イタリアの湖水地方と言えば、日本ではスイス国境のコモ湖が有名です。一番有名なら一番大きな湖と思いきや、一番大きいのは、北東部のガルダ湖。広さは370㎢と琵琶湖(669㎢)の約半分の広さを持ち、イタリア北東部の3つの州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州、ヴェネト州、ロンバルディア州にまたがっています。
湖は、アルプスに囲まれた北部は狭く、南はパダナ平野に沿って広い形をしています。日本人にはまだあまり有名ではないけれど、明るい南イタリア海岸と上品な北イタリアの風光明媚さが混ざった不思議な湖水地方。毎年多くの観光客が訪れる観光地でもあります。今回はガルダ湖の南を紹介します。
ローマ帝国時代に愛用された温泉地方、シルミオーネ
地図でガルダ湖の南をよく見てみると、今にも折れそうな細い半島があります。その横幅は細いところでわずか100メートルほど。なんと直線距離で約4キロの細い半島の突端が、シルミオーネの旧市街で、ローマ時代の遺跡が残っています。実は、たった1本の幹線道路しかないため、ハイシーズンには、この突端まで行くのが結構な渋滞です。
突端の近くまでやってきました。13世紀から14世紀にかけて作られたスカリエロ城は、湖の上に設計されています。47mの高さの立派な等を持つ、このお城の先が旧市街になっています。
手前には大きなレモンが売られていました。まるで南イタリア気分です。
車は入れないので、基本的に歩きで移動します。旧市街の町並み外れまで行くと、観光客が突端の遺跡まで行くための有料オープンバスがあります。温泉施設や、温泉付きのホテルもありますので、詳しくは、温泉サイトでお確かめください。
突端には風光明媚なローマ時代の遺跡群
半島の先端にはイタリア北部最大のローマ時代の別荘、ヴィッラ・ロマーナ(別名 Grotte di Catullo) があり、入場料6ユーロを支払って、2ヘクタールの広大な遺跡と博物館を見学できます。ヴィッラ・ロマーナが作られたのは紀元前1世紀から紀元後1世紀と言われており、3世紀頃には既に放置されていたとか。
この別荘には、この地方にもまだ残る温泉があったそうです。遺跡を降りて湖まで歩くこともできます。
遺跡の周辺は、浅瀬になっており湖に入っている人も見かけました。まるで南イタリアの海水浴場かギリシャの島のような雰囲気です。自然がいっぱいの遺跡群。周辺には約1,500本ものオリーブの木があり、古いものでは400~500年前のものだそうです。クオリティの高いオリーブオイルが採れるそうですよ。
遺跡入場は、冬時間と夏時間の開館時間が違います。開館時間は公式サイトでお確かめ下さい。
かなり歩いたため、帰りは定期便のモーターボートで戻りました。中央に見えるのがスカリエロ城。左に少し駐車場が見えています。半島の一番先端の駐車場のようですが、満車のときもあるようです。
アクセス
シルミオーネまでは、ミラノから車で約2時間。列車で行くためには、ミラノから新幹線で1時間乗り、Peschiera Del Garda駅でおります。そこからはSAIA社バス利用になります。ガルダ湖では、定期便や、観光船もあります。詳しくはガルダ湖公式サイトでお確かめください。
おしゃれな海岸のような夕刻のラツィーゼの街
ホテルの人に勧められた街、ラツィーゼにも行きました。ラツィーゼは、ラテン語のlacus「=湖」が語源だそうです。原始時代にこの湖沿いでは杭の上に住む「杭上居住者」がいたことがわかっています。
立派な中世の城壁に囲まれています。この門から旧市街を通りぬけ湖まで約400mです。
夕食まで散歩をする人々。食前酒を飲んだり、カフェで行き交う人を眺めたり。曲線に埋められた床のレンガが街によく合います。
まるで南イタリアの港町のよう。ボートに佇むオジサマまで絵になりますね。
子供たちも、揺れる水面を眺めています。イタリア人も多いのですが、ドイツ、オーストリアなど北からの観光客も沢山来ていて、ゆったりとした何もしないバカンスの時間を過ごしています。
アクセス
ミラノから新幹線で1時間乗り、Peschiera Del Garda駅でおります。そこからはATV社バス利用になります。
ラツィーゼの近くには、イタリアで最も有名な遊園地、ガルダランドもあります。大人も子供も遊べる大人気のテーマパークです。