■ライター情報 武文智洋 1983年、岡山県倉敷市生まれ。大学卒業後、証券会社に入社し、東京とニューヨークで勤務。5年ほど金融業界で働いた後、2013年の年末に退職しました。そして、2015年1月に世界一周旅行に出発。各地で出会う「人」、その国の「文化と経済」、そして世界中の「食と農業」をテーマに、世界を回っています。 |
メキシコは、私にとってはじめての訪問となる国。
なんとメキシコには、世界遺産が32個あります。日本の18個と比べると、ほぼ2倍!
(2015年1月時点)
5日間と短い滞在だったので、駆け足にはなりましたが、4つの世界遺産をはじめ、多くの場所を訪れることができました。下の写真は、訪れた場所の中でも一番印象に残った世界遺産のひとつ、ルイス・バラガン邸。
さて、世界一周旅行では、訪れる場所と共に、どんなところに泊まるのかが旅の楽しさを左右します。
メキシコでの滞在先は、Airbnbと呼ばれるサービスを使って探し、現地の人の家に泊まらせてもらうことにしました。ホストしてくれた方の名前はサンドラ。可愛い5歳の娘さんを持つ、元気なシングルマザーです。
5日間の滞在の間、時間があれば仕事の合間を縫って、街の中を案内してくれたり、美味しいレストランに連れて行ってくれたサンドラ。彼女は、サンドイッチのデリバリーの仕事をしているので、非常に多くのレストランを知っており、メキシコシティにある、食材調達用の市場にも連れて行ってくれました。
実際に、サンドラがサンドイッチの具材について値段の交渉をしている様子。
この市場を歩いていると、「刺身」や「寿司」の食べ方が、メキシコでは一風変わっている事に気付きました。散策中、刺身らしきものを試食しているメキシコ人に出会ったので、「ちょっと刺身を試したいんだけど」と言うと、「どうぞ」と。
食べてみると、なんだかすっぱい。
不思議に思いながら聞いてみると、メキシコでは、醤油にライムやレモンを絞ったもので刺身を食べるそうです。刺身と言うよりは、セビーチェ(ラテンアメリカで食べられる魚介類のマリネ)を彷彿とさせる味でした。
ちなみに、こちらでは、お寿司と言っても、にぎりではなく、ほとんどが巻き寿司です。
そして、巻き寿司も、海苔でまいたものもありますが、サーモンで巻いたり、アボガドでまいたり、トルティージャ(とうもろこしで作った皮)で巻いたり、バラエティ豊か。
海苔ではなく、トルティージャで巻かれた巻き寿司をメニューで見たときは、もうこれは日本食を超えているなぁと笑ってしまいました。
そして、5日間、サンドラにはお世話になりっぱなしだったので、何かお礼をしたいとずっと思っていました。
一緒にメキシコレストランで食事をしている時に、日本食の写真を見せて話をすると、
「もう、本当に日本食大好きなの!娘とも時々、日本食のレストランに行くのよ!」
と言っていたので、最終日に何か振る舞おうと思い、料理はあまりしたことがない初心者ですが、知恵を振り絞ります。
近くに韓国系のスーパーがあり、そこで調味料を見ていると、ポン酢が!
もしかしたら、醤油にもライムを入れるので、ポン酢は好きかもしれないと思って、「しゃぶしゃぶ」を作る事にしました。
しゃぶしゃぶを作って一緒に食べると、「美味しいー!」を連発!
食べた後、細かにレシピを聞かれ、いや、ちょっとだしをとって、野菜入れて、肉をしゃぶしゃぶして、ポン酢につけて食べるだけなんよ、、、と言うと、それはなかなか難しいね!でも、作れるようになりたい、と。
たいしたことはしてなくてなんだか申し訳ないな、と思いながらも、日本のひとつの文化を認めてもらえたような気がして、嬉しかったです。
早速次の日の朝には、教えたレシピを元に、しゃぶしゃぶにトライしていました。
サンドラと娘さんの美味しそうにしゃぶしゃぶを食べている姿を見る事ができた日が、私にとっては最高の1日。
世界旅行中は、周りの人に助けてもらうばかりですが、日本の素晴らしい食文化のおかげで、少しだけ恩返しできた気がします。