街の地図すら存在しない!? 謎めいた沿ドニエストル共和国旅行の注意点
沿ドニエストル共和国

こんにちは、ライターの新田浩之です。今回は「沿ドニエストル共和国」の注意事項をお伝えします。
ところで、「沿ドニエストル共和国」という名前を聞いたことがありますか。おそらく、聞いたことがない方が大半でしょう。
なぜなら沿ドニエストル共和国は、どの国家からも「国」として承認されていない「未承認国家」だからです。
それでは、ガイドブックでは書かれていない沿ドニエストル共和国の注意事項を見ていきましょう。

「入国審査」と「出国審査」について

国境審査
「沿ドニエストル共和国」はモルドバの中にあり、ドニエストル川沿いにある細長い「国」です。
沿ドニエストル共和国の首都はティラスポリになります。ティラスポリへは、モルドバのキシナウからティラスポリ行きのバスに乗ってください。約2時間で着きます。
モルドバは沿ドニエストル共和国を「国家」として承認していないため、モルドバ側の出国審査はありません。問題は沿ドニエストル共和国側の入国審査です。
全員、バスから降り入国審査を受ける必要があります。ここで、係員からロシア語で沿ドニエストル共和国での予定と滞在理由を聞かれます。
ロシア語で答えればベストですが、ロシア語ができなくても英語で落ち着いて答えてください。
特に問題がなければ、半券が係員から渡されます。この半券はなくしてはいけません。出国審査の際に、回収されますので大切に保管しておきましょう。なお、沿ドニエストル共和国での滞在時間は10時間です。

地図をあらかじめ用意しましょう

沿ドニエストルの紋章
首都ティラスポリにはインフォメーションセンターがありません。
さらに、町中をどれだけ探しても市内地図が見つかりません。必ず、沿ドニエストル共和国に入る前に、地図を準備しておきましょう。
具体的には、グーグルマップを使ってティラスポリの地図をスクリーンショットで撮影などして、オフラインでも見ることができるようにしておくとよいでしょう。
オフラインマップもあります。→旅先でとても役立つ!グーグルマップの意外と知らない活用法3つ | TRIP’S

オフラインでも使える地図アプリをダウンロードするのもオススメ。それにしても、なぜ沿ドニエストル共和国には地図がないのでしょうか。謎です。

(2017年9月追記)
ティラスポリにインフォメーションセンターが開設されました!

通貨「沿ドニエストル・ルーブル」について

沿ドニエストル・ルーブル
photo by wikipedia
沿ドニエストル共和国は通貨も発行しています。通貨の名称は「沿ドニエストル・ルーブル」になります。
レートは1ユーロ=12ルーブル。沿ドニエストル・ルーブルは市内の両替所でも両替できますし、ATMでも引き出すことができます。
問題は、沿ドニエストル・ルーブルが他国では両替できないことです。つまり、沿ドニエストル共和国を出国すると、沿ドニエストル・ルーブルは「紙切れ」同然になってしまいます。
沿ドニエストル共和国で使い切るようにしましょう。なお、バスのチケット売り場や一部のお店ではモルドバ・レイでの支払いも可能です。
クレジットカードは使用できません。

最後に

沿ドニエストル共和国は本当に未知なる「国」です。
町を歩けば、ソビエト連邦で見られたような、政治的なスローガンや「鎌とハンマー」の紋章などが嫌でも目につきます。きっと、旅人はソビエト連邦に迷いこんだ感覚になること間違いなし。これらの注意事項を守れば、安心して沿ドニエストル共和国を楽しめるはずです。

この記事を書いた人

新田浩之

新田浩之鉄道&中東欧旅行研究家

1987年生まれ。神戸市在住。専門は鉄道と中東欧です。国内では鉄道系イベントの取材、国外では中欧、東欧、ロシアの歴史スポットを訪ね歩いています。チェコアンバサダー2018

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