日本人の一般的な旅行スタイル
ご存知のように、働き者の日本人は年間に10日程度しか有給休暇が取れない方が大半ですね。業種や立場によっては、権利としては10日あっても全て消化できないという話もよく聞きます。少しぐらい具合が悪くても頑張って出勤して大切な有給を年一回の海外旅行に費やす、というのが仕事を持っている日本人の一般的なスタイルだと思います。
そうやって、やっと到着した旅行先では、次にまたいつ訪れることが出来るのか分かりませんから、出来るだけたくさんの場所を訪れたいし、買い物もしたいし、美味しいものも食べたいし・・・睡眠不足になるぐらい忙しい滞在になると思います。そうして満喫して帰って、また一年頑張って働いて、さあ来年はどこの国に行ってみようかな・・・なんて考える。
こんな事情をよく知らない外国人、特に西洋の方々は、日本人があまりに短い日数しか滞在しないのに駆け足であちこち巡り、せわしないなあ。もう少しゆとりを持って旅を満喫して行けばいいのに・・・と思って見ていることでしょう。
フィンランドの知人の旅行スタイル
最近、フィンランドから知人が日本に観光に来て、私の神奈川の家に7泊しました。でもそれは彼の旅行のほんの一部で、その前には九州~広島~京都・奈良~大阪~名古屋~伊豆~熱海と訪れ、私の家を出た後には東京に7泊。その後北海道に行ってから帰国すると言うのです。何ともうらやましい。
そして、私の家にいる7泊の間にどこか行きたいところがあれば案内するよ、と尋ねたら、あちこち回って忙しかったので2-3日読書でもしながらのんびりしつつ考えるので、特にお気遣いなく、との事。
生憎その間雨が多かったこともあり、晴れたら行ってみようかなと思っていたところもあったようですが、結局天気が悪いのでやめたらしく、ふたを開けてみたら我が家に滞在中に訪れたのは、近所の天然温泉だけでした。
東京に向かう日には「おかげで旅の後半へのエネルギーを充電出来たよ、ありがとう」と大喜びで発って行きました。
「フィンランドにも1か月ぐらいおいでよ、自分の部屋が余っているからさ」と言うので、日本人の年間休日の平均日数を伝えたところ、聞いただけでくたびれる、と驚き呆れていました。
日本人も長期旅行ができる休暇を!
アメリカ人は夏に2週間~4週間ぐらい、冬に2週間ぐらい。ヨーロッパ人は夏に4週間~6週間ぐらい、冬に2週間~3週間ぐらい長期休暇があります。
更に、それらとは別に病欠のための有給休暇が年間20日間程度付与されるのが一般的です。
元々与えられている時間がこんなに違うのですから、旅の楽しみ方や旅行中の過ごし方が違うのは仕方ないことだと思います。
ただ、長きにわたり日本の旅行者を楽しませる仕事をしてきて常に思うことは、折角の一度きりの人生ですからもっと日本人にも世界をゆっくり旅して見聞を広めてもらいたいなあ、という事です。
今の日本ではまだまだ、長旅をするためには一旦会社を辞めるしか選択肢がない場合も多いですが、旅行をしてきてレポートを書いたり、見聞を広めて来て仕事に活かしたら有給休暇を返却してくれる、といった殊勝な会社が出現したら、ますます仕事に精が出て結果業績もアップするし離職率も減るし、何より日本国の国際化をますます促進すること請け合いだと思うのは私だけでしょうか。
ノマドなワークスタイルも少しずつ浸透拡大してきているので、皆でそういう風潮にして行って、もっともっと頻繁に、そしてゆったりと旅を楽しめる日本を作って行きませんか。
きっと日本が大きく変わるはず。