建築マニアが愛する、上野公園のユニークな建築物とは?
日本

国立西洋美術館 外観

こんにちは、monaです!

あなたは美術館に来たら、何を見ますか? 多くの方は迷うことなく「館内にある美術作品」だと答えるでしょう。私からしてみれば、それは非常にもったいない!! と、思ってしまいます。
美術館は、その建物自体も「美術作品」であることが多いのです。

東京・上野にある、最近世界遺産にも登録され話題になったル・コルビュジエの「国立西洋美術館」をはじめとする上野公園内にある建築物たち。
今回は、建築マニアである私なりの視点でこれらの魅力をお伝えていきたいと思います。これを読めば、普段何となく建物を眺めるときとは一味違った発見があるかも!?

国立西洋美術館

国立西洋美術館 外観
まずひとつめは、最近話題の「国立西洋美術館」。これは、戦後の日仏間の国交回復・関係改善の象徴として、フランスの名建築家であるル・コルビュジエによって1959年につくられた建築物です。1998年には「公共建築百選」に、2007年には国の重要文化財に選ばれ、そして今年、2016年7月17日に世界文化遺産に認定されました。

 

この美術館は、ル・コルビュジエが日本に残した唯一の作品で、ル・コルビュジエが提唱した「近代建築の五原則」(新しい建築の5つの要素のこと。具体的にはピロティ、屋上庭園、自由な平面構成、水平連続窓、そして自由なファザード(側面から見た建物の外観)の5つです。)を具体的に表現しています。

また、この美術館は、「無限発展美術館」の思想を体現しています。「無限発展美術館」とは、建物の中心から外側に向かって渦巻き状に順路が設定されていて、収蔵する作品が増えると、その順路の延長線上に増築し、展示スペースを広げることができる、というものです。実際に中に入ってみるとわかると思います。
19世紀ホール
まず美術館内に入ると目に入るのは、「19世紀ホール」。こちらは吹き抜けとなっていて、シャープな形の三角形の窓から自然光が取り込まれるようになっています。高い天井はこの円柱に支えられています。
国立西洋美術館 模型
こちらの写真は、19世紀ホールにある、国立西洋美術館の模型です。これで、実際には見ることのできない美術館の全体を眺めることができ、コルビュジエの建築の工夫点や、美しいフォルムなどを見ることができます。

国立西洋美術館 内部
スロープを上り、展示スペースへ行くと、様々な形で建物内に自然光が取り込まれているのがわかります。例えばこちらのエリアでは、天井部分に丸窓を多数つくることで、自然光を取り込みすぎることなく、適度な量の光を作品にもたらしています。また、窓ガラスの材質を工夫することで、強すぎることのないやわらかな光を取り込み、作品が最も美しく見えるように設計されています。この形のほかに、展示スペースの側面上部に窓を設けて光を取り込む設計になっている場所などもあります。

 

このほかにも、館内の建築的な観点から見た見どころはたくさんありますが、「どこをどう見たらいいのかわからない!」という方もいらっしゃると思います。そんな方々のために、国立西洋美術館では、「建築探検マップ」というものを用意してくださっています。こちらのマップは、ホームページからダウンロードすることもできます。
国立西洋美術館 建築探検マップ

法隆寺宝物館

法隆寺宝物館

続いて紹介するのは「法隆寺宝物館」。こちらは東京国立博物館にある法隆寺献納宝物の展示施設で、飛鳥時代から奈良時代にかけて生まれた貴重な宝物を300点以上収蔵してあり、正倉院宝物と双璧をなす古代美術のコレクションを扱っているとして、高い評価があります。

こちらの建物は谷口吉生によって設計されたものです。
現在の東京にはあまりなくなってしまった「静寂」・「秩序」・「品格」のある建築を目指したもので、2001年には、国内の建築家に与えられる最高峰の賞である「日本建築学会賞」の作品賞を受賞しました。
法隆寺宝物館 下部

建物の下部には細い柱が。この細い柱でも建物を支えることができるように、屋根の部分にはアルミハニカムパネルが使われています。この写真の手前の部分にも写っているような水を使った空間の設計は、人に安らぎを与えてくれます。

透明なガラスのボックスの中にあるエントランスホールは、まるで外とつながっているかのような感覚になる、温かい雰囲気の場所です。周辺にある木々・日の光・水などが、ゆったりとした穏やかな時間を与えてくれる場所です。

東京国立博物館本館

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最後に紹介するのは、東京国立博物館本館です。かつてJ.コンドルが設計した旧本館が大正12年に関東大震災で大きな被害を受けてしまい、その後、昭和13年に昭和天皇の即位を記念して開館したものが現在の本館です。こちらは渡辺仁が設計したもので、コンクリート建築に瓦屋根をのせて東洋風を強く打ち出した「帝冠様式」の代表的建築だとされています。平成13年には重要文化財に指定されました。

こちらの写真は壮大な吹き抜けのエントランスホールから見える景色です。大理石や花崗岩が用いられたホールは重厚感のある空間となっています。

 

いかがでしたか? 様々のタイプのユニークな建築物があることをお分かりいただけたと思います。上野公園内にはこの他にも、たくさんのユニークな建築物があります。ぜひあなたも、素晴らしい「美術作品」である建築物を見に、上野公園へ足を運んでみてください!

この記事を書いた人

mona

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建築マニア。建築とカフェとスイーツと街歩きの専門家。 明日ふらっと出かけたくなるような場所を紹介していきます。

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