旅行がお好きであれば、それはもう、「いつでも旅行していたい」だなんて思うはず。でも現実はそうはいかなかったりして、私は日々勤労に励んでいる次第です。
そんな毎日の暮らしの中で「旅」を感じる瞬間。それは、素敵な人やお店との「出会い」があった時ではないでしょうか。
東急東横線・目黒線「元住吉」駅周辺というのは、今どきもしかしたら珍しいかもしれない、駅前商店街がかなり活気づいている場所でもあります。
そんな買い物客で賑わうブレーメン商店街の一角に、今回の舞台はあります。
この看板が目印。
最近コーヒー熱が再燃し始めた私。いつもは気にもせず通りすぎていた看板が、その日は目に留まりました。今日は時間もあるし、ちょっと立ち寄ってみようかな…?と、立ち寄ったお店が、この「ツキノワコーヒー」。
出迎えてくださったのは、優しい笑顔が印象的なマスターです。
ここは、店内でオーダー焙煎してもらえる、コーヒー豆専門店。
あまりお目にかかることはできない、コーヒーの生豆がずらりと並んでいます。
コーヒーというのは、淹れ方も水も大切ですが、結局一番味を左右するのは、豆。特に、豆を焙煎してからの“鮮度”というのが、どうやら決め手になるらしい。そう近ごろ知ったコーヒーにわかファンの私は、とにかく「自家焙煎」をしているお店との出会いを求めているところだったというわけです。
何しろ結局のところ素人に毛が生えた程度の私、そんな自家焙煎コーヒー豆専門店なんて未知すぎて、足を踏み入れるまでは不安でいっぱいにならざるを得ません。でも、親切なマスターはそんな私の状況を知ってか知らずか、手取り足取り教えてくださったのです。
コーヒーを選ぶアドバイスをいただいて、ちょっと悩んで、銘柄をひとつ決める。そんなちょっとした贅沢な時間。
選んだら、さっそく焙煎にとりかかってくださいます。
そして、待ち時間の間には、コーヒーの試飲をいただくこともできます。
豆が焙煎できるまでの時間もまた、贅沢。店内にふわりと香ばしい薫りが広がってゆくのを感じながら、マスターと世間話なんかしたりして。
「ありきたりだけど、『美味しい』と言ってもらえるのが、一番嬉しいですかね」
マスターの幸せの一端を知れたような気もするひとことに、ちょっとほっこりもします。
コーヒーを火にかけてから、10分程度経ったでしょうか。いよいよ、焙煎も大詰めです。
店内をより一層コーヒーの薫りに染める瞬間です。
こうして焙煎されるのを、コーヒーを口にしながらマスターとお話しつつ、ゆったりと待つ時間。
これこそ、至福のときだなあと思っています。
そして、煎りたてのコーヒーを持って帰る途中にふわりと香りがするたびに、なんていい時間を過ごしたんだろう、また行こう、と考えてしまいます。
今日はちょっと時間ができたなという日は、気になっていたお店にふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
旅行と違わぬ出会いが待っているかもしれませんよ。