恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館は、昨年総合開館20周年を迎えました。実はこちらの美術館、2014年から大規模な改修工事を行っていて、今年の9月に待望のリニューアル・オープンとなりました。そんな東京都写真美術館にさっそく行ってみました!
そもそも「東京都写真美術館」とは?
東京都写真美術館は、1986年の第二次東京都長期計画で「写真文化施設の設置」が発表されたことを契機に、それからおよそ10年ほどの歳月を経て開かれました。絵画などに比べると遅い設置のように思いますが、最近では写真にとどまらず、アニメやゲームなどの写真以外の映像作品の収集にも力を入れており、これからより一層発展が楽しみな美術館です。
さっそく向かってみた!
JR恵比寿駅東口より徒歩約7分、東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分でこちらの美術館に到着します。歩いていると早くも標識が! JRの駅からでしたら、空中通路を使って行くと早いです。
到着しました! すっきりとした外観でとてもスタイリッシュです。チケット売り場までの細長い通路には3枚の大きな写真が飾られていました。
1枚目はロベール・ドアノーの「パリ市庁舎前のキス」、2枚目はロバート・キャパのオマハ・ビーチの写真、3枚目は植田正治の「妻のいる砂丘風景(III)」です。どれも伝説的な写真家の伝説的な写真です。大きさも相まって圧倒されます。
こちらが入り口です。
ふたつの企画展
今回は2Fと3Fで行われている「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展と、B1Fで行われている「世界報道写真展2016」のふたつの展示がありました。ふたつセットで観るか、ひとつだけ観るかをチケット購入の際に選択します。セットでの鑑賞が断然お得です!
「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展は、1970年代からニューヨークを拠点に活躍する杉山博司氏の展示で、人類と文明の終焉がテーマになっている、写真展というよりはインスタレーションです。3Fでは「〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉」という、カミュの異邦人を思わせる一文から始まる文章とともに、写真のみならず美術作品や書籍、歴史的に貴重な資料などから構成される不思議な空間になっていました。2Fは今回で世界初公開となる写真作品「〈廃墟劇場〉」と「〈仏の海〉」というインスタレーション作品です。
「〈廃墟劇場〉」は、アメリカ各地の廃墟となった劇場で、映画1本分の光量で長時間露光するという作品です。作品が生み出されるまでの壮大さとは対照的に、実際の写真は精緻なプリントによって光と影のコントラストを鮮やかに映し出していると同時に静謐な印象を受けました。
また、「世界報道写真展2016」は、1955年にオランダのアムステルダムで世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー・報道写真の展覧会。45カ国約100会場(2015年実績)で開かれ、総計350万人が会場に足を運ぶ世界最大規模展覧会です。日本でも約20年以上にわたって開催が続いており、今年はリニューアルオープン記念も兼ねて2年ぶりに恵比寿で開かれました。
シリア難民からネパール地震、動物やスポーツ、環境破壊やドキュメンタリーなど、作品のジャンルは多岐にわたります。中には日本人写真家の作品も! 観る者を圧倒する写真の数々に、時を忘れて没頭してしまいました。
ミュージアムショップも
2Fのロビーにはミュージアムショップもあります!
時間に余裕を持った来館をおすすめします
杉山氏のインスタレーションから観るか報道写真から観るかは自由なのですが、私は杉山氏の作品から観ました。「人類と文明の終焉」という壮大なテーマをインスタレーションを観ながら考え込んだ後に、見ごたえのある報道写真を観るのはなかなか大変でした。私は1時間程度しか滞在できない予定だったのですが、結局2時間ほど滞在してしまいましたし、それでももっとゆっくり観たかったと思ったので、時間に余裕を持って行くことをおすすめします!
開館時間:10:00~18:00(木・金曜は20:00まで)
※2017年1月2日(月・振休)・3日(火)は11:00-18:00
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館)、
年末年始(2016年12月29日[木]-2017年1月1日[日・祝])
観覧料:展覧会・上映によって料金が異なります。
各展覧会・上映の詳細をご確認いただくか、あるいはお問い合わせください。
公式サイト:こちら
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