東京なら新宿、大阪なら梅田というように、日本の大都市には“ラビリンス”と称されるような複雑な駅がたくさんあります。今回の記事では、東海エリア最大のラビリンスステーション「名古屋駅」に注目してみました。
現在は再開発が始まり、今後大きく姿を変えると予想される名古屋駅。現在の“迷駅”はちゃんと“名駅”になれるのか!? この記事では2025年5月までの様子をベースに、名古屋駅の複雑さや魅力について解説していこうと思います。
5社13路線が乗り入れる巨大ステーション「名古屋駅」

現在の名古屋駅には、計13もの鉄道路線が乗り入れています。
- JR東海道本線
- JR中央本線
- JR関西本線
- 東海道新幹線
- 山陽新幹線
- 名古屋市営地下鉄東山線
- 名古屋市営地下鉄桜通線
- あおなみ線
- 近鉄名古屋線
- 名鉄名古屋本線
- 名鉄犬山線
- 名鉄津島線
- 名鉄常滑線
当然ですが、この路線数は東海エリア最大。全国的に見ても、トップクラスの路線乗り入れ本数となっています。
そして、導入部分で挙げた新宿駅や梅田駅からも想像できる通り、名古屋駅も同様に、それぞれの鉄道会社の駅がつながっておらず、土地勘がなければ乗り換えの際に迷ってしまうことが“ラビリンス”と呼ばれる所以となります。
出口の間違えが命取りに!? 難しすぎる他社線への乗り換え

名古屋駅には桜通口、広小路口、太閤口と代表的な出口が3カ所ありますが、目指す出口を間違えてしまったことにより乗り換えの際にとても苦労した、なんて話もしばしば。
あくまで下記の解説は筆者の肌感覚にはなりますが、他社の路線へ乗り換える際に目指すと良いであろう出口を挙げていきたいと思います。
【桜通線】
・JR在来各線(東海道本線、中央本線、関西本線)
・名古屋市営地下鉄各線(東山線・桜通線)
【広小路口】
・近鉄線
・名鉄各線(名古屋本線、犬山線、津島線、常滑線)
【太閤口】
・新幹線各線(東海道新幹線、山陽新幹線)
・あおなみ線
※地下鉄桜通線の出入りもこちらの出口付近からスムーズに行うことができます

ここで特記しておきたいのは、JR在来線の改札内から新幹線各線、あおなみ線のホームへと接続しているということ。同じJR線内なので在来線と新幹線のホームが接続していることには納得できるのですが、第3セクターの名古屋臨海交通が運営するあおなみ線に関しては知らない方が多いのではないでしょうか。
これは、あおなみ線誕生の歴史を知っていれば理解できることなのですが、旅客運行を開始する前、同路線は国鉄(現在のJR東海)の貨物路線であった過去があります。第3セクターとなり旅客運行を開始した現在も線路が隣接していることから、名古屋駅での相互乗り換えが容易になったのだと推測されます。

また、JR線とあおなみ線と似たような具合に、名古屋駅にそれぞれ独立した駅を構えている私鉄2社の路線、近鉄線と名鉄各線もほぼ直結で乗り換えが可能となっています。
ただし、ここで気を付けたいのは、名鉄線と近鉄戦の乗り換え改札には長い階段があり、エスカレーターやエレベーターの設置がないこと。これは、大きな荷物を持っているときや車いす、ベビーカーなどの利用時に障害となります。筆者も過去に15キロ超の荷物を引きずりながらこの改札を利用した際にこの階段で挫折し、優しい駅員さんに荷物を運んでもらったという経験がありました。とても不便ではありますが、エスカレーターやエレベーターを利用したい場合は改札外の連絡通路を通って乗り換えすることをおすすめします。
同社路線内でも乗り換えがややこしい地下鉄線

名古屋駅の中でも他社路線との接続がない名古屋市営地下鉄は、東山線と桜通線の乗り換えすら名古屋駅初見者には難しい、なかなかの難所となっています。
入場する改札によってつながっている路線が異なるため、改札内でつながっているであろうと太閤口側の桜通線改札から入場すると、東山線の乗り場へ行くまでにアップダウンを繰り返しながらたっぷり歩かされた…なんてこともよくある話です。
名古屋駅から地下鉄を利用する場合は、駅内の案内表示に素直に従いながら、目的路線の乗り場までスムーズに足を運びましょう。
これぞ“迷駅”の真骨頂! 初見者には危険すぎる名鉄名古屋駅

仕事で繰り返し名古屋を訪れるようになって4年目が過ぎた筆者。その複雑さから現在も利用を敬遠しがちなのが、地元民でも混乱するほどに特殊すぎる駅「名鉄名古屋駅」です。
前述のとおり、この名鉄名古屋駅には名古屋本線、犬山線、津島線、常滑線の4路線が入選していますが、その行先は各線から分岐するその先の路線内にまで及びます。これだけ多くの行き先があるにも関わらず、名鉄名古屋駅のホームは2線分しかないのだからびっくりですよね!

ホームが少なすぎるため、行き先や種別の異なる列車が同じホームへ入線してくることなど当たり前の光景。案内板の行き先表示は色違いの枠で囲まれており、その枠線の色に対応した乗り場で待機することになります。
そのため、ホームは常に混雑し、人垣に隠れてホームの乗り場表記を確認できないなんてこともしばしば。うっかり乗り間違えてしまうと、まったく違う目的地へ連れていかれてしまうのですが恐ろしいですよね。

そんな名鉄名古屋駅も、名古屋駅再開発の完了後はホームの数が増加し、現在よりもわかりやすく快適に電車を利用できるようになると期待されています。
もうしばらく現状でやりすごすしかありませんが、名鉄名古屋駅の利用時に混乱してしまいそうと不安な方は、津島線以外の路線は名鉄名古屋駅と同様に利用できる同じ名古屋市内の金山駅を利用することできっと打開できることでしょう。行き先によっては運賃に若干の差が出てしまいますが、名鉄名古屋駅よりもホームの数が多く混雑を避けられることから、あえて金山駅から乗車して名鉄線を利用する人も一定数いるようです。
大混雑の名古屋駅! 目印や定番の待ち合わせスポットは?

ここまで複雑すぎる名古屋駅の全貌を解説してきましたが、そんな名古屋駅にも待ち合わせや駅のアイコンとして親しまれているスポットがあります。
もっとも代表的なものは、名鉄百貨店の前にそびえ立つ巨大マネキン「ナナちゃん人形」でしょう。このナナちゃんは時々お色直しをしていて、名古屋市内で開始されるイベントにちなんだものや名古屋ゆかりのクリエイターがデザインした衣装などを身に着けて、名古屋市の魅力を身に着ける衣装によって発信し続けています。
2026年2月には名鉄百貨店が再開発のため閉業予定となっているため、ナナちゃん人形を身近に感じられるのもあとわずか。ナナちゃんの引っ越し先は現状決まっていないようなので、駅の再開発中にどこへ身を寄せるのかは今後の情報をチェックしておきましょう。

そして、名古屋駅の定番ともいえる待ち合わせスポットは、桜通口にある「金時計」です。太閤口にある「銀時計」とともに名古屋駅の待ち合わせスポットとして親しまれているこれらの時計も、ナナちゃん人形と同じく名古屋駅のアイコン的存在です。
ただし、金時計前には多くの人が集まってくるので、個人的には金時計横のエスカレーターを上った先の通路付近を待ち合わせ場所に選ぶことも。さすが、全国4位の人口を誇る大都市の名古屋の中心駅「名古屋駅」。待ち合わせひとつでも、相手を見つけるのになかなか苦労しそうですね。
再開発でどう変わるのか? 名古屋駅の今後の動向に期待

2026年から始まる本格的な再開発に向けて、少しずつその姿を変えつつある名古屋駅。今後はリニア中央新幹線の乗り入れも開始され、現在の名鉄百貨店や近鉄パッセのある辺りは大きく様変わりするということです。
名古屋駅の再開発によって、今後名古屋のまちはどうかわっていくのでしょうか?現在はまだ構想段階のものと一部の情報のみがメディアで発信されていますが、この先どんどん変わっていく名古屋駅の様子に期待し、今回の記事を終わりにしたいと思います。
●名古屋駅
愛知県名古屋市中村区名駅1丁目1-4