茨城県鹿島に紀元前から鎮座する鹿島神宮。武道の神様が祀られており、勝負運のご利益で有名ですね。Jリーグの鹿島アントラーズの選手達も毎年必勝祈願を行っています。
言うまでもなく鹿島神宮は、神秘的な鎮守の杜が美しいパワースポットですが、今回は少し目線を変えて、鹿島神宮にほど近い山之上地区に注目してみました。
そこには鹿島神宮とつながりも深く、長い歴史を経て鹿島の地を守ってきた、坂戸神社と國土神社があります。
東国三社参りのあとは古代の三社参りを!

鹿島神宮
鹿島地方は大和朝廷の東国開拓の拠点として重要な役割を果たしていました。その流れで創建されたのが、武神・武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)を祀った鹿島神宮です。
現在も千葉県の香取神宮・息栖神社と併せた「東国三社」として、老若男女を問わず日々参拝客が訪れる人気のパワースポット。

鹿島神宮と香取神宮は地震を鎮める「要石」が祀られていることでも有名ですね。要石がモチーフになっている、新海誠監督のアニメ映画『すずめの戸締まり』の影響もあるのか、境内を歩く参拝客達も要石に興味津々の様子。
とはいえ今回のテーマは、あくまで鹿島神宮付近にある由緒あるパワースポットです。鹿島神宮のお話はこの辺にしておきましょう。
●鹿島神宮
茨城県鹿嶋市宮中2306-1
鹿島のご神域

広大な境内面積を誇り、深い鎮守の杜に包まれた鹿島神宮ですが、実はそのご神域は周辺地域にまで広がりをみせます。というのも東西南北に一之鳥居*があり、その内側こそが鹿島の神域ということで、数々の神社やお社が点在しているのです。
*現在は南側を除いた三カ所のみ

特に今回注目したのが、北浦にほど近い「山之上」地区。そこには電柱すら見かけない、古き良き日本の田園風景が広がっていました。至近距離には国道を行き交う無数の自動車、そして巨大な鹿島サッカースタジアム。現代的な風景とは対照的に、山之上地区ではまったく異なる時間軸が存在しているようでした・・・
そんな山之上地区で、筆者は坂戸神社と國土神社へと導かれました。
森に守られた鹿島三社―坂戸神社

夜には真っ暗な闇に包まれると予想がつく、里山の細道の途中、民家の前に鎮座するのが坂戸神社です。路肩の小さな標識がなければ、おそらくたどりつけなかったでしょう。

「鹿島神宮境外摂社」の称号を持つ坂戸神社。ご祭神は言霊の神様・天児屋根命(あめのこやねのみこと)。

鹿島神宮の楼門手前の手水舎裏には「坂戸社・沼戸社遙拝所」も設けられていることからも、そのつながりの深さがわかります。

正面から見ると小さなお社ですが、裏へ回るとさらに一回り大きい本殿があり、神社の格式の高さが窺えます。それもそのはず、奈良時代に編纂された『常陸国風土記』に鹿島神宮と付近の沼尾神社と併せて、「鹿島三社(香島の天の大神)」と記載されている由緒正しい神社なのです。

「野趣あふれる木々に守られている神の住み処」―それが境内で筆者が感じたこと。参拝客出賑わう鹿島神宮とは異なり、自分の吐息すら響き渡る沈黙に包まれた、厳かな雰囲気に思わず背筋が伸びます。
●坂戸神社
茨城県鹿嶋市大字山之上228
ひっそり佇む出雲大社ゆかりの神様―國土神社

坂戸神社からほど近い里山の小さな森の中に突如現れる小さなお社、それが國土神社です。
調べても情報が少なく、創建年代・ご由緒も不明とミステリアスな神社ではありますが、大巳貴命(おおなむちのみこと)が祀られているとのこと。

大巳貴命は出雲大社の神様・大国主命の別名ですから、國土神社が出雲大社につながる神社だとわかりますね。先述の『常陸国風土記』によると、坂戸神社が鹿島神宮の摂社となったため、いにしえの山之上地区の住民が、国造りの神にして農業・商業含めたオールマイティな大国主命を勧請したそうです。

國土神社の印象は「静かに鎮座する土地の守り神」。悠久の歴史の中で、土地の方々に大事にされてきたことも伝わってきました。鹿島神宮を訪れた際には、この万能のご利益を授けてくださる土地の主にごあいさつのお参りも良いですね。
●國土神社
茨城県鹿嶋市山之上88番地
車移動は難しい!? 鹿島三社参りのコツ
先述の通り鹿島神宮・坂戸神社・沼尾神社は「鹿島三社」と呼ばれています。今回残念ながら沼尾神社へのお参りは叶いませんでしたが、調べてみると自動車での立ち入りが難しい森の古道に鎮座してます。
そのため徒歩での参拝となるため、鹿島市民の方々が設置したウォーキングコース「鹿島神の道」のコースマップを参考にすると良さそうです。特にルート1「神の生むまち」(フルコース15.2km、ショートコース約10km)が沼尾神社を含むコースですので事前にチェックしておきましょう。
●「鹿島神の道」詳細はこちら
「神様に呼ばれている」のはこんな時

最後にちょっとスピリチュアルなお話を。
今回この山之上地区の神社に筆者がたどり着いたのも、神様に「呼ばれた」と思いたくなるようないきさつがありました。もともと筆者は鹿島神宮を訪れる前にGoogleマップで確認していたところ、ふとこの2つの神社が目に留まりました。投稿されている画像や口コミを見ていたらとても気になって、同行者に頼んで連れて行ってもらったという・・・
ネットでも「神様に呼ばれないとたどりつけない神社」が話題になっていますよね。
今回の坂戸神社と國土神社も、呼ばれたからこそ出合えたように思うのです。というのも実は畑と森の中を走行中ナビでエラーが出てしまい、あやうく参拝をあきらめかけたにも拘わらず、最終的には神社にたどりつけたのです!

非現実的なことですし単なる偶然と捉えられますが、このような流れの場合は「呼ばれている」と言っても良いのでは?
ご参考までに、神様に呼ばれているときの「しるし」をお伝えします。
☑ネットや本などで何度も同じ神社を目にする・耳にする
☑その神社の画像を見ていて無性に行きたくなる
☑Googleマップで見かけた神社が気になる
こんな時はぜひお参りしてみてくださいね!