青春18きっぷはJRが発行する「トクトクきっぷ」の一つで、11,850円で購入すれば、定められた利用期間中にJR全線の普通列車1日乗り放題を5回できるようになっています。
利用期間としては学生の春休み、夏休み、冬休みの時期と重なるよう設定されていますが、利用にあたって年齢制限はなく、私のように安く旅をしようとしている者にとっては最大の味方となるものです。
平成29年の夏季においては7月20日から9月10日が利用期間でしたが、その間に長野、日光、諏訪、焼津と普通列車を乗りまくり、フィナーレとして選んだのが岐阜の「モネの池」でした。
「モネの池」とは
「モネの池」は岐阜県関市にある根道神社参道脇にある貯水池で、あくまで通称であって、地元では「名もなき池」と呼ばれているようです。
池には湧き水が流れ込んでいるために常に透明で、スイレンの花が咲きコイが泳ぐ様子がモネの作品の池に似ており、SNSで取り上げられて全国的な話題となりました。
山奥にある神社の池が一躍脚光を浴びるようになったということなので、当然のことながら公共交通機関などありません。しかしルート検索したところ岐阜駅から36㎞で、これならレンタカーを使えば無理な距離ではありません。
恐らく青春18きっぷで東京から日帰りできるのはここがギリギリで、夏季のフィナーレを飾るにはこれ以上ふさわしい場所はないと思いました。
青春18きっぷで旅をする場合の注意点
青春18きっぷは最初の駅の改札で日付印を押してもらうと、その日の24時まで普通列車が乗り放題になります。第三セクター鉄道では基本的に使用できませんし、東京~大垣間を走る「ムーンライトながら」のように日を跨ぐものについても少しややこしいですが利用できます。
郊外だからと侮るなかれ
首都圏に住む人が青春18きっぷで旅をする場合、ほとんどが下り列車に乗って郊外へ向かうと思いますが、それぞれの地域にとっては地元の大動脈であり、ローカル線だと侮ってはいけません。実は東海道線や中央線というのは首都圏を離れてからも意外と混んでいるものなのです。
下りの東海道線の大半は熱海で乗り換えることになりますが、ここで座りそこなうと静岡まで立ちっぱなしになると覚悟しておいた方がいいでしょう。
トイレの場所は要確認
今回の旅では藤沢から乗車して途中三島、静岡、浜松で乗り換えて岐阜に到着しました。
三島での乗り換え時間は7分、静岡では2分、浜松では1分しかなく、その都度座席の確保のためホームの反対側にとまっている電車にダッシュしなければなりません。乗り換えの間にトイレに行くとか、ホームの立ち食いそばで腹ごしらえというような余裕は、基本的に無いと思っておいた方がいいでしょう。(中央線もそれに近かったと思う)
そのため、トイレは車内のものを利用するしかありません。次に乗る電車にトイレのは有るのか、有るなら何号車か、ということは乗り換えの際に最初に確認すべき事項になります。
混んでいる時はロングシート、空いている時はボックスシートが楽
普通列車の旅ですからどうしても乗車時間が長くなり、夜になれば車窓など楽しめないのでそれなりの準備も必要です。私は真面目な本と軽い本を常に荷物に入れておくようにしていました。
また私個人の印象として、混雑時はロングシート、空いている時はボックスシートが楽だったように思います。
普通列車の旅だからこそ味わえるもの
丹那トンネル
開業当時の東海道線は国府津から沼津まで現在の御殿場線を通っていましたが、伊豆半島を貫く丹那トンネルの開通により現在のルートとなっています。約7,800mの距離を掘り抜くのに16年もかかり、67名もの犠牲者を出した大変な難工事でしたが、トンネルが開通したおかげでそれまでよりも東海道線の輸送力が大幅にアップしました。
新幹線なら一瞬で抜けてしまう区間ですが、普通列車ならトンネルの長さをじっくりと味わうことができます。トンネルの重要性を思い、心して通過しましょう
海側に見える富士山
東海道線は天気がいいと、山側の窓から富士山が見えますが、実は海側の窓からも見える場所が一か所あります。(富士川を渡ったあたり。窓の左端に見える山)
新幹線でも安部川付近で一瞬だけ海側に見えますが、当然のことながら在来線の方がゆっくりと楽しむことができます。
蒲郡駅のアメリカズカップ艇
世界最高峰のヨットレースである「アメリカズカップ」に挑戦していた「ニッポンチャレンジ」は、1988年から2001年まで蒲郡に練習拠点を置いていました。そのため蒲郡駅南口に当時の練習用ヨットが設置されています。
最先端だったヨットのデザインの美しさを車内からでも感じることが出来ます。
「岐阜県人は信長が大好き」というのは本当だった
藤沢を6時8分に出発して岐阜には11時34分に到着しました。
「岐阜県人の信長好きは岐阜に来なければわからない」という事を聞いたことがありますが、それはもう驚くほどのものでした。
岐阜ではレンタカーの確保に手間取り、駅周辺で1時間ロスしてしまいました。レンタカーを利用する旅の場合はどうやら事前予約が必須のようです。
ナビのおかげで全く道に迷うことはありませんでしたが、「右だ」「左だ」「道なりだ」と機械に言われるがままに走るのはドライブとしては面白くもなんともありません。
途中で信長が造営した岐阜城を見ることが出来ました。
偶然が重なって人気観光地となった「モネの池」
まずは根道神社にお参り
予定通り約1時間で現地の駐車場に到着しました。
中央にある鳥居の奥にモネの池があります。
根道神社の参道脇にある池であるので、まずは神社にお参りすることにします。
白山信仰が盛んだったこの地域には9世紀ころから数多くの神社が置かれていましたが、明治42年に六社を合祀して根道神社が誕生しました。無人ですので御朱印には対応していません。
本殿前から池を見下ろすことができます。
場所によって見え方が違う「モネの池」
モネの池の全景はこのようになっています。
近隣の人々が周辺の草を刈り、睡蓮を植え、自宅で飼えなくなったコイを放したらたまたまモネの絵に似た池になってしまったという事で、当初は観光地にするつもりなど全くなかったといいます。
しかし水が濁らないように工夫してコイにエサをやり、解説も手書きで作成してくださった結果、現在では手作り感満載の観光名所となっています。
池の見え方は場所によって違います。
池の一番手前は正直言ってあまり綺麗ではありません。
左手奥に進み木の間から撮りました。
神社側中央の橋の上からの写真です。きれいなのですが、遠方の山が水面に映り込み、まだらのようになっているのが気に入りません。
事前にイメージしていたモネの池とはどうも印象が違います。
水面がまだらにならないためには山が写り込まない角度から見ればいい、ということで道路側から池の中央を写しました。どうやらこれが一番イメージに近いようです。
ちなみに池の全景写真で、歩道の一番手前に立っている日傘をさした女性のあたりから写したものが一番上手く撮れたと思います。
日付を跨がぬよう一目散に帰った
神社や寺院をまわって御朱印を集めることを趣味としている私としては、周辺に立ち寄ってみたい場所はいろいろとありました。しかし普通列車でその日の内に帰らなければならず、できることは限られます。
結局熱田神宮だけお参りして名古屋から再び普通列車を乗り継ぎ、日を跨ぐぎりぎりのところで藤沢駅に到着しました。
1回分の2,370円で岐阜まで往復したことになるのですから(レンタカー代除く)、いくらお尻が痛くなってもこれはやめられません。