3月末に惜しまれつつも最終回を迎えたNHK朝ドラ「ばけばけ」。ドラマは終わってしまったけれど、まだまだその余韻は楽しみたい。むしろこのドラマをきっかけに八雲を魅了した松江への興味がかき立てられている・・・そんな方も多いのではないでしょうか。
というわけで今回は、「ばけばけ誠意巡礼第2弾」と称して、さらに2社、八雲ゆかりの知られざる神社をご紹介したいと思います。どちらも観光地としてあまり知られていませんが、純度の高い神聖なエネルギーに包まれた歴史ある神社です。
●第1弾の記事はこちら
『ラフカディオ・ハーンが愛した「神々の国の首都」―松江で「ばけばけ」聖地巡礼』
八雲とセツ出会いの地の守り神―須衛都久神社

須衛都久(すえつぐ)神社は宍道湖大橋を松江城側へ渡ったところに鎮座しています。宍道湖温泉にもほど近く、実際に境内のお隣には地元の温泉ホテルがあります。
【ご祭神】
・伊邪那美命
・須佐之男命

見るからに長老のような風格がただよう神社ですが、創建時代は不明。もとは松江城の亀田山にあったお社が起源だそうです。紆余曲折を経て1677年に現在の地に遷座され、以来土地の守護神として崇敬されていました。さらに明治時代に県庁の産土神となり、大変由緒ある神社なのです。

今となっては国道に挟まれてひっそりしていますが、その昔は宍道湖とつながっていて、参拝客が舟から直接上陸できたのだとか。きっとその頃は湖畔に佇む、幻想的な佇まいの神社だったのでしょう。

そしてもちろん小泉八雲とも縁があります。八雲が松江にやってきて最初に逗留したのが、須衛都久神社にもほど近い宿だったからです。散歩が日課で、神社仏閣に強い関心を寄せていた八雲にとってもおなじみの場所だったようです。その後2箇所目となる宍道湖畔の居住地に逗留中の冬、八雲は厳冬で寝込んでしまったのですが、その世話にやってきたのが、後の夫人セツだったというわけ。そう、まさにこの地は二人のなれそめの場所。これも須衛都久神社の神様が取り持ったご縁のように思うのは筆者だけでしょうか・・・
●須衛都久神社
島根県松江市西茶町106
売布(めふ)神社

次にご紹介するのが、新大橋を松江駅側に渡ったところに鎮座する売布(めふ)神社です。古代日本語の響きが感じられる社名の通り社歴も古く、ご由緒によるとなんと神代に遡るとか。もとは宍道湖の西側の岸辺に鎮座していたものの、潮流・地形の変動により、13世紀に現在の場所に遷座されたといいます。

【ご祭神】
・速秋津比賣神(はやあきつひめのかみ)
日本神話の「神産み」でイザナギ・イザナミの間に生まれた水の神であり、とくに河口を守る女神が祀られています。この女神は「祓戸四神」の一柱としても知られており、浄化と港の安全を守る神様として地域の方々から篤く信仰されてきました。実際に筆者の参拝時にも、地元の方々がやってきて手を合わせる姿が印象的でした。

松の木に包まれた境内は静かで清らか。それでいて女神が放つ優しい雰囲気が印象的でした。海藻や草木が豊かに生い茂る様子を意味する「売布」の名を持つこの神社は、商売繁盛や立身出世などの現世的なご利益ではく、生命体として根源的なエネルギーの浄化と活力を高めるご利益をいただけます。エネルギー切れ(気枯れ)を感じた時に参拝すると、優しく癒してくれる、そんなパワースポットです。

そして小泉八雲との繋がりも忘れてはいけません。宍道湖付近に居を構えていた時期、八雲はこの神社の盆踊りに参加したそう。神社仏閣を愛した八雲のことですから、日々の散歩のルートにこの売布神社が含まれていたのでしょう。どこか異世界めいた空気を湛えた売布神社の雰囲気は、見えざる「向こうの世界」に強く惹かれていた八雲好みともいえます。
●売布神社
島根県松江市和多見町81
晴れていないほうが良い!? 八雲が愛した幽玄な松江

松江はどこか曇り空が似合う城下町だと言われています。からっと晴れた晴天時よりも、湿度がある方が、霧に包まれた宍道湖が神秘的な美しさを称え、歴史的な保存地区もタイムスリップしたかのような情緒をかき立てるからだそうです。
筆者が松江を訪れた際も雨と曇りを繰り返すお天気でしたが、だからこそ八雲が愛した神秘的で幽玄な松江を堪能できたのだと思います。

町中に何気なく佇む古社も曇天のもと、より一層威厳を高めているようにも見えました。
松江での「あいにくのお天気」は、松江におわす神様達があなたに一番良いところを見せてくれる計らいだと思えば、旅がきっと楽しくなることでしょう。




