愛媛県松山市には現存12天守の一つとして有名な松山城や名だたる偉人が訪れた道後温泉など観光名所がたくさんありますが、今回ご紹介したいのは司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」をテーマにした展示を中心に、建物としての魅力も高い「坂の上の雲ミュージアム」。最近テレビでも再放送され、激動の明治時代をたくましく生きた松山出身の3人の登場人物に学ぶことが多く展示内容はもちろん、安藤忠雄さんの歴史を感じる仕掛けが施された建築も見どころの一つとなっています。
「坂の上の雲」に登場する松山出身の3人とは?

小説に登場する3人とは松山出身の正岡子規、秋山好古、真之の兄弟。日露戦争が勃発する激動の時代に俳句や文章の力を武器に活躍したのが正岡子規、騎兵を育て陸軍で活躍したのが秋山好古、そして海軍の近代戦術の基礎を確立させた真之。まだ「日本人」としての自覚も「日本」という国家としての団結力も無かった時代に大国ロシアと戦い国民の意識を変えて行った3人です。
安藤忠雄氏による建築の見どころの一つ

ミュージアムは松山市中心部の大通りを一本入ったところにあり、ゆるやかな坂道を上っていくと大正時代のフランス風の館「萬翠荘」、そしてその上には江戸時代の松山城があります。

ミュージアムの特徴は「坂」。上に向かって5度の角度がついていて未来への世界の広がりを表しています。ミュージアムのある現代の場所から一直線上に大正時代の萬翠荘、江戸時代の松山城とつながりミュージアムの入口がある西側には大きなガラスが使われており時代の流れを感じる建物が映り込む仕掛けになっています。

館内は傾斜のついたゆるやかなスロープがひとつづきにつながりゆっくりと自分のペースで歩き考えながら展示を見ていく回遊式になっています。コンクリートの壁には明治時代の松山市の写真や子規の俳句、近代国家として歩み始めた明治時代の資料、坂の上の雲の新聞連載などが展示されています。

こちらは「空中階段」。最も負荷のかかる中間部分の支柱を省いた珍しい構造の階段。

建物自体は同じ大きさの2つの正三角形を重ね合わせた建物になっていて展示室や企画ギャラリーの部屋として使われています。

3人が生きた時代は一定の資格を取れば博士にも役人にも軍人にもなることができる時代。自由な心を持ち日本のために命をかけた明治の日本人のたくましさを感じる展示です。

鑑賞後はぜひ四季折々の自然の眺望が楽しめるカフェへ。「坂の上の雲」の小説本や関連本もあるので本を読みながら休憩するのもおすすめです。

入口にあるミュージアムショップには一筆箋やクリアファイルなど訪れた記念となるグッズが販売されています。
興味が出たらぜひ訪れていただきたい 秋山兄弟の生誕地

坂の上の雲の主人公にぜひ興味をもたれたらぜひ訪れていただきたいのが秋山兄弟の生誕地。ミュージアムからほど近く歩いていくことができます。入場料がかかりますが奥に見えている生家を見学することができます。
愛媛県松山市歩行町2丁目3-6
明治時代の「たくましさ」や「力強さ」を感じる日本人の精神は現代の日本を生きる私たちが失いつつあるものかもしれません。ぜひたくさんの方に訪れてほしいと思います!
愛媛県松山市一番町三丁目20番地