奇妙なリフトで教会へ行こう。「グッビオ」の絶景と謎
イタリア

イタリア中部ウンブリア州は「緑のウンブリア」と言われるほど、自然と歴史が豊かな地域です。ウンブリア州のアッシジやペルージアなどの地名を聞かれたことがあるのではないでしょうか? イタリアには有名でなくても美しい小さな街や村が点在しています。そんな小さな街のひとつ、グッビオに行ってみました。

美しい街並みと景観

ウンブリア州ペルージア県グッビオまでは、ローマから直線距離で約160キロ。インジーノ山の麓に沿って作られた中世都市です。国鉄が通っていませんが、遠距離バスが通っています。旧石器時代からの古い歴史を持っており、ローマ帝国の一部でもあったため、ローマ時代の円形劇場跡が残っています。11世紀に自由都市として栄えた時代に、現在も見ることが出来る街の多くの建物が建てられました。

左背景に見えるのがインジーノ山。そこにちょこんと見えている小さな教会が聖ウバルド教会です。手前の大きなお城のようなコンソリ宮殿が印象的です。
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インジーノ山麓に作られているグッビオは、なんといっても坂道が多いのが特徴です。雰囲気のある石畳の町並みを、ゆっくりと登っていくとピアッツァ・グランデ(大きな広場)に出ます。本当に広々としたレンガ造りの広場です。そびえ立っているのは、14世紀に作られた、まるでお城のようなコンソリ宮殿。コンソリとは、中世自治都市の行政長官達という意味です。中は市立博物館になっています。

美しい中世の家々。街のごく普通の小道が絵になります。
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徒歩で少し上がればオリーブ畑が。旧市街が一望できます。屋根瓦もかなり年季が入っていますね。

ふたつの扉の謎


さて、街中を歩いていると、こうした中世の時代の家にはふたつの扉がある事に気づきます。ひとつは普通の出入口。その出入口に隣接したもうひとつの扉は、出入口にしては狭い、しかも位置が高い。窓としては中途半端に長細い。これは、ラ ポルタ デル モルト(la porta del morto)「死者の扉」と言われています。
 
死者の扉とは、人が亡くなった時、お棺を出すためのだけの扉のこと。そして、もう二度と家に戻れないための扉。この扉は、生きている人間が通ることを禁じられていました。通常はカンヌキがかけられていたり、使用するまでは壁で埋められていたりしたそうです。
 
紀元前8世紀~紀元後1世紀頃のエトルリア人に起源を持つ考え方で、亡くなった人が黄泉の国から二度とこの世に戻らないようにという意味があるらしく、1600年代までこうした考えが残っていたと言われています。同じウンブリア州のアッシジの旧市街でもよく見かける死者の扉には、お店のショーウィンドウになっているものもありました。

奇妙なリフトで教会へ

ウバルド教会のあるインジーノ山は標高823m。ハイキングを兼ねて、小道を歩いて上がる人達も見かけました。もちろん、遠回りですが車でも上がれるようです。

街のはずれにあるローマ門を横から見たところ。日本だったらお花見ができそうですね。でも、イタリアには「お花見」「紅葉狩り」などの習慣もありません。
このローマ門をくぐったところにインジーノ山へのリフト乗り場があります。
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実際に見てビックリ。まるで鳥かごのよう! 安全性は大丈夫なのか?と思いました。朝早かったせいかあまり人はいませんでした。イタリア語でフニヴィアとよばれるリフトは1960年に作られたもので、50年以上の歴史があります。往復6ユーロで、頂上まで6分間。ウンブリアの遠くの山まで一望できます。
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恐る恐る乗ってみます。ふたり乗りでキコキコゆっくり上がっていきます。徐々に絶景が広がってきました。イタリアには、山岳地方に行くと色んなリフトがあります。冬はスキー、夏はハイキングに行く人たちが使ったりするのですが、こんな鳥かごリフトは初めてです。

足元も網のようになっているため透けてみえます。高所恐怖症の人は乗れないかもしれません。
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緑の中に広がるグッビオのパノラマ。手前の中世の街並みと、その周辺に広がる比較的新しい建物の違いがわかります。新しい建物は少し屋根の色が濃いですが、全体的な景観を揃えてありますね。
 
フニヴィアの公式サイトには、夏期、冬季等の稼働時間が書かれています。グッビオに行かれるのなら、絶景が見られるフニヴィアをおすすめします。
 
頂上には、14世紀に起源を持つウバルド教会があります。中は、綺麗に修復されていて、この街の守護聖人ウバルドのお棺のほか、木で作られた奇妙な柱が展示されています。

こちらは、この街で5月15日に行われる「ろうそく祭り」に使われる「ろうそく」と呼ばれる柱。ろうそく祭りとは、下の旧市街からこのウバルド教会までこれを担いであがる豪快過ぎる祭りです。諸説あるようですが、1160年の5月15日に亡くなった、街の司教であったウバルド・バルダッシーニ(後の聖ウバルド)を偲んで、太いろうそくを捧げるための宗教行列を毎年行われるようになったのがきっかけだとか。
 
高さ3m、約300kgのろうそくを担いで上がるのは、迫力がありそうですね。日本のお神輿や、御神木の考えと良く似ているような気がします。教会の公式サイトにもこの祭りの写真があります。

インフォメーション

ローマから車で2時間半です。公共の交通機関を利用すると、ローマからは列車とバスを乗り継いでも5時間弱かかります。ペルージアまで列車で行き、ペルージア観光を兼ねても良いと思います。ペルージアからはBUS ITALIA社バスE001ラインで、1時間15分です。
 
ローマからSULGA社での直通バスもあるようです。ウンブリア州から近隣の州への直通バスで、本数は少ないですが上手に利用すれば時間の節約になります。

この記事を書いた人

ゆきとさな

ゆきとさなフィレンツェ県公認ガイド

旅行業界で20年以上働いています。旅行の度にコロコロシステムが変わるイタリアですが、できるだけ最新の情報を心掛けます。歴史と魅力が沢山の国イタリアに来て下さいね!

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