長野諏訪湖畔を囲むように鎮座する、日本最古の神社の1つ「諏訪大社」。かの戦国武将・武田信玄も厚く信仰したといわれる由緒あるパワースポットです。
そして、最近では鎌倉時代の実在の人物達をモデルにしたマンガ&アニメ『逃げ上手の若君(以下「逃げ若」)』の舞台として諏訪大社が登場することから、ファンの間では聖地として話題になっています! そんなパワースポット・諏訪神社の紅葉シーズンがひときわ美しかったので、その様子をレポします。
「諏訪大社とは?」まずはおさえておきたい基礎知識
諏訪大社(すわたいしゃ)は、1カ所だけではなく、上社前宮・上社本宮・下社春宮・下社秋宮の四社をまとめた総称です。時間があればぜひ四社巡りをしたいところですね。
長野の豊かで神秘的な自然をあがめる原始的な信仰が諏訪大社の原型であり、今でもその宗教観が大事に守られています。
ご祭神とご利益
メインのご祭神は武神・建御名方神(たけみなかたのかみ)。先述の武田信玄をはじめとする、戦国武将達が武運長久を願って崇敬したことで有名です。建御名方神は、信濃の国を切り拓いた神様ですので、逆境にも負けない勝負運のご利益があると信じられています。そのため、現代では経営者や自営業者が多くお詣りに来るのだとか。さらに諏訪大社の「勝栗札」はスポーツ選手必須のお守りとして人気があるそうです。
ほかにも大木を高台から降ろす勇壮な祭「御柱祭」など、諏訪大社の魅力はまだまだほかにもたくさん!とても紹介しきれないので、ぜひ諏訪大社の公式サイトでご確認ください。
「上社前宮」―逃げ若の中の諏訪大社
諏訪大社は四社からなる大規模な神社ですが、それぞれ離れた場所に位置するため、車での移動が必須。滞在時間が限られる場合は、お詣り先を絞る必要がありますね。というわけで、時間が無い方はまずは「上社前宮」(以後、前宮)へ行きましょう!
高台に位置する前宮は、水と日光に恵まれた土地であるため、諏訪信仰発祥の地という説もあります。ちなみに先述の『逃げ若』もこの前宮が主な舞台です。
●諏訪大社 上社前宮
長野県茅野市宮川2030
『逃げ若』のあらすじ
ご存知ない方のために、簡単に『逃げ上手の若君』についてご説明しましょう。
2021年から週刊少年ジャンプにて連載中の、史実をモチーフにしたコミカルタッチの冒険バトル漫画です。2024年夏からはアニメとして放映され「逃げ若」の愛称でますますファンを増やしています。
舞台は鎌倉幕府終焉から室町幕府へと変遷する時代。鎌倉幕府最後の将軍の北条家が、足利尊氏によって滅ぼされるところから物語がスタートします。唯一生き残ったのが北条時行少年。そしてそんな時行を助けるのが、当時北条家に仕えていた諏訪氏の頭領・諏訪頼重とゆかりの子供たち。漫画・アニメには前宮が登場するので、逃げ若ファンはお詣りの際、ぜひともチェックをお忘れなく!
上社本宮
前宮から2㎞ほどの距離にあるのが「上社本宮」(以後、本宮)。上社はどちらも守屋山の麓にあり、山をご神体とする古神道の特徴が垣間見られます。
諏訪大社には上社・下社合わせて、七不思議ならぬ11の不思議の言い伝えがあり、その1つがこの本宮の「西宝殿」なのです。ここではどんなに晴れていても、必ず軒から三粒以上の水滴が落ちるとか…諏訪湖にもほど近いことから、「諏訪の水の神様=龍神様のご加護」と言われているそうです。
●諏訪大社 上社本宮
長野県諏訪市中洲宮山1
下社春宮
上社から諏訪湖を挟んだ下諏訪エリアには2つの下社があります。
まずは「下社春宮」(以後、春宮)へ足を踏み入れていきましょう。
手水舎で清め、一礼して鳥居をくぐって進んだ先に見える拝殿は、重要文化財に指定されており、色鮮やかに染まる紅葉とのコントラストで、より一層荘重なオーラを放っていました。
万治の石仏
春宮にはぜひ訪れてほしい場所がもう一つ。鳥居をくぐってすぐ左手の、砥川へ抜ける小径を進み、赤い橋を渡ると不思議な形をした「万治の石仏」が視界に入ってきます。この「万治の石仏」は作法に従ってお参りすれば願いを叶えてくれるという伝説があり、春宮のちょっとしたパワースポットとして人気があります。
まるで鏡餅のような愛嬌のある仏様です。親しみやすく荘厳な神社の神様には言いにくい「ぶっちゃけ」たお願い事でも、気軽に伝えられる気がしませんか?
●諏訪大社 下社春宮
長野県諏訪郡下諏訪町193
下社秋宮
最後に、紅葉シーズンにオススメなのが、こちらの「下社秋宮」(以後、秋宮)です。というのも下社は季節ごとに神様が移り住む(遷座する)ため、10月頃から3月までは秋宮に神様がいらっしゃると考えられているからです。
秋宮の拝殿のしめ縄は、出雲大社と同じ様式です。二社共に日本最古の神社ですし、神話の世界でもつながりも深いため共通点も多いのでしょう。
さらに秋宮で見逃せないのが、神社境内の温泉です! それもそのはず下諏訪エリアは温泉地でもあり、秋宮でもご神水ならぬ「ご神湯」として温泉が引かれています。(境内やお手洗いの外に設けられている)
●諏訪大社 下社秋宮
長野県諏訪郡下諏訪町5828
諏訪大社四社、どうまわる? 順番は?
今回は秋の紅葉に染まる諏訪大社の魅力をお伝えしましたが、もちろんどの季節でも諏訪の大自然を感じられる雄大なパワースポットであることには変わりません。
とはいえ、四社コンプリートが難しい方も多いことでしょう。参拝の順番が決まっている伊勢神宮とは異なり、諏訪大社については特に順番は決まっていないので、ご自身のスケジュール・交通手段に合わせて計画を立てることが可能です。
例えば、さほど距離が離れていない上社前宮と本宮に加え、季節に応じて、神様がいらっしゃる春宮または秋宮か行き先を絞るのも一案です。また、神社以外の見どころと合わせるのもオススメ。下社がある下諏訪は上述の通り温泉地ですし、諏訪湖にほど近い高島城といった、歴史好きにはたまらならないスポットも多いので、あなたの趣味を反映させたお詣りプランを立ててみましょう!