実際のところ韓国のPM2.5事情ってどうなの?現地在住者がレポートします。
韓国

花粉症の季節ですね。時々聞かれるんです。「韓国、スギ花粉症はどんな感じですか?」って。で、答えるんです。「スギとかヒノキとかの花粉症の方ってあまりいないようですね。そのかわり。黄砂とミセモンジが大変ですよ」って。というわけで今回は、韓国の大気事情についてお伝えします!

韓国のマスク人口が少ないわけ

ニュースなどで東京の街角の様子を見るとすごいマスク率!!! それに対して、テレビなどに写る韓国の人たち、マスクしていないですよね。ソウルの町を歩いていてもそれほどマスクの人を見かけません。

ですが!! ソウルの空気が東京の空気よりずっときれいということはありません。マスクをすることがあまり一般的ではないという習慣の問題ではないかと思います。

地元の友人たちに聞くと、韓国ではまだまだ予防のマスクという感覚は薄いらしく、「マスクをしているってことはこの人は感染る病気を持っているって宣言している人だなと思う」とのこと。なので、インフルエンザの時ですら、病原体、危険な存在だと見られたくないから、軽い風邪ですといってマスクは最低限しかしないで出勤するってことも……。

なので、韓国の春先にマスク人口が少ないからと言って安心はしないでください。日本の空気状況でマスクしないと辛くなる人は絶対マスクしたほうがいいです。それから、日本ではマスクといえば白ですが、こちらは黒とか青が一般的です。日本ではほとんど見かけなくなったガーゼ(布の)マスクが基本スタイル。

最近は、アイドルたちが模様入りのマスクをしていることから、いろんなデザインのマスクをする若い人も増えています。また、MERSの流行の時以降、予防のために使い捨てのマスクを使用する人も少しずつ増えてきています。本当、2~3年前に比べてこれでもマスク人口かなり増えたんですよ。

天気予報の空気情報

この季節、旅行で来られる方にチェックしてもらいたいのが、大気情報です。インターネットでも、テレビでも天予報と一緒に大気の状態を扱っています。

こんな感じです。こちらは韓国のサイトでdaumの天気予報アプリで見た大気状況予報です。天気予報の提供会社によってデザインは違いますが、数字とそのうしろの色を参考に見てください。メニューは左から、

1. 総合大気状況
2. PM10の濃度(韓国ではP.M10のことをミセモンジと言います)
3. PM2.5の濃度(韓国ではPM2.5のことを超ミセモンジと言います」
4. 黄砂の濃度
5. 紫外線状況

だいたいこんな感じです。そして、総合の値とそれぞれのPMですが、状態がいい時は青い色で表示されます。

こんな感じです。ふつうは緑、やや汚い状態だと黄色、状態が悪い時は赤で表示されます。

あれ? 数字に違和感、という方もいることでしょう。そう、この「よい」「ふつう」「やや悪い」「悪い」を区切る区切りは韓国の基準です。日本の場合、30までが良い、30超えるとふつう……のように区切るラインは日本より少し甘めかなという気もします。

空気が汚い日はどんより……


全体的に日本よりもやや降水量が少なく乾燥している韓国の空は、わりといつもご機嫌です。青いきれいな空を楽しむことができます。ただ、本来ならきれいな空を楽しめる冬から春にかけての季節、ソウルは近年PM2.5、PM10、黄砂のトリプルパンチを受けてしまうのです。

写真だとみにくいのですが、「ふつう」レベルの待機状態でも空はこんな感じになります。きれいな青空のはずなのに、地平線に近いほうはぼんやりと黄色というか灰色というか……。さらに空気が汚くなると、天気予報の表記がおかしくなります。

晴れですか? 雨ですか? いいえ、もやです。

だいたい、もやって言うのは、水蒸気が立ち上っているような状態ですよね。でも、これが出てくるとき、空気を白つぽくさせてるのは水じゃなくて化学物質ですからね。たしかに、視界がぼんやり水気を含んだ感じになるんです。

夜になっても電光の文字がにじみます。もちろん昼間もまさにもやがかかった状態です。でもね、PM2.5やPM10をもやって言ってしまうのってちょっとだまされた感ありません?

そういうことで、韓国でもこの表現は適切ではないのではないかと問題になりました。そして生まれたより正確な表現はこちらです。

ほこり!!! ほこりですよ!

開き直ったとしか思えません。というのも、PM10の韓国語「ミセモンジ」の「ミセ」は漢字で微細と書きます。モンジはホコリ。つまり「ミセモンジ」は「微細ほこり」という意味なんです。だから、「ほこり」。

A「今日の天気、なんて言ってた?」
B「ほこりだよ」

そんな会話が繰り広げられているのでしょうか。なんにせよ、ホコリだのもやだのが出たらマスクの用意をしてくださいね。

こんなところでも大気状況をチェック

1日の中でも目まぐるしく変化する大気の状況。それに、外国の天気予報を探してみるのもハードル高いですよね。そんなとき、手軽にチェックできる方法をご紹介しましょう。

こちらです。ちょっとみにくいですか。韓国の旧市街のほう、特に明洞や南大門市場あたりを散策すれば目に入る、おなじみのソウルタワーです。夜になるとライトアップされてきれいですよね。

実はこのライトアップの色、先ほどの大気情報の色と連動しているんです。光の波長の関係で、ソウルタワーがきれいに見える時はだいたい青か緑。そう、空気もきれいだし、波長も長いですからね。

で、近くを歩いているはずなのにソウルタワーがあまり見えない、見たら毒々しい色だったという時はだいたい赤い色をしています。もともと空気が汚くて見えにくいうえに赤いランプですからね。

これから春にかけて空気状況が気になる季節ですが、万全の対策をしてソウル旅行を楽しんでくださいね。

この記事を書いた人

エナ

エナライター / エナツアー主催

横浜出身のソウルっ子。2000年から2002年、ワーホリ滞在。その後横浜での10年間を経て2011年、再度渡韓。本業は日本語教師。ソウルの博物館、市場、路地が主な生息地。普通の町を普通じゃなく感じさせるエナツアーなるものを企画していました。最近は日本家屋の残る町にはまり気味。現在は本業の都合でソウルと山の中にある地方都市との二重生活中です。ソウルの穴場のお店や、地方とソウルで生活しながら見えてきたものなどをブログやSNSなどで紹介するのが趣味。

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