア)からのフライトでした。ジョージアのトビリシ空港に着き、チェックインをしようと思ったら、そこで突然! 戦いが始まりました。

ポイントは、荷物を預ける前

チェックインカウンターに向かうと、係員に「イスラエル行きの便に乗るのですか?」と声をかけられました。この係員こそ、イスラエル入国審査の職員なのです!

まさかジョージアまで出張してくるとは! チェックインで機内に荷物を預ける前に、搭乗者を入念にチェックするとのこと。私は友人と2人で旅をしていたのですが、彼女とは別々にされ、1人ずつ担当の係員がつき、ここで嵐の質問攻めにあいました。

覚えているだけでも、以下のことを聞かれました。

・旅行者か? ビジネスや勉強か?
・なぜジョージアを選んだか?
・行先はどうやって決めたのか?
・日本のどこに住んでいるか?
・仕事は何をしているか?
(ライターだと答えたら、あなたの書いた記事はネットで出てくるか?とスマホで検索された)
・仕事をおいて旅に出てきて大丈夫か?
・旅の予算は?
・ジョージアのどこを回ったのか?
・今日はトビリシ(ジョージアの首都)で何をしていたか?
・この空港に着くために、何時にトビリシを出たか? 交通機関は何を使って来たか?
・ジョージアで撮った写真を見せて
・(同行の)友人とは知り合って何年ぐらいか?
・旅の計画を話し合うために、彼女と何回会ったか?
・彼女の仕事は?
・彼女はどこに住んでいるか?
・イスラエルは初めてか?
・イスラエルではどこに行くつもりか?
・イスラエルには何日いるつもりか?
・ここまでの旅で、誰かにプレゼントをもらわなかったか?
(荷物についての私の回答が気になったようで、パッキングを解いて荷物チェックもされました。)

友人にも同じような質問をし、2人の話の辻褄が合っているかを確認していました!! 質問の細かさには驚きですが、こちらに後ろめたいことはないので、聞かれること自体は構いません。

が、何がつらかったって……これを英語で聞かれたことです。私は英語が苦手。とくに聞き取りが弱いので、全身が耳になるぐらい係員の言葉に神経を集中させて、もうぐったり。

でも、私を担当してくれた係員は、ハンサムで紳士的なミドル世代の男性。急に友人と別々にされ不安な表情を浮かべ、とくに英語が微妙な私を見て取った彼は、質問に入る前に超フレンドリーな雰囲気で

「僕の名前は〇〇(←聞き取れなかった)と言うんだ」
「日本語、少し勉強しているよ」
「極真カラテをやっているんだ。君もやってるかい?」

と全力で私の心をほぐすための会話をしてくれました。その心づかいが嬉しかったです。彼らにしても、私たちはどう考えても「善意の人」でしょうからね。

友人は英語が話せるので、もう少し突っ込んだ質問をされていました。私の母の名前まで聞かれたそう! いっぽう私は、会話が込み入ってくると相手の言っていることが分からなくなるので、浅い質問で済んだようです(笑)。

係員の質問を2回聞いてもわからず、「うーん」とうなっていると、彼に笑顔で「Never mind.」と慰められて質問を変えてもらうことが何度もありました。あゝ、情けなや(笑)。

この嵐の質問の後、ようやくチェックイン。つまり、不審者と不審物が飛行機に乗らないよう、チェックイン前にこそ厳しいチェックを行うのですね。

このような質問は、イスラエル到着後の入国審査でされると思っていたので、出発空港での不意打ちに慌ててしまいました。

まさかの「仲良し入国」

イスラエルのテルアビブ空港に到着。いよいよ入国審査です。今回もいろいろ英語で聞かれるのかな……こんどは心構えができています。

が、出発空港で入念なチェックをしたからか、前の人たちを見ると意外に短時間で通り抜けていきます。

そしてなんと驚いたことに! みんな、同行者(夫婦、友達など)と一緒に入国審査窓口に進んでいるではありませんか。私も、英語を話せる友人と一緒に入国審査を通過しました。

どんな国でも、入国・出国のパスポートコントロールだけは1人ずつですよね。まさか、厳しさで名高いこのイスラエルで「仲良し入国」ができるなんて!
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現在は、空路からイスラエルに入国するときはパスポートに直接スタンプは押されず、このようなカードが発行されます。念のため、パスポートを差し出すときに「No stamp, please.」と言ったほうが間違いないでしょう。

出発空港と到着空港、どちらも予想を裏切ってくれただけでなく、その落差に肩すかしを食らった気分。ともあれ、とにかくイスラエルに無事入国です!!

出国審査編

なぜか入国より出国が厳しいイスラエル。普通に考えると、自分の国に不審者や不審物が入ってくるのは全力で防ぎたいけど、出ていくぶんには別によくない?と思うのですが。

私はこの出国審査で、見事に敗北を喫しました……。

3時間前の到着を

普通、国際線フライトは離陸時刻の2時間前に空港に着くのが常識ですよね。しかしイスラエルでは、3時間前の到着が強く強く推奨されています。もちろん理由は、出国手続きに時間がかかるから。

チェックインカウンターで荷物を預ける前に、係員による質問攻めがあるのは往路と同じ。パスポートを見られ、これまでに訪れたマニアックな国(ウズベキスタン、アゼルバイジャン)について「現地に友達はいるのか」「当時一緒に旅行した友達の名前は」などと聞かれました。

しかし小さなトビリシ空港と違い、この質問に辿り着くまでが長蛇の列。チェックインの列に並んでからカウンターで荷物を預けられるまで、1時間近くかかりました。

そして、鬼の手荷物検査

私は旅行では、お土産はなるべく手荷物として機内に持ち込みます。預けてぞんざいに扱われ、壊れたら嫌だからです。

今回も、一瞬迷ったものの「さすがに大丈夫だろう」と手荷物として持ち込んだお土産たち。非情にも、没収されてしまったものがありました。

それは、死海の塩。通常より塩分濃度が高いため、ぷかぷか浮遊体験ができる死海。その死海の塩を使ったバスソルトや化粧品は、イスラエルの特産品の1つです。

自国の特産品を、しかも買ってくれた観光客から没収するなんて、ありえへん!! ちゃんとした土産物店で買った、安全な製品なのに!!

……と、思いますよねえ? でもそういう理屈や感情は、一切通じないのです。

私がつたない英語で係員に直訴し、返ってきた言葉によると、液体はもちろんですが「パウダー(粉末)」「ペースト状のもの」を持っていると、たとえ中身が安全だと分かっていても没収しなければならないそうです。

私が買った「死海の塩」は、粒の大きいザラメ状のものでした。ガイドブックの体験談で「ハンドクリームを没収された」という記事を見ていたので、クリーム(ペースト)状のものは避け、塩も粒の大きいもの(3~5ミリ程度)を選んで「これなら固体だ」と気をつけたのですが。

……検査の係員には「これはパウダーだ」と超厳しく判断されました。

没収されたものが、もう1つ。ジョージアで買ったぶどうのお菓子です。ぶどうの果汁を固めて中にナッツが入ったもので、ソフトキャンディよりも硬く、ほぼ固体といえるお菓子でした。

……しかし、「ペーストだ」と判断されました。

つまり係員が「どっちかな?」と迷ったら即、厳しいほうで判断するのです。損害額は約5,000円。小さくない金額ですが、それ以上にお土産には「思い」がこもっています。

死海の塩は、小分けにして帰国後に会う人に渡すつもりだったし、ぶどうのお菓子はジョージア現地で食べそこなったので、帰って家族や友達と食べるのを楽しみにしていました。

そういう気持ちまで奪われてしまったのが、とてもとても悔しくて。不覚にもこみ上げてくるものがありましたが、恥ずかしいので必死でこらえました。

ここまで、チェックインの列に並んでから90分以上が経過。2時間以上かかることもあるそうなので、やはり3時間前到着は大げさではありませんでした。

死海の塩はDUTY FREEで

手荷物審査が終われば、出国審査(パスポートコントロール)は簡単にスルー。入国の際と同じく、スタンプではなく出国カードが発行されました。

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出国後のスペースに進むと、そこには数々の免税店(DUTY FREE)が。そこで売られている死海コスメが私には眩しく、「そうか、死海の塩はここで買うものなんだ……」と敗北感に打ちひしがれました。

同じ量を買い直すことはできなかったものの、自分用に少しだけ買って帰りました。

スーツケースを開けてびっくり

日本に到着して、スーツケースを受け取ると……あれ? ファスナーの取っ手につけていたロックが、なくなっています!!
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そのまま蓋を開けると、中にはイスラエルの空港の「検査をしました」と示す(と思しき)カードが入っており、荷物の入れ方も変わっていました。スーツケースまで開けられていたとは……。

帰宅後に旅行保険会社に電話をし、なくなったロックや没収されたお土産の補償はされるかどうか聞いてみましたが、残念ながら公共セキュリティによる損害は保険支払いの対象外とのことでした。

でも、この念入りな厳しいチェックが、安全なイスラエル旅をバックアップしてくれているんですよね。

まとめ

イスラエル入出国のポイントをまとめましょう。

・入国の際は、出発空港からチェックが始まると心構えを
・係員の質問には、ちょっとしたことでも正直に答えること
(同行者と辻褄が合わなければ、余計に時間がかかる)
・出国の際は、出発3時間前に空港に到着すること
・出国の際の手荷物検査では、液体はもちろん、粉末状のもの、クリーム(ペースト)状のものもNG
・死海の塩コスメは、出国後の免税店で買うこと

国際情勢やその時の係員によって、多少の振れ幅はあるかもしれませんが、これらを頭に入れておけば、不思議な魅力をもったイスラエルの旅を存分に楽しめるはずですよ。

泣き落としの免税店

お土産を没収されて出国したあと、免税店で売られている死海の塩コスメをぼーっと見ていました。死海の塩コスメと一口に言っても様々なブランドがあり、店の前を通り過ぎるだけで各ブランドの女性店員が声をかけてきます。

まだ傷心だった私は、その声かけが煩わしく退散してほしくて、あるブランドの女性店員にわざと「私は今、検査で死海の塩を取られたんだから!」と言いました。

そう言った瞬間、さっき押し殺したはずの悔し涙が、ぶわっと溢れてきました。は、恥ずかしい……泣いたのなんて、何年ぶりだろう。

さっきまでセールスモードだった女性の態度は一転、まるで保健室の先生のように私を慰めてくれました。けっきょく彼女の店で、手頃なバスソルトを少しだけ買ったのですが、帰り際に「ちょっと待って。これ、あなたにあげるわ」とたくさんの化粧品サンプルをプレゼントしてくれました!

男性陣にはわからないでしょうが、たかがサンプル、されどサンプル。要は気持ちです。血も涙もない検査の後、値引きやサービスをしないはずの空港の免税店で、こんなに血の通った対応を受けたことが感激だったのです。

この件で、私はずいぶん気持ちが晴れました。「気持ち」「思い」と言いながらも、やっぱり「モノ」が嬉しかったのかしら(笑)。
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この記事を書いた人

合楽 仁美(らく)

合楽 仁美(らく)ライター・アナウンサー

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神戸在住のライター・アナウンサー。世界遺産「姫路城」のある姫路市の広報専門職員を経てフリーに。シルクロード文化が好き。旅を始めたのが29歳からと遅咲きのため訪問国数は少ないが、そのぶん「1歳でも若いうちに行きにくいところから」とウズベキスタンや中国・新疆ウイグル自治区など、マニアックな地域を攻めている。

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