NHK朝の連ドラ「ばけばけ」はラフカディオ・ハーンこと、小泉八雲と妻セツをモデルにしたドラマですが、旬の俳優吉沢亮さんも出演したこともあって高い人気を誇っています。物語の前半、主な舞台となった城下町の松江には歴史ある神社仏閣が多く、スピリチュアル的な世界に強く惹かれていた八雲自身も足繁く通ったそうです。
というわけで今回は「ばけばけ」聖地巡礼と称して、月照寺、城山稲荷神社、小泉八雲記念館・小泉八雲旧居をご紹介します。ドラマの余韻を楽しみながら、文豪夫婦の足跡をたどっていきましょう。
ハーンが最も愛した月照寺

ドラマ「ばけばけ」のオープニングが撮影されたのが、松江の中心部から少し離れた「月照寺」。訪れると撮影スポットを示したパネルが展示されていて、聖地巡礼者には大変ありがたい演出がされていました。

実際に八雲自身もこの古刹を愛し、松江時代には幾度となく通っていたのだとか。夫人にも「一番好き」と伝えていたようです。
ご由緒
月照寺はもとは洞雲寺と呼ばれていましたが、徳川家康の孫・松平直政(初代松江藩藩主)が生母・月照院の位牌を安置したことを機に、現在の名前に改称されました。その後代々藩主の菩提寺として栄え、松江有数の史跡として多くの観光客を迎えています。

見どころは何と言っても、ドラマで話題になった「寿蔵碑(じゅぞうひ)」。八雲の随筆にも登場する、通称「月照寺の大亀」は六代廟門にあり、予想を超えた大きさで、迫力があります。ちなみにこの大亀は「化け亀」という怪談で登場します。
怪談「化け亀」

昔々月照寺の大亀はもとはというと、夜な夜な動き出し、人々に煩いをもたらす恐ろしい化け物でした。しかし寺の住職の説法により改心し、大きな石碑を背負うことで自ら動くことを封印。その後は動かぬ事で人々に幸せを与える守護の亀に変身。大亀に一礼して、その頭を撫でると長生きできると伝承されています。

月照寺の境内はお寺ではあるものの、九代の将軍達の立派なお墓の存在感が圧倒的だからか、この世とは思えない、ミステリアスな雰囲気に包まれており、それこそが八雲の心の琴線に触れたのかもしれません。月照寺であなたも『怪談』の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
●月照寺
島根県松江市外中原町179番地
城山稲荷神社

松江城の北側にひっそり鎮座する「城山(じょうざん)稲荷神社」も八雲お気に入りの場所でした。「ばけばけ」のワンシーンがこちらでも撮影されているので、ドラマをご覧になった方なら覚えている方もいらっしゃるのでは。

お稲荷さんらしい幾重にも連なる朱赤の鳥居を抜けると、さらに急な階段が目前に控えており、そう簡単に参拝をさせてはもらえません。木々に覆われた境内が醸し出す雰囲気は、神聖さとあいまって、どこか秘密めいたミステリアス。月照寺といい、城山稲荷神社といい、段々八雲の好みがわかってきた気がします。

ご由緒
城山稲荷神社は先述の初代松平直政が夢でお告げを受けて創建された神社です。過去に筆者が訪れた武蔵境の「杵築大社」の記事でも触れましたが、直政は大変信心深く生涯で出雲の神様とお稲荷さんに祈りを捧げていたことでも知られています。
【杵築大社(東京)の記事『武蔵野に鎮座する松平家ゆかりの縁結びの神様―杵築大社』はこちら】

そんなお殿様のお膝元のお稲荷さんには、無数の狐の石像が並んでいます。八雲の自宅からも5分ほどの場所であるため、通勤時など日常的な散歩コースだったそうです。

八雲にはお気に入りの狐像がありました。画像の通り案内板があるので、お参りの際ぜひ探してみてください。さらにご自身のお気に入りのおキツネ様もみつかると良いですね。
●城山稲荷神社
島根県松江市殿町477
小泉八雲記念館・小泉八雲旧居

城山稲荷神社の境内から、稲荷橋を渡って堀川の向こう岸へ。そこは武家屋敷街の名残が感じられる塩見縄手と呼ばれるエリアです。その中でも多くの人でひときわ賑わっているのが、「小泉八雲記念館」と「小泉八雲旧居」。ドラマの影響か聖地巡礼とおぼしき老若男女の姿が見られました。筆者が訪れたのは平日だったのにも関わらず、多くの人出。恐るべし、朝ドラの影響力!

小泉八雲記念館
八雲とその妻セツの曾孫にあたる、小泉凡氏が館長を務める小泉八雲記念館は、コンパクトながらも、展示内容の充実度が高く、聖地巡礼ならはずせないスポットです。館内には来日前のヨーロッパ・アメリカ時代のハーンから、来日して小泉八雲になった彼の一生が数々の展示品とビジュアルでわかりやすく解説されています。
中には生前八雲が愛用していた品々も展示されているので、ドラマで見たことがある小道具(のモデル)も見つかるので追体験の楽しさがあります。

小泉八雲旧居
記念館のお隣にあるのが「小泉八雲旧居」。武家屋敷で暮らすことを希望した八雲が1891年6月から熊本へ赴任するまでの5ヶ月ほど住んでいた居宅です。特に八雲は自然の縮図のような中庭を愛しており、「日本の庭」(『知られぬ日本の面影』)でその魅力が綴られています。
また庭に面した窓辺には、ドラマでおなじみの八雲専用机(複製)も配置され、ドラマのワンシーンに迷い込んだような気分になること間違いなし。
●小泉八雲記念館・小泉八雲旧居
島根県松江市奥谷町322
■開館時間
4月—9月:9:00-18:00(受付は17:30まで)
10月—3月:9:00-17:00(受付は16:30まで)
■チケット
2館共通800円(2026年3月現在)
オンライン購入(キャンセル不可)は優先入場が可能
詳細は以下のリンクから要確認
https://www.hearn-museum-matsue.jp/index.html
八雲が愛した宍道湖の景色

最後にもう一つご紹介したいのが、松江と出雲にまたがる大きな湖―宍道湖です。特に夕焼けの景色は日本百景の一つに数えられる程の評判で、八雲自身も著書『知られぬ日本の面影』でその美しさを称えています。
またシジミの産地としても有名で、英語教師として松江に赴任した八雲も宿でシジミを食したのだとか。宍道湖畔では温泉宿も多いので、八雲の足跡をたどりつつも、その聖地巡礼の疲れを癒す宿泊地としてもオススメです。

ドラマ「ばけばけ」自体は3月末で惜しまれつつも終了となりますが、聖地巡礼の人気は止まることを知りません。ゆかりの地をバスで周遊できる「ばけバス~小泉八雲とセツゆかりの地を訪ねて~」は、なんと放映終了後の4月以降も開催されるそうです! ご興味ある方はこちらのリンクから詳細をご確認ください。
(2026年3月末現在。今後変更の可能性もあるため、事前にご確認をお願いいたします)
●「ばけバス~小泉八雲とセツゆかりの地を訪ねて~」



