九州の真ん中に位置する熊本県山都町。ここは日本神話の舞台でもあり、スピリチュアル界隈では知る人ぞ知るパワースポットでもあるのです。その正体はなんと15000年にも及ぶ歴史を有する「幣立(へいたて)神宮」。
この地から世界に向かって人が散っていったという「五色人伝説」を基にした例祭では、国内のみならず、海外のスピリチュアル業界人も訪れるのだとか! 今回は、そんなハイレベルなパワースポットをご紹介します。
1万5千年!? 桁違いの歴史の真相を求めて・・・

世界の人種を象徴した「五色人」のお面があって、その祭日には国内どころか海外から霊能者が訪れる―今から10年以上前、筆者がスピリチュアル業界の知人から聞いた話が、九州の中心にひっそり鎮座する幣立神宮のことだと知ったのがつい最近のこと。
以来、足を運びたいと願いつつも、車無しトラベラーにはハードルの高い場所にあるため、正直参拝をあきらめていたのですが、先日、別件で九州を訪れた際にアテンドしてくれた佐賀出身の知人が、「ほかとはひと味もふた味も違う神社があるんだよね」と連れて行ってくれたのが、なんとこの幣立神宮だったのです。まさかお参りができるとは!? こういうのを「神社の神様に呼ばれた」と言うのでしょう・・・

今回、素晴らしい偶然により参拝が叶った幣立神宮。観光地としても知られる高千穂からもほど近く、このエリアが全体的にパワースポットといっても過言ではありません。実際に足を踏み入れて、筆者自身も他にはないスケールの大きさを体感しました。
高千穂と比べるとやや知名度の低い幣立神宮ですが、そのご由緒はなんと1万5千年。神話の時代にまで遡るレベルです。
ご由緒

天照大神の五世孫に当たる神武天皇の孫・健磐龍命(たけいわたつのみこと)が、この地で幣を立て宇宙から降臨された神々を祀ったことに起源をもちます。「幣」というのは、ひと言で言うと神具のこと。「へい」または「ぬさ」と読み、神への祈りや祓いを目的とした紙・麻を指します。鳥居や本殿に垂らされた紙垂(しで)がイメージしやすいでしょうか。

この由来から幣立神宮が日本最古の神社であるとわかります。近年こそネットでの情報拡散により参拝客数は増えたとはいえ、そんな歴史ある神社がなぜ他の神社のように有名ではなかったのか、気になるところですよね。

この幣立神宮が神様の隠居先である「隠れ宮」だった説もあるのですが、同時にやはり立地条件も大きいのでは。山間の国道沿いに佇む質素な鳥居。運転に気を取られていたら、気付かずに素通りしてしまいそうです。そんな「ひっそり感」が隠れ宮たらしめる要因なのかなと筆者は思うのです。
ご祭神

幣立神宮の神様はやはりスケールが違います。
・天御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ)
・大宇宙大和神(おおとのちおおかみ)
・神漏岐命(かむろぎのみこと)・神漏美命(かむろみのみこと)
・天照大神(あまてらすおおみかみ)
おなじみの天照大神ですが、他の神様達は宇宙そして天地開闢(天地創造)に携わったさらに高次元の神様達が勢揃い。特定の願い事に対するご利益をいただくよりかは、宇宙的なエネルギーをありがたく頂戴する気持ちで参拝するのが良さそうです。
パワースポットの証―15000年のご神木

入口こそ質素ではありますが、実際に階段を上って境内に入ると幣立神宮が広大な鎮守の杜に囲まれた聖域だとわかります。鳥居内側、本殿へと続く階段登る時点で神聖な空気に身も心も洗われる心地がします。

本殿の右脇には天照大神を祀った「日の宮」があり、その中には巨大な檜がそびえ立っています。これこそが命脈15000年と言われるご神木で、ご祭神の神漏岐命と神漏美命が降臨した依り代にほかなりません。
「樹齢」ではなくなぜ「命脈」と表現したのかというと、一本の幹だけの話ではなく、同じ株から別の木が生えるのを10回繰り返して現在に至るからです。(現在の幹は10代目)つまり、私たちには想像できない時の流れの中で、命のリレーをしてきたということ。実際に木の根元は非常に太く、スキャンすると複数の年輪が混ざり合っているそう。

しかしながらこの10代目の幹も1991年の台風により幹が折れてしまい、上の方は枯れてしまっています。(ご神木はすでに11代目が育っているのでご安心を!)実はこの上部分が「天神木 高千穂」としてすぐ手前に祀られています。台風の際、本殿を守るように日の宮のご神木から落下したのだとか。しかしながら命絶えることなく現在でも芽吹いており、生命力にあふれています! まさにご神木ですね。
龍神スポット「東御手洗社」

本殿エリアのお参りを終えたら、ぜひ向かって左の階段を降りて龍神スポットへ足を運んでみましょう。杉並木を降りていくと水源が見えてきます。

ここは八大龍王を祀った東御手洗社(東水神宮)。お社から向かって左側に、日本の竹筒からご神水が流れており、なんでも竹筒ごとに水の味が異なるのだとか。

大抵の方が参拝後元来た道で本殿へ戻るのですが、筆者的にオススメなのはお社の右側の山道を進んで戻るルートです。山道とは言うもののある程度整備されており、傾斜もなだらかですので軽いトレッキング感覚で歩けます。何よりこの山道で感じるご神気が素晴らしい!!

神代から続くパワースポットということで、お参りだけ済ませてすぐに退散するのではなく、より長く境内の気を浴びたほうが良いですね。幣立神宮境内での不思議な体験をされた方も数多くいらっしゃるようです。ちなみに筆者が歩いていると、突如強風が吹きました。強風なのにどこか優しく撫でるような風だったので、「神様からの歓迎のお印かな」なんて思ったり・・・
天地創造と人類誕生伝説

神社の原点は大自然に神様が宿ると考えた自然崇拝(アニミズム)。幣立神宮も元はその自然崇拝を基にした古神道にあると言われており、実際に美しく神秘的な森の中に鎮座しています。神道の原点とも言うべき信仰が今でも残る貴重な神社なのです。

冒頭で少し触れましたが、本殿には「五色神面」という世界各地の人種をかたどったお面が祀られており、天地創造に加え人類誕生の伝説も残っています。歴史学的な証明は一旦脇に置いて、世界に生きるあらゆる人種が平和的に共存するために、幣立神宮に集って語り合ったという伝説の壮大さは胸を打つものがありますね。

毎年8月23日にはこの伝説にちなんだ「五色人祭」が催されています。(5年に一度は大祭となり、より大規模な祭事となる)お祭りの際には静かな山間が、一気に人で賑わうそうです。
アクセス情報
公共交通機関でのアクセスは難しく、レンタカーまたはタクシー利用がスムーズです。
・熊本から:約1時間10分 17,000円ほど
・高千穂峡から:約30~40分 8,000円ほど
*金額は2025年2月現在・あくまで目安です。上記よ
り変更の可能性もあるのであらかじめご確認ください。
●幣立神宮
熊本県上益城郡山都町大野712