おやつや軽食として親しまれている「たこ焼き」。現在は大阪の名物として広く認知されており、濃厚なソースとかつお節、青のりをかけたものが主流となっています。これは、日本全国でセオリーとなっている要素だと思っていたのですが、味噌カツやあんかけスパなど他の地域にはない個性的な名物グルメがたくさんある名古屋周辺では、そんなたこ焼きのセオリーにはまらない、素材の味を生かした「醤油たこ焼き」が愛されているようです。
名古屋で愛されている「醤油たこ焼き」とは
諸説あるたこ焼きの起源のひとつに、現在大阪を中心に販売されている“ラヂオ焼き”が元となっているという説があります。そこから、兵庫県の明石で食べられていた卵焼き(明石焼き)に入っているたこを大阪でも使用するようになり、それが現在広く知られているたこ焼きの原型となったという話です。
明石の卵焼きを食べたことがある人はご存じかと思いますが、この卵焼きにはソースは使われていません。大阪でも“はだか”という味付けされていないたこ焼きが販売されているように、昔のたこ焼きにはソースが使われていなかったようです。
ここで注目するのは、名古屋で販売されている「醤油たこ焼き」。お店によって、醤油ベースのソースがかかっているお店もあるのですが、名古屋焼き(醤油たこ焼き)を専門に販売している「さく蛸」さんでは、一見“はだか”のように見えるシンプルなたこ焼きを販売しています。
名古屋焼き専門店「さく蛸」のこだわりとは
今回ピックアップした「さく蛸」さんは、名古屋市中川区の八田駅そばに本店を構える名古屋焼きの専門店です。今回は、2024年9月開業の「あつたnagAya」内にオープンした新店へ行ってみました。
同店が提唱する名古屋焼きのセオリーとして「素焼き&醤油味であること」、「具材にキャベツを使用していること」、「小玉サイズであること」があります。天かすや紅しょうが、ねぎなどを使う大阪とたこ焼きとは別物であるということが、この3点からもおわかりいただけるでしょう。
焼きあがったたこ焼きにソースなどを乗せるのではなく、焼きながら生地の中に醤油を垂らして作るところがポイントです。
焼きたての名古屋焼きを実食
今回は食べきりサイズの5個入りを購入。見た目は大阪で食べた“はだか”のたこ焼きとそっくりです。
表面はややパリッと焼き上がり、中身はかなりやわらかめ。焼きたてのものが提供されるので、食べるときに火傷をしないよう気を付けながらいただきましょう。
つまようじで割ってみると、あつあつの生地から立ち上る湯気とともにしっかりと醤油の存在感が!そう、香りの中にしっかりと「醤油」を感じるのです。生地の味わい自体は一般的なたこ焼きと大きな差はありませんが、醤油を直接垂らして焼くことで、その味は濃くしっかりとしている印象でした。
元祖の味わいと見た目を維持して進化した名古屋のたこ焼き
前述した、たこ焼きの元祖となったラヂオ焼きは、醤油味かつはだかの状態で提供されていたそうです。だし文化の発達した大阪らしく、生地にしっかりとだしの旨味を閉じ込めて作っていたのでしょう。
そんな、たこ焼きの“元祖”の味と姿を維持して進化した名古屋のたこ焼きは、名古屋市民のソウルフードといえるのではないでしょうか。
みなさんも名古屋を訪れた際は、ぜひ醤油味の名古屋焼きを食べてみてくださいね!
●さく蛸 熱田神宮前店
愛知県名古屋市熱田区神宮3-6-51 あつたnagAya