森に浮かぶ城塞! 岩の上に建てられた日本唯一の建築様式のお寺巡り ―笠森寺観音堂

関東 その他
森に浮かぶ城塞! 岩の上に建てられた日本唯一の建築様式のお寺巡り ―笠森寺観音堂


映画『国宝』が実写邦画歴代1位の興行収入を達成するほどの大ヒットとなっています。いままで以上に「文化」への関心が高まっているかもしれません。そこで今回は、国宝にちなんだ文化を堪能できるパワースポット「笠森寺観音堂(笠森観音)」を紹介します。

「国宝級(!?)のパワースポット」

森に浮かぶ城塞! 岩の上に建てられた日本唯一の建築様式のお寺巡り ―笠森寺観音堂


場所は千葉県の長生郡。チーバくんで言えば手の前の腰あたりに位置します。千葉のど真ん中ですね。もしかするとパワースポット上級者の方は、この位置情報で「あれ?」と察するものがあったかもしれません。そうです、このお寺は「レイライン」の上にあるのです。

「神秘の直線」

「レイライン」とは歴史的建造物や古代の遺跡が一直線上に並ぶように配置されていることを指す言葉です。レイラインはいろいろありますが、春分の日や秋分の日に太陽が通ることから「ご来光の道」という表現でも知られる北緯35度のレイラインには、今回紹介する笠森観音のほかに、富士山や出雲大社も連なっています。あきらかにパワーがありそうですね。もちろん、実際にも由緒正しきお寺で、あの最澄上人が開基したと伝えられているそうです。

森に浮かぶ城塞! 岩の上に建てられた日本唯一の建築様式のお寺巡り ―笠森寺観音堂

「日本唯一の造り」

そんな笠森観音最大の特徴は、「岩の上に建てられている」ことです。お堂の下を何本もの柱で支える「四方懸造(しほうかけづく)り」と呼ばれる建築様式で、見た目としては清水寺の舞台のような雰囲気ですが、建物のすべての方面を柱で支えているのは日本でここだけ。国指定重要文化財に指定されている国宝です。


このダイナミックな立地条件。下から見るとその凄まじさが際立ちます。仏道のためとはいえ、こんなところに建てなくてもと思いますが、困難に挑戦する人間の生命力や文化・文明の偉大さを感じます。ちなみに、悪天候の場合、安全面の配慮から閉堂していることもあります。特に雨風が強い日は注意してください。

森に浮かぶ城塞! 岩の上に建てられた日本唯一の建築様式のお寺巡り ―笠森寺観音堂

「そびえ立つ観音堂へ」

お堂へのお参りには木造の長い階段を登ります。かなり急勾配で、横を見れば剥き出しの大きな岩。すごいところに立っていると肌で感じることができます。階段を登りきった先に受付があり、そこで拝観料(大人300円、小人100円)を支払うと、回廊から本堂へ行くことができます。


たどり着くまでに、運動不足の人間には心臓破り、太ももクラッシャーの階段が立ちはだかりましたが、回廊からの眺めは絶景。木の海が広がる山模様に目を奪われます。この日はあいにくの空模様でしたが、曇り景色と紅葉が絶妙な風情を醸し出していました。

森に浮かぶ城塞! 岩の上に建てられた日本唯一の建築様式のお寺巡り ―笠森寺観音堂

「自然と文化と歴史の融合」

回廊の眼下に広がる山々は県立の自然公園にして指定されています。なかでも観音堂の周りを囲む「笠森寺自然林」は国指定の天然記念物となっていて、お寺の創建当時から禁伐林として保護され、人の手が入っていない林として学術的にも貴重な自然だそうです。


さて、肝心の本堂ですが、入るとまず大きな提灯が目に入ります。これも少し変わった趣向ではないでしょうか。そして奥には、最澄上人が刻んだと言われる本尊の十一面観世音菩薩をはじめとした数々の仏像が祀られています。なお、本尊は普段、秘仏として安置され、公開期間以外は御厨子が閉まっている状態になっています。
残念ながら撮影禁止なので本堂の臨場感を伝えできず申し訳ありません。


また、堂内には日蓮上人が参籠したと言われるちょっとした小部屋もありました。またまた仏教の有名人の名前が登場しましたが、お寺の山門の近くには松尾芭蕉の句碑もあり、歴史のロマンを感じられるスポットにもなっています。

森に浮かぶ城塞! 岩の上に建てられた日本唯一の建築様式のお寺巡り ―笠森寺観音堂

「千葉の風変わりな神社仏閣」

日本で唯一の建築と昔から残る自然、2つの「国宝」がパワーを与える笠森寺観音堂。ぜひとも足を運んでいただきたいスポットです。

笠森寺観音堂

千葉県長生郡長南町笠森302