千葉県香取市。茨城との県境のほど近いその土地には、緑に包まれた神域「香取神宮」が鎮座しています。車で30分もかからない鹿島神宮と並び、広大な鎮守の杜は悠久の歴史を刻んできました。
香取だんごやわらび餅の香ばしい香りに誘われる参道から、大鳥居の中へ足を踏み入れるとそこは別世界―こうも空気が変わるものなのかと思うほど、純度の高いご神気が漂っています。

というわけで今回は、参拝すると心身がクリアーになるパワースポット・香取神宮の魅力をお伝えすると共に、東国三社というからには、もう一つ忘れてはならないパワースポット、「息栖神社」の魅力もご紹介します!
闘いの神が鎮座する香取神宮

武神・武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)を祀る鹿島神宮と同様、香取神宮でも別の武神・経津主大神(フツヌシノオオカミ)が祀られ、両者ともに武道・国家鎮護の神様として古来から崇敬されてきました。そして現在では、「ビジネス場面で闘う戦士」たる経営者層などに人気の神社となっています。

魅力あふれる香取神宮は筆者のお気に入りの神社でもあるので、ここでは1つずつその魅力をお伝えしたいと思います。
●香取神宮
千葉県香取市香取1697-1
表参道

大鳥居から総門に続く表参道に漂う木々から発せられる瑞々しい空気に、心身が浄化されるのを感じるはずです。緩やかな坂道になっており、自ずと玉砂利を進む歩みにも力が入ります。

歩みを進めた先にあるのは堂々とそびえ立つ総門の姿。鮮やかな朱赤は魔除けの色でもあります。
社殿

香取神宮の特徴と言えば黒塗りの社殿(拝殿・本殿)でしょう。黒い漆塗りだからこそ色鮮やかな装飾が映え、初めてのお参りで目にしたときには思わず「かっこいい!」と心の声が漏れ出てしまったほど。まさに武神を祀るのにふさわしい装飾ですね。
ご神木・ご神水

社殿より向かって右側。空へまっすぐ伸びたご神木の姿も印象的です。千年もの間参拝客を見守ってきた杉の木にも一礼をお忘れなく。

ご神木の脇にはご神水がいただけます。現代的に整備された水道になっているので、気付かれない場合も多いようです。
裏参りをお忘れなく!

今すぐやめよう、残念な参拝
パワースポット専門ライターとして、残念に思うことが1つあります・・・
多くの方々が社殿でお参りの後、そのまま回れ右してしまうことです。中には昇殿参拝されたり、授与所でお守り・御朱印をいただいたりする人もいるでしょうが、せっかくパワースポットに来ているなら、境内でもう少しゆっくり過ごされるのがオススメなのです。

最低でも10分以上、急ぐ場合はせめて5分は境内を散策して、ご神気に身を浸していただきたいものです。例えば摂社・末社・ご神木を丁寧にお参りするほか、筆者は「裏参り」を推奨します。

裏参りとは本殿の裏、つまり神様により近いところで改めてお参りすること。規模の大きい神社では、裏にも小さな賽銭箱が設置されていたりします。(神社によっては立ち入り禁止の場合もあるのでお立ち寄りの神社のルールを尊重してくださいね)

香取神宮でも裏参りを忘れません。人の出入りが激しい正面より、社殿脇や裏側のほうが神聖な空気に包まれているように感じるのは筆者だけでしょうか・・・
見逃し厳禁パワースポット―要石・奥宮

社殿エリアでも長居してしまうほど見どころが多いのですが、香取神宮の境内はまだまだ広いのです! 特に要石と奥宮は見逃し厳禁なので、一度楼門を出てすぐ前の道(旧参道)を向かって右側へ100mほど進みましょう。
要石
鹿島の聖地の記事『呼ばれないとたどりつけない!?鹿島の聖地―坂戸神社と国土神社』でもお伝えした通り、鹿島神宮と香取神宮には、地震を起こす大鯰を抑える石が地中深くまで差し込まれています。それが「要石」です。

香取神宮の要石は小高い丘の上に鎮座していました。実はこの要石、とある歴史上人物によって掘り起こされたことがあったそうです。その人物こそ時代劇「水戸黄門」でおなじみの水戸光圀。実際に穴を掘ったのは家来でしょうが、なんと7日間掘り続けても掘り起こせず、さすがのご老公もあきらめたのだとか。
奥宮(おくのみや)

要石のすぐそばに鎮座する奥宮では、主祭神・経津主大神の荒魂*が祀られています。生い茂る木々が結解のように神様を守っているようで、筆者的には最も清澄な空気を感じ取れたパワースポット。こじんまりとしていますが、昭和48年の伊勢神宮ご遷宮の際の古材を利用した、大変由緒あるお社というのも理由の1つかもしれません。
拝殿裏へ回れるので、奥宮でも裏参りをお忘れなく。
*荒魂(あらみたま)
神様の魂を表す4種類の一つ。荒々しく勇猛なで力強い一面を表す魂。禍や破壊をもたらす可能性もありますが、反対に新たにスタートするエネルギーでもあります。
鳥居外の「おいしい」スポット
広大な境内を回ると小腹がすいてくるもの。鳥居の外の参道はおいしいものであふれる、これまたパワースポット!

香取神宮の参道では「香取だんご」の文字が目立っていました。気になるので参拝に同行したメンバーで一本ずつお買い上げ。つきたてのお餅にその場であんこを載せてもらえるのがうれしいですね。
今回はレトロでかわいらしいカフェにもなっているお店で購入しました。

●和茶房うの
千葉県香取市香取1892
スイーツを求める心はまだまだ収まりません! 次にいただいたのは、明治28年創業の岩立本店のくわらび餅。

きなこてんこ盛りのわらび餅の触感に、お腹も心も満たされました。
岩立本店ではほかにもようかん、どらやきなどの和菓子を購入できるのでお土産選びにぜひお立ち寄りを!

●岩立本店
千葉県香取市香取1896
「息栖神社」参拝で東国三社コンプリート!

ところで「東国のトライアングル地帯」をご存知でしょうか? 茨城県と千葉県にまたがる「東国三社」を線でつないだ三角地帯のパワースポットゾーンを指します。
その東国三社というのが、これまでご紹介してきた鹿島神宮と香取神宮、そして茨城県神栖に鎮座する息栖神社、そしてこの三社をお参りするのが「東国三社参り」です。

江戸時代には「お伊勢参りのみそぎ参り」と呼ばれ、関東以北の人々が、伊勢神宮参拝後にこの三社を参拝する習慣がありました。しかもこの三社参り、確かなご利益で大人気だったそうです。現在も都内からのバスツアーがあるので、一日で三社全てお参りできちゃいます。

そこで最後に東国三社の一つ、息栖神社もご紹介させてください!
鹿島神宮・香取神宮は「神宮」の称号の通り広大な規模を誇るのに対し、息栖神社の境内ははコンパクト。しかし実際にお参りしてみると、注目度の高いパワースポットなのです!

境内に入る前、常陸利根川沿いの一の鳥居の下の井戸は必見です!なんと古い時代には海だったこの地に真水が湧き出ており、以来霊水の「忍潮井(おしおい)」と呼ばれ崇敬されてきました。。

主祭神は久那斗神(クナドノカミ)。武甕槌大神と経津主大神を東国の地に先導した神様です。ほかの二宮とは違って、やわらかい春の日差しのような雰囲気を筆者は感じました。深い森に囲まれ、感覚が研ぎ澄まされるような鹿島神宮と香取神宮よりも、リラックスしてお参りできる感じでしたね。

三社それぞれの特徴を楽しみながら、神様からご利益をいただく東国三社参り、とってもおススメです! ぜひ機会を作って周遊参拝してみてください。
●息栖神社
茨城県神栖市息栖2882