仕事柄、ヨーロッパ旅行中にスリや置き引きにあった!という声をよく耳にします。残念ながら、ISのテロよりも軽犯罪の遭遇確率が非常に多いのは確かです。
実際、何に気をつけたら良いの? どんな人がスリなの?と聞かれます。旅行中の注意点をまとめてみました。
視線の先が全く違う!
世界一治安が良いともいわれている日本。同じ感覚で海外に来るとスリや置き引きの餌食になってしまいます。実際に撮影したスリの手口を見てみましょう。
写真は2014年5月にフィレンツェ駅で偶然撮影したものです。イタリアでは、検札は列車内で行われるため、以前は切符なしでもホームに自由に出入りができました。現在は、多くの駅ではホームに入るためには乗車切符を所持しているか点検が行われており、ホームに入ることは出来ません。
多くの場合、スリはグループで連携して狙っています。こちらは女3人と男1人の4人です。ジプシーと呼ばれる東ヨーロッパから来た人達ですが、服装はごく普通なので、慣れないとなかなか区別が付きません。カメラなどを持って旅行者を装っている場合もあります。
真ん中の紫色のシャツの女が、スリグループの1人。列車の到着とともに、雑踏の中、ドアの横で昇降している人を狙っています。
このように写真で見ると明らかに他の人と様子が違うことがわかりますが、実際に現場にいると気づかないものです。乗り降りの際は、油断していることが多いので気をつけたほうが良いということがわかります。
多くの場合、彼らは視線がバッグやポケットのあたりを注意深い視線で見ているため、他の人の目線とは全く違うことがわかります。
列車に一緒に乗り込んで、車内の様子を見るスリの女と、手前で周囲を伺う仲間の男。重い荷物を手伝って、ポーターのようにお金を貰ったりもしていました。
実際に彼らの仲間が警察に捕まっているところも見たことがあるのですが、その多くが未成年者で軽犯罪ということもあるのか、すぐに現場復帰?していました。
逃げたり警察に捕まったりといたちごっこだったのですが、近年はホームに入れなくなったため姿を見なくなりました。街に行ったのかもしれませんし、違うことをしているのかもしれません。人が多いところや、油断している時が彼らの狙い目だということがわかります。
どんなカバンが良いの?
旅行に勧められるのは、斜めがけのバッグです。ただし、お財布やパスポートなどの貴重品は、ファスナーを開けたらすぐのところではなく、内ポケットの中に入れておきましょう。面倒かもしれませんが、それはスリにとっても面倒な事です。それ以前に、そんな開けにくいバッグは狙われにくいと思います。
日本人に人気のトートバッグ。いっぱい入って便利です。近年、流行なのかイタリアでも見かけるようになりました。もし旅行に持っていきたいなら、ファスナー付きのものをお勧めします。出来れば2WAYでショルダーになるものがベスト。
旅行中は、財布、カメラ、携帯など、ものの出し入れが頻繁です。撮影のときなどはショルダーにするなど便利です。トートバッグを持ちたい方は、サブバッグとして持ったり、道を歩く時には必ず建物側に持つようにしましょう。
最近、日本人観光客の男性で見かけるのはボディバッグ。ワンショルダーのものなどが流行っているようです。
注意点は、絶対に後ろに回さないこと。中に貴重品があるのは確実なので、開けにくいところに入れたり、フェイクでもいいのでダイヤル式の南京錠を付けておくのもテクニックかもしれません。
ATMキャッシングは必ず片手で……!?
海外のATMで気軽にキャッシング出来る時代になりました。日本のようにATMは銀行の玄関内にあることもありますが、多くの場合ATMは外にあります。暗証番号を入力する際は片手で隠すようにしましょう。
ATM上部にカメラが仕掛けられている被害も出ています。今年、実際に被害にあった人が、警察に行った際、「入力の際に手で暗証番号を隠したか?」聞かれたそうです。そして、キャッシングや両替した後は、ちゃんとお金をバッグに入れてからその場を離れましょう。
貴金属を買ったら?
時計やアクセサリーなど高価な貴金属類を買った際には、お店の小さなショッピングバッグに入れてくれます。しかし、それは、「今、高価な貴金属を買いました。この紙袋の中に入ってます!」と宣伝しているようなもの。すみやかに他のバッグに入れ替える事をオススメします。
バルセロナのテロ以降は
バルセロナのテロ以降は繁華街の直線の通りには、ブロックや大きな花壇が置かれています。
いかがでしたか? 日本で、欧州は今怖いと言われていますが、沢山の観光客がいっぱいです。
どこへいくにしても旅行を楽しい思い出にするには、持ち物に工夫をするなど、自分自身のことは自分で守るのが基本。そして、周りの様子に気をつけるのが大事だと思います。気をつけていれば自然と危険が避けられます。