写真、撮りまくり!?韓国の結婚式は日本と違うのか、潜入取材!
韓国

「韓国人と結婚したい」そんな日本女子も珍しくないこの頃。韓国での結婚式に招待されることもあるかも? 今日は、韓国の一般的な結婚式の様子をレポートします。

「ククスを食べさせて」

韓国語で「早く結婚しなさい」「いつ結婚するの?」という意味の言い回しに「いつククスを食べさせてくれるの?」という表現があります。ククスというのはそうめんみたいな麺のこと。うどんのスープのようなスープに入ったチャンチククスというのがふるまわれるのが昔の結婚式のスタイルだったとか。その名残か、韓国の結婚式において食事は特に重要です。

韓国の結婚式で必ずどこかにある「チャンチククス」。

そのため出席者たちの話を聞いていると、お祝いに来たのか、おいしいものを食べに来たのかわからないよ~、という発言もちらほら。ちなみにお葬式の時も、とにかく食べるので、人が集まって何かを食べるというのがとても重要な社会なんだなぁと思うんですよね。

では、結婚式に潜入してみましょう。

式場外観いろいろ

日本もそうですけど、韓国でも多様な式場があります。ホテルやレストランでのウエディングもあります。が、一番多いのは「礼式場」という結婚式専用のホールでしょう。「礼式場」は専用建物から、ビルの一部を利用したものまで幅広くあります。

初めて見た時、一番衝撃的だった「専用ウエディングホール」のスタイルです。

最初に見たこのスタイルの結婚式場はまるでお城でした。そう、今よりもっとデコレーションが激しくて、てっぺんのほうには西洋のお城の屋根のようなものまでついていたのです。ただ、このスタイルの建物も、だんだん減ってきています。

こちらの式場、以前は入口両側の庭園部分に滝が流れていて、建物はお城みたいな典型的な「専用ウエディングホール」スタイルでした。が、改装してこんなふうになりました。昔ながらの結婚式場は、徐々にこのようなスタイルになっているようです。時代の変化に合わせて好まれる結婚式のスタイルも変わっていくのですね。

最近多いのが、外見からだと結婚式場かどうかわからないような建物。または、複合施設の中にある会場です。入口の右側に結婚式写真とか、その日、結婚式を挙げるカップルの名前とかが出ています。地下鉄の駅から遠い場合は、駅からシャトルバスが出ていることもあります。

ロビーにあるもの

会場のフロアに入ると、まず目につくのはカウンターです。

こういうカウンターが二つ、または、おおきなカウンターを左右に分けて2名くらいずつの人が受付をしています。新郎側の招待客か、新婦側の招待客かに分かれて受付をします。中央のボードにどちらに並ぶか書いてあることが多いです。ボードがないときは……勘で並びます。間違えたら受付の人に教えてもらえます。

ここでお祝儀を渡します。独身者が友達の結婚式に包む相場はここ最近だと大体5万ウォン(約5,000円)くらい。日本のようにピン札の必要はありません。そのため、せっかくなのでピン札で持っていきたくて銀行にお願いしてもピン札を出してくれません。しわしわでも気にせずに包んでください。

お祝儀袋はこのカウンターか、カウンターの周辺のミニテーブルに置いてあります。白封筒に「寿」と金の文字で書いてあるものが多いです。結婚式場で準備してくれるものです。見ていると式場のロビーのどこかにATMが置いてあり、そこからお金をおろしてそのままカウンターでお祝いとして渡している人も多いです。またそうしやすいように、結婚式場には必ずATMが置いてある、それも韓国ならではなのかななどと思います。

御祝儀を渡すと、食券がもらえます。

名刺サイズのカードです。たいてい番号が書いてあります。これ、とても大事なのでなくさないでくださいね。

食券は、結婚するカップルごと、新郎・新婦それぞれに色やデザインが変えてあります。これがあるので受付を新郎新婦別々にしているといっても過言ではありません。

受付が終わったら、ロビーをぐるっと見て回りましょう。

前撮り写真が目立つところに必ずあります。一番大きいのは受付カウンターのすぐ隣にあることが多いです。新郎新婦。結婚式の1か月から2か月くらい前にウエディングフォトを撮ります。これが、一日がかりで何着もドレスを着替え、専用のスタイリスト・メイクさん、カメラマンさんを動員して行われます。下手すると、結婚式当日より凝ったポーズの写真が見られます。

まるで映画のワンシーンのようなポーズの写真が、ロビー中に飾られています。

出会ってからの思い出の写真と花があしらわれていることもありますし、

ピアノなどが置いてあることもあります。

ロビーの雰囲気は式場によって相当違います。全体的な印象としては、漢江の南側(江南エリア)の式場はロビーが豪華なところが多いです。

さて、式場に入る前に必ず寄らなければならない場所があります。

新婦待機室

それが、この「新婦待機室」。韓国の結婚式でこの「新婦待機室」のない結婚式は見たことがありません。文字通り、結婚式が始まる前まで新婦が待機している場所です。

待機して何をしているかというと……

写真を撮っています。

そう。結婚式の日に、友人たちと話すことのできる唯一のチャンスともいえるのがこの時間。花嫁さんのお友達が次々と来ては、お祝いの言葉を述べ、記念写真を撮ります。そのために、この部屋にはカメラマンがずっと待機しています。また、式前のコンディションを整えたりするのもここ。花嫁は着付けが終わったらずっとここにいるわけです。

時々、様子を見に新郎が入ってきます。そうすると、お友達はいったん下がって、カップル写真タイムです。とにかく一日中写真を撮りまくります。

新郎は主にロビーにいて招待客に挨拶をして回ります。また、新郎新婦の両親もロビーで挨拶をして回っています。

では、会場に入りましょう。

結婚式会場は……

会場に入ると、ウエディングアイルがドンとありました。その両側に座席が配置されています。椅子の並び方は、会場によって、招待客の規模によって変わるようです。

なんとなく日本で見るものより高い気がするのですが、気のせいでしょうか……。

新婦のお友達だったら、ステージに向かって右側に着席してくださいね。左側は新郎の関係者の席です。

いよいよ結婚式が始まります

館内放送が流れてきたら、間もなく結婚式が始まります。チュレと呼ばれる人がステージ中央に立ち、スタッフがあわただしく動き始めます。そして、会場が暗くなると……


な、なんと!! チマチョゴリをきたおばさまが二人、手をつないでウエディングアイルを歩いてくるではありませんか!!!

華やかな衣装、晴れやかな表情のアジュマ(おばちゃん)は実は新郎と新婦のお母さんたち。そう。韓国の結婚式、一番手で登場するのは、両家のお母さんたちなのです。

続いて、新郎が登場します。

「新郎、入場」
の合図に合わせて入ってきます。が、とにかく歩くのが早いのです。何度か写真に収めようとしましたが、まず、ぶれてしまうくらい。3秒くらいで端まで行ってしまう勢いです。

アナウンスは続きます。
「今日の主人公。美しい花嫁○○さんの登場です」

お父さんに手を引かれ、花嫁が登場します。そして、真ん中あたりに来ると、新郎が迎えに行き、新婦のエスコート役がお父さんから新郎へとバトンタッチします。

そのまま、二人でチュレのところへ。

いよいよ、結婚式のお話の時間……、と思ったら5分から15分程度でお話はおしまい。特に最近は、このお話はどんどん短くなる傾向にあるんだそうです。話の長い方でも15分くらい、短い方だと5分かからないうちに終わってしまいます。日韓カップルだと通訳が入るので若干長くなりますけど、30分かかることは今までの経験上まずないとみていいでしょう。

短い話が終わると誓いの言葉です。ここまでで、想像する結婚式のほとんどが終わります。見た感じだと、指輪の交換をするカップルもいるのですが、どちらかというと珍しいです。ほとんどはチュレの話の後、誓いの言葉、ここまでです。

前のほうでやっているので、参列者は席の位置によってはあまりよく見えないこともあります。そういう会場では、テレビモニターでそのまま中継してくれます。こんなふうに。

短いお話のあと、お話よりも大切なものがあります。双方の両親のところに行くことです。

新郎新婦がそれぞれの両親のところに行って、深々と頭を下げます。その次に起きることは、挨拶を受けた両親が席から立って、家族としてカップルを迎えることです。

こちらは日本人のご両親だったので、新婦のお父さんが新郎と固く握手をしていますが、韓国人のご両親の場合は、新婦のお父さんが新郎をハグし、娘をハグし、新婦のお母さんが娘をハグし、新郎をハグします。新郎側も同じように、新郎のお父さんが息子をハグし、嫁をハグし、新郎のお母さんも息子をハグし、嫁をハグします。

カップルの意向にもよりますが、このまま二人で退場したり、または、ここで「以上をもちまして結婚式を終了します」というアナウンスが入って結婚式は終了します。余興がある場合は、あいさつの後に余興や祝電などが入ります。

そして、この後、大写真撮影会へと突入します。家族、親族、友人、同僚など呼び出しの応じて前へ行き写真を撮ります。ブーケトスをする場合もありますが、その場合は、事前に受け取る人が決まっていて、新婦の投げたブーケを受け取った瞬間を写真に撮ります。受け取りそびれるとNGになるのでとれるまで何度も写真を撮りなおします。

いち早く写真撮影を終えた両親は

結婚式が15~30分、写真撮影が30分という韓国の結婚式。一番最初に写真をとるご両親は、写真を撮り終わり次第別の場所に移動します。これからまだ仕事があるからです。それは、ここ。

どこの式場にも必ずある別室です。新郎新婦は写真撮影が終わると、伝統衣装韓服に着替えてここに来ます。上座に座る新郎の両親に最上級の礼をした後、新郎の母親が新婦のスカートに、テーブルの上にあるナツメなどを投げます。たくさんの子宝に恵まれるようにという儀式だそうです。

ここは、内輪の家族のみ出席可能な会場。その他の参列客は、結婚式場が準備した披露宴会場(レストラン)へと移動します。

食券の出番です


入り口で先ほど受け取った食券を渡し、食堂に入ります。

最近の結婚式会場は圧倒的にビュッフェスタイルが多いです。大昔は冒頭で述べたように「ククス」をふるまったようですが、経済成長に合わせ「カルビタン(カルビのスープ)」が定番になった時期もあり、現在はビュッフェスタイルが一般的に。

もちろん、韓国らしい真っ赤なキムチもあります。でも、キムチと同じくらい定番で置いてあるものがあります。

それは、刺身。そして

寿司です。

最初は日本人だから?とも思いましたが、韓国では、もともと「高級料理=日本食」というイメージも強いので、韓国人カップルの結婚式でも比較的刺身や寿司は定番で出てきます。

伝統的な韓国料理もありますが、

ステーキなどの洋食やフォーやトルティーヤなどが出るところもあります。韓国、最近は国際結婚カップルがとても多いらしく、それに合わせて食も多文化化しているようです。

好きなものを好きなだけ。存分にふるまうのが韓国のおもてなし。

食事を楽しんでいる間に、あいさつの儀式を終えた新郎新婦が会場に現れます。そして、食事中の招待客一人一人に声をかけ、感謝を述べて回ります。

こころゆくまで食事を楽しんだら、招待客は三々五々帰っていきます。

最後に残った、新郎新婦とその家族は、やっと席について食事をとります。

韓国の結婚式。ざっとご紹介しました。いかがだったでしょうか。韓国ならでは、日本と同じ、似ているようで違う、違うようで似ている、そんな日韓の微妙な文化の違いが垣間見られるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

エナ

エナライター / エナツアー主催

横浜出身のソウルっ子。2000年から2002年、ワーホリ滞在。その後横浜での10年間を経て2011年、再度渡韓。本業は日本語教師。ソウルの博物館、市場、路地が主な生息地。普通の町を普通じゃなく感じさせるエナツアーなるものを企画していました。最近は日本家屋の残る町にはまり気味。現在は本業の都合でソウルと山の中にある地方都市との二重生活中です。ソウルの穴場のお店や、地方とソウルで生活しながら見えてきたものなどをブログやSNSなどで紹介するのが趣味。

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