RYOです。
秋といえば食欲、読書、芸術という事で、今回は一足早く芸術の秋を堪能しに横浜まで足を運んできました。
神奈川芸術劇場で開催中の『鍵のかかった部屋』という展示会に行って参りました。
女性アーティスト塩田千春
塩田千春さんという女性のアーティストで主に海外を拠点に活動されています。
2015年の第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展という、美術のオリンピックとも呼ばれる世界的な展覧会で日本代表に選出され「掌の鍵」という作品を日本館で展示したそうです。
今回神奈川芸術劇場で行われている展示はその「掌の鍵」の帰国記念展として開催しています。
塩田さんの作品の特徴のひとつとしてドレス、ベッド、靴、旅行鞄など、人が日常生活で仕様した痕跡や記憶を内包する素材を使っての作品が多いようです。
テーマは『鍵』
そんな今回のテーマは『鍵』。鍵には差し込むべき鍵穴があり、鍵穴の向こう側には様々な人々の営みがあり、思い出があると思います。
何万もの鍵が持つ記憶が空間を埋め尽くした時、会場にはどのような宇宙が生まれると思いますか?
存分にその世界観を堪能してきました。会場内は撮影可能でしたので、みなさまに少しでもお伝えできればと思います。
作品の意図は何か?
ひとつの空間にひとつの作品があるので直球的に作品を感じる事ができます。また、作品の中に身を置く形になるので、まるで自身が作品に参加しているような不思議な感覚になります。
部屋一面に張り巡らされた糸はどういう意味なのか? なぜ赤いのか? ピンと張っている部分もあればだらんと垂れている箇所もあり、その違いを持たせた理由は? など、まるで探偵にでもなったかのように推測と憶測を繰り返しておりました。
ドアの向こう側には今回のテーマである『鍵』が大量にぶら下がっております。その光景は圧巻の一言です。
ひとつの鍵が揺れれば、それと同時に揺れる鍵もあれば、揺れない鍵もある。……というのは当たり前の事ではあるのですが、あの空間にいると同じ記憶を共感している鍵だけが一緒に踊っているように見えてどこか愛くるしかったです。
赤い糸が張り巡らされた部屋、アンティーク調のドアの先にある大量の鍵。果たしてこれは何を意味しているのか。
感性は人それぞれで正解などは決して無いのが芸術だと思っています。
自分が感じる良い物は相手にとってはそうでは無いかもしれない。しかしそれは正解や間違いということでは無い。
何を感じて、どう思ったか。それをひとつのコミュニケーションのツールにできるのが芸術の素晴らしい所だなと思っています。
ARTという言葉に抵抗を感じる人も多いかもしれませんが、この秋は、肩肘張らず、気楽に仲のいい人と美術鑑賞なんて如何でしょうか?