Photo:DSC_0868-nagasakishi-inasayama By Konstantin Leonov
長崎観光というとハウステンボスや五島列島、稲佐山の夜景が観光地として挙がりますが、わたしがオススメしたいのは「教会」
弾圧や原発という長崎の歴史を感じながら、建築美を味わえるスポットとして必見です。
長崎県内には国宝や重要文化財、世界遺産暫定登録リストに掲載されているところを含め130近い数の教会があります。
長崎のキリスト教史
ポルトガルとの貿易が盛んだった長崎は、日本で最初にキリスト教の布教活動が行われた地。
ですが1587年、豊臣秀吉は日本統一の邪魔になると考え「伴天連追放令」を発令し、1597年には宣教師・修道士ら26人を処刑。
1614年の「禁教令」後、激しい弾圧と迫害の中、長崎の信徒たちは250年近くも潜伏キリシタンやカクレキリシタンとして密かに信仰を続けます。
開国後の1865年、息をひそめていた信徒たちがプチジャン神父に信仰を告白したのが、「信徒発見」と呼ばれる世界の宗教史上でも奇跡のような出来事でした。
長崎市内2大教会
日本が開国し禁教令が廃止されると、再び多くの神父が来日し教会を建立。現在は長崎県内には約130の教会が存在します。
中には国宝や重要文化財、世界遺産暫定登録リストに選ばれている教会もあります。
その中から、長崎市内で行くべき2つの教会をご紹介。キリシタンの歴史を感じるのはもちろんですが、西洋建築としての建築美も味わえるスポットです。
大浦天主堂(長崎市内)
Photo:DSC_5364 By yoppy
1853年の開国に伴い、外国人居留地に建てられた教会で、日本に現存する最古の教会堂および西洋建築として国宝に指定されています。
正式名は「日本二十六聖殉教者堂」で、その名の通り、秀吉によって1597年に処刑された宣教師・修道士ら26人の殉教者に捧げられています。
「信徒発見」の舞台ともなった木造建築の教会。
1865年の完成当時は、3本の塔を持つゴシック建築ながら正面はバロック調のデザインに、漆喰の使われた壁と和様混合のスタイル。
原爆の被害に遭い、改修によって現在のゴシック様式になりました。
見どころは、教会に入ってすぐ正面の巨大なステンドグラス。キリストの磔のシーンが描かれており、その大きさと美しさに圧倒されます。
浦上天主堂(長崎市内)
Photo:Urakami Cathedral, Nagasaki By southtopia
「禁教令」廃止後、浦上の信徒たちによって建てられました。
「東洋一の教会」と言われたレンガ造りのロマネスク調建築でしたが、被爆し倒壊。鉄筋コンクリートで再建されたのが現在の姿です。
また、教会の外に置かれていたマリア像も被爆しました。被爆したマリア像の頭部や溶けたステンドグラスが、教会内の資料室に展示されています。
マリア像の痛々しい悲痛な姿から原爆の凄惨さを生々しく感じました。
派手な建築物ではありませんが、弾圧と原爆の歴史をかなりまざまざと感じる場所として、訪れる価値のある教会です。
以上、長崎市内の2大教会でした。
このほかにもたくさんの教会があり、ひとつひとつの建築様式も違うのでいくつか周って比べてみると面白いと思います。
五島列島で教会めぐりをするのも楽しいかも。
国内の旅行で教会観光することはあまりないかと思いますが、特に建築美を味わえる長崎の教会。
なかなか足を踏み入れにくいスポットですが、“観光”という新しい見方で訪ねてみては?