あの日、僕らはカリフォルニアの太陽の下で、一日中ハイキングをしていた。水も切れそうでテントに戻ろうとしていた僕たちを、待ちわびていた奇妙な場所。奇妙な形をした、真っ平らの、植物も動物も生きづらい、不思議な場所。
ここはアメリカのカリフォルニア、死の谷と名付けられたDeath Valley(デス・バレー)にある「BadWater Basin(バッドウォーター・ベースン)」。
自然が作った神秘。地球上の奇妙な場所
米国の国立公園の中で最大の面積を誇る公園「デス・バレー国立公園」にそこはあった。あまり聞きなれない場かもしれないが、実はアメリカで最も暑く、最も乾燥し、最も標高が低い場所として名をとどろかせている。
その中にある、海抜‐86メートルの湖、バッドウォーター・ベースンは、最大幅が8キロ、最大長が12キロとかなりの広さで、かつては塩水湖だったため、飲めない水=Bad Waterとして名付けられた。
長く暑い冬が続き、冬は短い。降水量はかなり少なく、見るからにカラカラの場所だ。
それもそのはず。北米大陸で最も海抜の低い場所と言われているこの場所は、雨がふっても、ミネラルと塩とに分解され、水が流れ落ちていかないような場所なのだ。
その代わりに残るのが、分解された水の軌跡。クリスタルの結晶。
この塩のクリスタルは、生き物たちが生き抜く上で厳しい環境を与えてしまうが、ただただ、ただただ奇妙で美しいのだ。
57度を超える暑さが僕らを溶かし、干からびさせる。普通ならば30分も耐えることができないほどの暑い場所ではあるが、それを忘れさせてしまうほど広大で、不思議で、言葉にならない場所だった。
1月という冬の真っただ中で見える、美しいサンセット。周りの山々に太陽が沈むのを静かに見守り、夜を迎える。
死の谷・デスバレー国立公園に中にある奇妙な湖「Badwater Basin(バッドウォーター・ベースン)」。心許せる友人たちと共に、長く暑い冒険を繰り広げた先にある神秘の場所を、是非あなたにも見ていただきたい。
きっと、あなたの中の「何か」がかわるはずだ。