「淡路島、それは関西人がこよなく愛する場所」というように、兵庫(本州)と徳島(四国)を結ぶように位置する淡路島は、関西でも人気の観光スポット。海をのぞむ絶景と豊富な食材、そして温泉。旅には欠かせない魅力満載の淡路島ですが、実は「日本の始まり」とも言うべきパワースポットでもあるんです。
というのも日本神話の序章「国生み」の舞台が淡路島とされており、その証拠として「国生み」を行った夫婦神が祀られた伊弉諾神宮が鎮座しています。筆者はこれまで日本各地のパワースポットを訪れてきましたが、ついに日本の原点とも言うべき聖地・淡路島に足を踏み入れ、伊弉諾神宮を参拝することが叶いました!
今回は伊弉諾神宮の魅力を、神戸からのスムーズなアクセス方法と併せてご紹介していきます。
淡路島は神の島!?
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遙か昔。とある男女の神様が天上の世界から「おのころ島」を足場に下界へやってきました。そこでお二人は夫婦となり、最初に生まれたのが「淡路島」。この夫婦の神様こそが、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)。日本各地の神社で祀られる神様達の祖神にあたる神様たちです。冒頭でお伝えした通り、古事記の冒頭で語られる「国生み」の物語、いわゆる天地開闢(かいびゃく)の舞台こそが、この淡路島というわけなのです。
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あくまで神話の世界ですが、淡路島が長い歴史を持つことには変わりなく、古代から「淡路州」「淡路国」と呼ばれ、帝の食事を貢ぐ「御食国(みけつくに)」として皇室ともつながりの深い土地でもあります。また自宅をパワースポットに変えるツールの1つ、お香の発祥の地とも言われ(あくまで日本国内の話ですが)、現在でも生産高日本一を誇っています。島内のお香の老舗、梅薫堂、薫寿堂では、お香作りの体験や工場見学も可能なので淡路島の旅のプランに加えるのも一興です。
伊弉諾神宮―国生みを終えた神様の隠居先
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ご由緒
いよいよ国生みゆかりのパワースポット「伊弉諾神宮」の参拝です。その名の通り、ご祭髪は日本の神々の祖神・伊弉諾尊と伊弉冉尊の夫婦神。伊弉諾神宮は、国生みを終え御子神の天照大神に国家統治を委ねて、現役を引退した伊弉諾尊が余生を過ごした「幽宮(かくりのみや)」と言われています。つまり、伊弉諾神宮は伊弉諾尊の隠居先なのです。
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*伊弉冉尊は途中でこの世を去ってしまうので、残念ながら夫婦2人で隠居生活とはなりませんでした。伊弉冉尊で検索すると詳細がわかりますよ!
陽のみちしるべ
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入口の大鳥居から一直線に参道を進み、二の鳥居をくぐると「陽の道しるべ」が目に入ります。これは伊弉諾神宮を中心にして太陽の運行上に各地の有名神社が並んでいることを示すモニュメント。近年パワースポット愛好家の間でも注目されている「レイライン」ですね。
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レイラインは色々な図形で語られるのですが、こちらは円形ベースで「伊勢神宮・海神神社(対馬)・諏訪大社・出雲大社・熊野那智大社・高千穂神社」という配置になっていて興味深かったです。
亀の手水舎・祓殿・拝殿
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お参り前には手水舎でお清めを。大抵の神社では手水舎には龍がいるものですが、伊弉諾神宮では亀がお出迎え。長寿を表す亀ですから縁起が良いですね。
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そして、いよいよ拝殿でお参り・・・といいたいところなのですが、あいにく筆者が訪問した2024年12月は改修工事のため足場が組まれていました。お参り自体はできるのですが、元のお姿をご覧になりたい方は、公式サイトでご確認を。
伊弉諾神宮は「裏」こそがパワースポット!?
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伊弉諾神宮を訪れたらぜひ、本殿裏に進んでいただきたいものです。裏手には森があり、その森を背に摂社・末社が鎮座しているのですが、筆者的にはこのエリアにこそご神気を感じました。明らかに空気感が拝殿前と違うのです! 静謐で神秘的な空間が広がっていました。
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本殿から向かって右側にある鹿島神社・住吉神社、そして左右神社の辺りが個人的にイチオシスポット。
左右神社
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左右(さう)神社は伊弉諾尊の禊ぎの際に左右の目から出現した神様を祀ったお社で、眼病治療のご利益があるそうです。パソコンやスマホで目が疲れ気味の方はぜひお参りを!
ご神木・夫婦の大楠
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祭神・伊弉諾尊と伊弉冉尊を象徴するようにそびえ立つ楠。高さ30メートル以上、樹齢はおよそ900年のご神木です。成長するにつれて二本の木が合体し、一株の木として成長してきた連理の木ですね。夫婦円満・子宝・安産のご利益をいただけるということで、夫婦連れや子連れの参拝客が目立っていました。
伊弉諾神宮のサイトで調べたところ、こちらのご神木には蛭子命(ひるこのみこと)が祀られています。この神様は伊弉諾尊と伊弉冉尊の最初の御子神でしたが、後世ではえびす様と同一視され、漁業・農業・商売・交易の発展を司る商売繁盛の神様として親しまれています。つまり、ご神木は夫婦・こども関係だけではなく、仕事運と金運にもご利益があるということ。しっかりお参りしておきたいところですね。
車無しでも楽ちんアクセス方法
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自家用車以外での淡路島へのアクセス方法は高速バスの一択。今回ご紹介の伊弉諾神宮については、神戸三宮から直行の高速バスが出ているので日帰りでの参拝が可能です。
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神戸三宮駅の高架下にある「神姫バス神戸三宮高速バスターミナル」から、大体1時間に1本(8~14時台)の頻度で伊弉諾神宮へのバスが出ています。
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「高田屋嘉兵衛公園」行きに乗車。しばらくして到着する高速舞子のバス停からいよいよ島内へ進んでいきます。海と島の森―車窓から豊かな自然をながめるバスの旅を楽しみましょう! 約1時間半ほどでバス停「伊弉諾神宮前」に到着。バス停から徒歩3,4分ほどで大鳥居が見えてきます。
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鳥居の手前の郵便局が三宮へ向かう帰りのバス停です。時刻表を確かめておくと良いでしょう。
【バスの詳細情報はこちら】
●神姫バス
車無し旅行者のための淡路島旅行のヒント
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淡路島は魅力的な場所ですが、車無しの旅行者にはハードルが高いことでも知られています。運転ができるなら島内でレンタカーを利用できますが、そもそも運転免許を持たず、公共交通機関で移動する、筆者のような旅行者には島内の移動が難しいところ。
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というのも島内の移動手段はバスかタクシー。バスもある程度島内を網羅しているので、事前のリサーチでうまく乗り継げれば良いのですが、本数が少なかったり、神社仏閣付近にまで運行されていないため、複数参拝は泣く泣くあきらめるしかないのです・・・淡路島のパワースポットを訪れるならば、日数にもよりますがある程度エリアを絞った方が良いでしょう。
①日帰り
本州から直行バスが出ている伊弉諾神宮限定がオススメです。伊弉諾神宮だけでは物足りない方は、三宮―伊弉諾神宮のバス路線間で途中下車をして観光施設を訪れたり、タクシーを使って先述のお香のお店へ足を運ぶのも一案です。ただし神戸へ戻るバスの時刻表の事前確認を行い、くれぐれも乗り遅れの無きようご注意を!
②1泊以上
繁華街・洲本(すもと)や南淡路の宿泊施設を拠点にして、バスでは行けない場所をタクシーでカバーすれば、おのころ島神社や岩上神社など複数のパワースポットを網羅できます。移動中にスマホでタクシーが呼べるよう、タクシー会社の番号を控えておくことをオススメします。
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帰りについては、本州へ向かうなら洲本・福良・陸の港西淡などの高速バス停が便利ですが、ご利用の際はあらかじめバスのルート・停車駅・時刻を調べておきましょう!
淡路島の旅は事前のリサーチが肝です。もちろん現地の宿や観光案内を活用するのも手ではありますが、事前に行き先・交通手段・時間を把握しておくことこそが、車無し旅行者の成功の秘訣です。淡路島で良い旅を!!
●伊弉諾神宮
兵庫県淡路市多賀740