地元・台北の人がよく行く観光地、宜蘭の羅東という街がいまアツい
台湾

宜蘭(イーラン)は台湾の東部に位置する縣。規模の大きな公園や観光施設、また温泉などもあるこの縣は、2006年に国道5号が開通したことにより、台北からの交通が格段によくなりました。そうしたことから、台北の方が「今度の週末、ちょっと遠出して羽を伸ばそう」と思ったら、真っ先に行き先として思い浮かべる観光地となったそうです。

台北人の旅行先として人気の宜蘭なら、絶対に楽しい所であるにちがいない! というわけで、今回は宜蘭の羅東という街を訪ねてみました!

羅東ってどうやっていくの?


台北から宜蘭方面へ行くバスは、首都客運、噶瑪蘭客運、そして国光客運の3種。それぞれバスが発車しているポイントが異なっていて、首都客運なら市政府站、噶瑪蘭客運なら台北轉運站(台北メインステーションからすぐのところ)のほか、萬華站(龍山寺の近く)、科技大樓站、そして国光客運なら捷運圓山站からバスが出ています。

宿泊先に応じて乗るバスを選択すればいいかと思いますが、異なる駅から出発する都合、値段や羅東までかかる時間がそれぞれ異なります。我が家からはどの駅も離れておりましたので(笑)、私は首都客運の首都之星(1570号)に乗って羅東まで行きました。市政府駅からだと、道路が空いていれば羅東まで1時間を切るんですよ。バスの本数は10分~20分に1本、値段は片道128元です。近くの切符売り場で切符を購入できます(座席指定なし)。

そんなわけで朝の9時に市政府駅を出発して、10時頃には羅東駅についてしまいました。ここから更に地元のバスに乗りかえて各観光地へ……というのもいいですが、バスが停車した所から台鐵の駅を超えて反対側に出るとレンタルバイクの店があり、安いものなら300元くらいで借りることもできてしまいます。

日頃バイクによく乗る方なら、日本で予め国際免許を申請しておき、レンタルバイクに乗るというのもあるでしょう。右側通行にさえ注意すれば、かなり便利ですよ。ただしガソリンは入っていないので、まず最初にガソリンスタンドへ行く必要があります。

私も今回は友達がバイクの後ろに乗せてくれたのでめちゃめちゃ楽ちんでした! 台湾の法律は二人乗りもOKです!

1.昔の記憶を今に残す、羅東林業文化園區


羅東駅の直ぐ近く、台湾鉄道の線路沿いに大きな公園のような施設があります。こちらの施設は「羅東林業文化園區」といって、名前の通り林業に関する展示をしている施設です。

台湾のかつての木材の集散地として有名な所といえば、まず一番に挙がるのは阿里山森林鉄道のある嘉義の阿里山ですが、日本の統治時代、その阿里山林場と並んで台湾の三大林場と言われていたのが、台中にある八仙山林場と、ここ宜蘭の太平山林場です。

なので、かつてこの羅東にも、阿里山と同じように森林鉄道がありました。その名も、「羅東森林鉄道」。園内にはそんな当時の面影を偲ぶことができる、列車の展示とレールが敷かれています。

そして施設の近くには、こんな不思議なオブジェが。

上のふさがった筒状のオブジェは、中に入れるようになっています。壁には何箇所か小さく窓が開いていて、外を見ることができるのですが、なんとこれ、銃眼(銃口を突き出す為の小さな窓)です。木材を狙う不届きものを、この小さな建物場のオブジェの中から監視していたわけですね。ひぇぇ……。

列車とレールの前にあるのは大きな池かと思いきや、「貯木池」だそうです。切り出した木を貯めておく池ですね。池の傍には木材に関する展示施設があって、お土産を買うこともできます。

また宿舎のエリアは、昔の建物を今も残してあるような形になっています。しかも驚いたことに、まだ人が住んでいる模様! 昔ながらの低い屋根の上を、猫がとことこ歩いていきます。

また入り口近くには日本統治時代の生活を展示する施設もあります。展示されている囲炉裏や御釜、五右衛門風呂を見て、おかしな話ですが、本当に日本統治時代ってあったんだなぁ、と実感しました。私が日本人だという話をすると、館内にいたおじさんが、「日本人の写真もあるよ!」といって写真が展示されている場所を教えてくださいました。

どの写真だかわかるかな?

園内をのんびり散策しつつ、林業という観点で台湾の歴史に思いをはせることのできる、大変興味深い施設でした。
6:00~17:00の営業。入園料は無料です。

羅東林業文化園區

2.林場の前にあるから、林場肉焿


肉焿(ロウカン:肉羹ともかきます)は、豚肉や魚のすり身などでつくったお団子のようなもの。お団子とは言いますが丸い形はしておらず、まるでとても柔らかく煮込んだお肉のような食感をしています。大体はとろみのあるスープに入れられていて、噛むと結構プリプリしていて美味しいです。

そんな台湾ならではの料理を、羅東林業文化園區の真ん前にある「林場肉焿」というお店で食べることができます。林場の前にあるから、林場肉焿。昔林場で働いていた人たちは、仕事が終わると、この林場肉焿へいって、美味しい肉焿に舌鼓を打ったそうです。肉焿だけでも食べられますが、ご飯、麺、春雨などと一緒に食べることもできます。私はごはんと一緒にいただきました。

朝7:00〜18:00までの営業。定休日は水曜日です。

林場肉焿

3.台湾の伝統芸術を知る、國立傳統藝術中心


羅東で何をおいても絶対行くべきところといったら、まずはこの「國立傳統藝術中心」でしょう。なんだか難しい漢字が並んでいるぞ……とは思うなかれ、日本語の漢字にすると、国立伝統芸術センター。台湾の伝統芸術がいっぱい集まった、とっても面白い施設なんです。

台湾らしいデザインと紙素材の入園チケット。

施設内は色々なエリアに分かれており、内容も、陶器や布類、昔からの食べ物や薬、漢方など生活に関するものから、台湾の伝統舞台劇「歌仔戲(グーザイシー)」の上演(※京劇のようなものですが、ジンジューと言っても台湾の方には伝わらないよ!)や、近年日本でも放映が開始された台湾の伝統人形劇「布袋劇(プータイシー)」の人形の展示、また時間ごとに催される雑技や、「相聲(シャンシェン)」と呼ばれる台湾式掛け合い漫才など、多岐にわたっています。

ガラスのエリアの展示は目に涼やか。

布袋劇の人形。超美人!

漫才のおじさんたちの掛け合いはなんだかかわいらしいです。

一定時間ごとに上演されるので、上演プログラムを見ながらあっちへ行ったりこっちへ行ったり、雑技の集団が開演時間を知らせるために練り歩くのを追いかけたりと大忙しでした。本当に休む暇なくずっとあちこち見に行ってました。

上演前のお知らせに来た台湾の神様が、雲の形のハリボテがついたセグウェイみたいなのに乗っていて、友達と思わず顔を見合わせてしまいました。台湾の神様界にも現代化の波が押し寄せている模様。

また台湾の伝統的な工芸品を販売しているエリアでは、工芸品を自分で作ることができる体験なども行われています。漢方を調合してつくる防蚊包や刺繍、ミニチュアの獅子、昔ながらの歌仔戲人形作りに挑戦できたりも! 世界でたったひとつの、旅先でつくる台湾みやげ、ぜひ挑戦してみてくださいね!

また漢方のお店では、薬籤なるものをひかせてもらいました。このおみくじ、保安宮などでたまに見かけることがあるのですが、何の薬を飲めばいいか、籤で神様からアドバイスをもらうというものです。そんな方法で飲む薬を決めるというのも、なんとも台湾らしいですね!

9:00~18:00までの営業。入園料は150元で、時間ごとに上演される伝統芸術のプログラムは全部見放題です。

國立傳統藝術中心

4.これはやっぱり外せない、羅東夜市


台湾旅行といったら、どこへ行くにしても絶対に外せないのが夜市です。そんなわけでここ羅東でも、夜市に行ってまいりました。その名も「羅東夜市」。

この夜市で必食の食べ物といったら、三星蔥油餅と當歸羊肉湯。訪れた日はあいにくの雨模様でしたが、そんなことにかまってられません。おいしい料理を目指して、羅東夜市の散策スタートです!

1.ネギがたっぷり入った、三星蔥油餅


三星はミツボシと読むわけではなくて、宜蘭の三星郷というネギの産地の名前に由来しています。その三星郷のネギをたーーーっぷり使って作る蔥油餅なので、三星蔥油餅というわけです。

蔥油餅というと平べったいものを想像する方が多いんじゃないかと思いますが、三星蔥油餅は丸い形をしています。そして青々としたネギがふんだんに詰め込まれている……んですが、割ってみた写真を撮るのを忘れてしまった……

焼くのではなく油で揚げる形なので、衣がサクサクしていておいしいです。

2.阿灶伯羊肉湯の當歸羊肉湯(と臭豆腐)


ここ羅東夜市で必食と言われている當歸羊肉湯を食べることができるのは、阿灶伯羊肉湯というお店です。當歸とは、冷え性などに効果があると言われている漢方の一種。美味しくてしかも体に良いなんて、一挙両得ですよね。

しょっぱさと甘さが絶妙にマッチしたスープには、羊肉がどっさり入っていて、食べ応えがあります。美味しくて、當歸羊肉湯とともにお店の看板メニューである臭豆腐とともに、たちまち平らげてしまいました。

日曜は16:00~0:00、その他の曜日は16:00~2:00の営業。水曜定休です。

3.ちょっと変わった形の臭豆腐、臭薯條


またまた臭豆腐で申し訳ないのですが、美味しかったのでこちらもレポートをば。こちらの臭豆腐は、臭豆腐を薯條、つまりフライドポテトのように細長く切って揚げたものです。その名も、臭薯條(薯條は中国語でポテトの意味)。フライドポテトっぽさを演出するためか、臭豆腐のスタンダードサイドメニューである白菜の漬物のほか、追加でソースを選ぶことができます。私はハニーマスタード味を購入しました。

一緒にこの臭豆腐を食べた台湾人の友達曰く、「思ったより合う」とのこと。いやほんと、美味しいんですよ、臭豆腐。

羅東夜市

5.お土産を購入するなら、諾貝爾奶凍


羅東夜市のすぐ近くに、これまたおいしいと台湾人に人気のお土産があります。お店の名前は「諾貝爾奶凍」。こちらのお店で買いたいものといえば二つ、ひとつは宜蘭の有名なお土産品、宜蘭餅(牛舌餅)、もうひとつは諾貝爾奶凍の有名なロールケーキです。

お店の名前にある奶凍って、パンナコッタのこと。お店の名物であるパンナコッタが、クリームとともにスポンジでくるんと巻いてある……のですが、うかつにも自分がかった鮮果雪藏(フルーツ)はパンナコッタを包んでいなかった。

ギリギリお店の試食でチョコレート味をいただいていたのですが、プルプルのパンナコッタがくどすぎない甘さのクリームとチョコレートの生地とマッチしてて美味しかったです。鮮果雪藏も、パイナップルやパッションフルーツなど台湾らしい果物がたくさん入っており、噛むたびにフルーツの味がじゅわっと広がってとても美味しかったですよ!

また宜蘭餅は宜蘭の有名なお土産で、薄いクッキーのようなお菓子です。形状が牛の舌に似ているので、牛舌餅とも呼ばれます。ケーキは生物の都合日持ちしないので、日本へ持って帰るなら、こちらのお土産がいいでしょう。三星ネギの味もありますよ! 5パック130元でした(単品だともうちょっと高いです)。

こちらのお店は、8:00~22:00の営業です。夜市に行ってからお土産を買って帰るのにぴったりです。

諾貝爾奶凍

この記事を書いた人

ほず

ほずライター/日本語教師

神奈川生まれの神奈川県育ち。大学の頃から中国語が好きで、2017年とうとう台湾に移住しました。新北市にある大学の言語センターで1年間中国語を勉強したのち、台湾で日本語の教師として就職を果たしました。 趣味は旅行と登山と古い建物巡り。交通手段がないなら歩けばいいじゃない、をモットーに、苦行のように歩き続けるタイプの観光をよくしています。主な燃料はコーヒーとミントです。

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