列車で移動する旅行者がフィレンツェ中央駅に降り立ち、最初に見える茶色の建物がサンタ・マリア・ノヴェッラ教会。
サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局は日本にもその名を冠した提携店があります。
数年前、広場はリニューアルされ、昼間はベンチでくつろぐ観光客でいっぱいです。
色鮮やかな教会内部!
実は駅正面から見える茶色い部分は、教会の裏側にあたります。
正面部分に回ってみてみると、広場が整理されリズム感のある華やかさ。
教会の正面右横に入り口があります。入場料は5ユーロです。
中はストライプが印象的なゴシック様式。広く見えるのは、手前から奥に行くほど柱の間隔が狭くなっているからだそうです。
正面から左手に、マサッチオが描いた「三位一体」があります。
遠近法によって描かれているので、まるで壁に穴があいたような空間のように見え、当時の人々を驚かせました。
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奥の主祭壇は、ドメニコ・ギルランダイオの作品です。
「聖母マリアの物語」「洗礼者ヨハネの物語」が色鮮やかに描かれています。
主祭壇裏まで行けるので近寄って見ましょう。
あまりに大きなフレスコ画なので、見上げていると首が痛くなるほどです。
上は洗礼者ヨハネの物語、ザカリアへの告知のシーンです。オレンジ色の服を着た天使が、右手の赤い服を着たザカリアに妻エリザベッタが懐妊することを告げる場面です。
しかし、よく見てみると告知シーンは一番奥に描かれていて、その左右には妙に写実的に描かれた人々が大勢います。
実は、左右にはこの礼拝堂のスポンサーであるトルナブオーニ一族や、友人などがリアルに描かれていて、集団肖像画のような宗教画になっています。
ここはトルナブオーニ一族が出資していることから、トルナブオーニ礼拝堂とも呼ばれています。
この礼拝堂のフレスコ画には、当時ギルランダイオの弟子であったミケランジェロも参加していたと言われています。
教会内になんとなく置いてある奇妙な彫刻。
実は、これはミケランジェロ作品と言われています。
特別な日のみ入れる「緑の回廊」
教会左奥から出てみましょう。
この教会に隣接する「緑の回廊」は、駅前とは思えない静けさです。
写真右奥に、「大回廊」への入り口があります。大回廊は普段は憲兵の学校の敷地になっており入ることができません。
毎月第一日曜日と、宗教行事があるような日に特別に入ることができます。
フレスコ画で囲まれた「大回廊」の中の一角が、サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局の入り口だった所です。
現在は、教会の前に長く伸びるスカラ通りから薬局に入りますが、1800年代に民間に売り渡されるまではこちらの大回廊から入っていました。
薬局側から、大回廊を見たところです。右奥糸杉の向こうに緑の回廊や、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会があります。
おわりに
近年、薬局が有名なサンタ・マリア・ノヴェッラ教会ですが、駅前という便利な立地にありながら、教会内に入ったことがない旅行者もたくさんいます。
中は静かで、すぐ後ろに駅があることなど忘れてしまいそうな空間。
行くたびに、まるで中世にタイムスリップしたような奇妙な感覚を味わえますよ。
みなさんも足を運んでみてくださいね。
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